第50話 南洋派遣(1)
「九鬼殿、わくわくしますな」
「ハハハ、おたがい敵味方に分かれたこともあったがのう」
「ふふふ、これは良い船じゃ、足が速いわ」
「廻艪でも速いぞ」
「戦になれば帆を下ろし無敵じゃのう」
「然り」
そもそも九州討伐後、国外人を拘束、調査して拘留、渡来船は長崎の無人島に強制停泊させ、防疫官が検疫し、尋問後、解き放つか拘留していた。
「バテレンも洗脳しよる。
一向宗のようや」
「殉教すれば天国やと、まったく人をなんだと思っとるのか」
「哀れやな・・・あ、黒田殿は」
「いや、友の高山右近ともども避けておるよ。
危のうござった」
南洋遠征軍は、総大将九鬼澄隆、副将小早川隆景、参謀黒田官兵衛孝高、片倉小十郎景綱、軍監津田信澄という体制だ。
ルソンの状況は九州で解放した奴隷達の聞き取りで把握している。
帰郷を希望した15人が同行して、日本皇国がイスパニアからの解放を目指していることを同胞に伝えて貰う計画だった。
巡洋艦10隻と小回りのきく戦闘艦20隻の船団は、艦隊訓練をしながら2週間でマニラ沖に到達、夜闇に乗じて戦闘艦2隻で男性10人を上陸させ、現地マレー人の有力者に連絡させた。
「ユキチ、ムリをするなよ」
「ワカッテル、オヤカタツタエル」
「3日後の早朝、突撃するからな、夜には逃げ出させろよ」
「ハイ、タブン、ダイジョーブイ」
湾にはガレオン船が大小6隻、唐船も4隻停泊していた。
油断していたイスパニア総督、各船も乗員が上陸していて見張りぐらいしか残ってなかった。
早朝、戦闘艦から乗り移った部隊により各船はひとたまりも無く制圧された。
城郭都市イントラムロスも、上陸した2個大隊により城郭を破壊され、あっけなく制圧されたのだった。
「我を誰だと思うか、恐れ多くも・・・うぐ!」
「きんきらだな、ゴンサロ・ロンキージョ・デ・ペニャロサ」
「う!」
セブ島を含め周辺のイスパニア入植地に進攻、イスパニア人メヒコ人や中国人を拘束、その後の入港貿易船も臨検して拘束し、尋問して事情を調査、拘留した。
もちろん、臨時の病院を開設して全員に種痘を施す。
現地の有力者とルソン共和国の設立を協議、独立国の体裁を整えるまでマニラに駐在することを約束した。
秋には第2陣も入港し、多少あった戦闘での怪我人や病人は帰国させた。




