第17話 ノブ天命を知る
この町では、出会う猫がみんな好意的に接してくれて居心地がよかった。
リュウガが自分の死期を悟ってこの地を離れたことは、みんな薄々と感じていた。そんなリュウガが穏やかな最期を迎えることができたのは、俺たちのお陰だと思っているらしい。
俺たちは、ちょっと強引なやり方で地元の悪猫から空き倉庫を確保しただけなんだけどね。
それと、時間つぶしに教えた尻尾盗りが好評で、そんな中で俺とノブが圧倒的な強さを誇ったことで、俺たちの立場が上がったようだ。
「ミー助、この町は過ごしやすいな…」
俺は今まで、生まれ育った町のことはノブに話していなかった。ノブが小さい頃の記憶がないということを聞いていたので、俺のことだけを話すのはなんとなく気が引けたからだ。
それに、俺が人間のことを好きだったり、旅に出た理由を話そうとすると、転生したという事から話を逸らせなくなる。
しみじみと話すノブの横顔を見て、俺は思い切って出てきた町のことを話してみた。もちろん転生したことには触れなかったが…
俺が出てきた町も、この町と同じように猫同士が争うことが無かったという話を聞いて、ノブはしばらく黙って考え込んでいたが、急に目を輝かせた。
「俺は、自分が生まれてきた意味もわからず、どこへ行けばいいのかという目的地もはっきりとしないまま生きてきた。でも、この町を見て、お前の話を聞いたことで、自分の生まれてきた意味を悟ったぞ!」
ノブはいつになく饒舌だった。
「猫同士が争わない町を作る。それが俺の使命なんだ」
「それが、お前の生まれてきた意味ということか?」
「きっとそうだと思う。お前と出会い、リュウガと出会い、そしてこの町に来たことは俺の運命だったんだ」
なるほど、偶然も重なれば必然になるということか。
「次はどこかを見つけるんだ。でも、俺はもう少しこの町を見てみたいんだが…お前には行かなければならない場所があるんだよな?」
なんか含みのある言い方だ。ノブらしくないぞ。
「ミー助、お前はどうする?」
なんだ、そんなことか。俺が一匹で先に行ってもいいし、ノブに付き合ってここを出るのを遅らせてもいいって、そういうことなんだな。
ノブ、今さら何を言うんだ。お前の行く場所も一緒に見つけるさ。のんびり旅を続けようぜ。俺たちは魂の兄弟なんだろ。




