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絶え損ないの人類共  作者: くまけん
第一章 チェルド大陸編
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第11話 「二人の悪党」

 蜜の楽園の入り口。ガンダス・ジルガリオは意識を取り戻し、ゆっくりと立ち上がった。体の節々が痛い。ガンダスは状況を確認し始めた。

 アイズの隊員2人と戦って。

 黒色の長髪の隊員の攻撃を食らって。

 気づいたら地面に倒れていた。

「あ、あの2人は!?」

 ガンダスは慌てて周りをキョロキョロと見渡したが、誰一人としてそこにはいなかった。ガンダス以外は。

「くそっ! 足止めし損ねたか!」

 任務失敗だ。サジェッタは上手く任務をこなせただろうか。


 落ち込むガンダスの元に向かって、遠くから走ってくる一人の女がいた。

 ガンダスはそれに気づいて目を細める。

「誰だ?」

 その解答は、すぐに明らかとなった。

「ガンダス! テメエ、アイズのクソヤロー共を取り逃がしてんじゃねーよクソッタレ!」

 ガンダスの腰くらいの高さしかない小さな身長。それに相応しい貧相な胸。鋭く大きな目。赤い三つ編みのポニーテール。年齢にそぐわない童顔。汚い口調。

 紛うことなく、サジェッタ・ナリエシルだ。

 サジェッタはガンダスの近くまで来ると、小さい足でガンダスの膝を蹴った。

「痛っ!」

「ケッ、雑魚が。テメエみてーな役立たずがイーヴィル・パーティーの一員だと思うと寒気がするぜ」

「そういうサジェッタはどうだ。上手くいったか」

「思い出させてんじゃねぇぞヒゲ! ああそうだよ! 任務失敗して無様に逃げ出したよ! 馬鹿にすんなら馬鹿にしやがれ!」

 ガンダスは困り顔をしながら顎の髭を触った。

 サジェッタはサジェッタなりに失敗を反省しているのだろう。

 自分より年上のサジェッタが可愛く思えた。恐いけど。

「サジェッタは悪くない。俺も失敗したからな」

「悪党の言うセリフじゃねぇな。ふざけてんのか? それともイヤミか?」

 サジェッタはさらに機嫌が悪くなったようだ。

 サジェッタらしい、とも言える。

「ハルバート家のお坊ちゃんに邪魔されたんだよ。アイツさえいなけりゃ、アタイは上手くやれたのによぉ!」

「ハルバート家!? 超人ばかりがいるというあの貴族か! そんな奴がアイズにいるとは……。厄介だな」

 イーヴィル・パーティーが悪事を続ける限り、アイズは敵として立ちふさがるだろう。そのハルバート家の男は、ガンダス達にとって強敵となることは間違いない。

 サジェッタは、スタスタとどこかでへ歩き出した。

「サジェッタ、どこへ行く」

「ボスがお呼びだ。近々、ドデカイことをやらかすらしいぜ。ほら、行くぞ」

 大きくて小さい男と、小さくて大きな女が、荒野を歩んでいた。

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