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第40話「第四回 聖パン大ミサ ~漆黒の香ばしさと新しき光~」

「パンに祝福を。今宵も、我が教団の温かなスタジオへようこそ」


あかりの落ち着いた、けれど確かな熱を帯びた声が配信に流れます。今回のミサは、いつもの熱狂とは少し違う、どこか厳かで祝福に満ちた空気に包まれていました。


「皆さんに、素晴らしい報告があります。厳正なるエリートパン選抜面接の結果、我が教団に新たな、そして最高に香ばしい光が加わりました。……大司教ココマルさん、前へ」


扉が開き、幻想的な白い肌と穏やかな微笑みを湛えたココマルが、あかりの隣に並びました。リスナーたちの祝福のコメントは、かつてないほどの勢いで画面を埋め尽くします。


「ご紹介にあずかりました、ココマルです。この度、大司教、そして『パンになりたい人窓口』を拝命いたしました。皆さんの心が、ふっくらと美味しく焼き上がるお手伝いをさせていただきますね。……よろしくお願いします」


その妖精のようなかわいらしい声に、全教徒が、そして地下でモニターを眺めていた元スパイたちまでもが、魂を浄化されたように聞き惚れました。


「今回の選抜で『エリートパン』の座を射止めたのは、ココだけです。……でも、落胆しないで。我が教団の門戸は、発酵し続ける生地のように常に開かれています。募集は今後も継続します。いつか、あなたというパンが焼き上がるのを待っているわ」


あかりがそう告げると、傍らに控えていたゆんが、焼き立てのしょうゆパンを恭しく捧げ持ちました。ゆんの表情には、新しい仲間を心から歓迎する柔らかな色が浮かんでいます。


「ココさん、よろしく。これから同じ釜の飯……じゃなかった、同じオーブンの熱を分かち合う仲間として、一緒に盛り上げていこうね。……さあ、あかり様」


あかりとココ、そしてゆんの三人がパンを手に取ります。醤油の香ばしさとバターの香りが、スタジオの熱気と混ざり合いました。


「それでは、聖餐せいさんの儀を執り行います。……わたしたちの血となり、肉となり、結束の絆となるパンを、今、同時に。……いただきます」


三人が同時にパンを口に含むと、画面越しに全教徒が、そして地下の元スパイたちまでもが、一斉にパンを噛みしめました。醤油の塩気が信仰を研ぎ澄まし、バターのコクが教団の結束を深めていきます。


「ココ、これからはあなたも、この熱気の一部よ」 「はい、あかりちゃん。みんなで、もっと香ばしい未来を奏でましょう」


三人が微笑みを交わし、最後にあかりが最高の笑顔でミサを締めくくります。


「……迷えるパンたちよ。明日も、あなたというパンに豊かな発酵があらんことを。あなたもパン! 私もパン! よろしく! パンに祝福を!!」

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