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大怪盗サンチェスの冒険記  作者: 村右衛門
サンチェスと海外観光
52/104

51.サンチェスと刺客

今回は時間がなかったので、少し短めになりました。

サンチェスと刺客


レオパルドは、ICPOから紹介された長谷川警部が来るまで、サンチェスをフランスに留め置くために奮闘していた。

長谷川警部にはフランスにサンチェスがいるという報告をしている。

そのため、フランスにサンチェスがいない状況を作ってしまっては、長谷川警部がサンチェスの捜査に参加することが出来なくなってしまう。

レオパルドは、そうならないように、サンチェスをフランスにとどめようとしているのである。



レオパルドは、セドリック警部と共にフレデリク氏の邸宅に来ていた。

本当ならばレオパルドを、つまりは部外者を捜査の現場に入れることは不可能なはずなのだが、フランス国家警察では既にジェームズという立派な前例がある。

しかも、レオパルドはスペイン国家警察のエクトル警部からの紹介状まで所持しており、その紹介状が本物であるとわかったため、フランス国家警察がレオパルドの捜査参加を拒否することが出来なくなった。

まあ、サンチェスを捜査に参加させたくないと考えているのはフランス国家警察の上層部だけであり、この事件の捜査に最も深く関わっているセドリック警部としてはレオパルドの参加は大歓迎だった。

いつもセドリック警部を補佐していたジェームズがいない今、サンチェスの事件についてよく知っている人物が近くにいるのはとても心強いのである。



レオパルドは、セドリック警部によってフレデリク氏に紹介され、歓迎された。

国家警察の上層部からしたらレオパルドは異物だが、フレデリク氏にとって自分の宝物を守ってくれる人は全員味方である。


フレデリク氏は、レオパルドから見てかなり大人しく、気さくな人間だった。

レオパルドはサンチェスが罪を犯した人物しか狙わないということを確信しているからこそ、そういう人間なのだ、という先入観をわざと持ってフレデリク氏を観察した。

しかし、それでもかなり気さくな人であるとは感じた。

つまり、フレデリク氏は罪を犯しているとはいえ、根は優しく、大人しい人間なのだろう。

どういう理由で罪を犯すことになったのかは分からないが、それも仕方がないことだったのだろうな、とレオパルドは思う。



フレデリク氏が何の罪を犯しているのか。

フレデリク氏はある会社の社長である。

前回も似たような人物だった気がするが、今回も同じだ。

フレデリク氏は、その会社と共に苦難の時期を乗り越え、今では大成功した会社の社長となっている。

しかし、その成功には裏があったのではないかと考えられている。

具体的には、社員の労働時間が明らかに規定を超えているというのだ。

実際に社員からの苦情が来ており、時には起訴され裁判にもなっている。

そして、国家警察もそのたびに何らかの形で事件にかかわることとなっている。

しかし、国家警察が捜査をしている間に、被害者であり、起訴していたはずの人物が起訴を取り下げるのだ。

そのせいで、それ以上の捜査が出来なくなってしまい、フレデリク氏の悪事は暴かれないままになってきたのだ。

それでも、サンチェスはそのことに気づいた。

サンチェスの独自の情報網があれば、悪事に関する情報はすぐに手に入るのである。



「あとは、サンチェスが来るのを待つだけですね。」

セドリック警部が、邸宅のいたるところに警官を配置して、レオパルドにそう言った。

一度サンチェスにやられた経験があるフランス国家警察は、更に警官の量を増やすことを許可したため、かなりの人数の警官を配置することが出来た。

しかし、これでなおサンチェスを逮捕することが出来るという確信には至らなかった。

それはセドリック警部だけではなくレオパルドも同じことだ。

それどころか、一度だけサンチェスの事件を担当したセドリック警部よりも、何度もサンチェスの力量を近くで見てきたレオパルドの方がそのことは感じていた。

これでなお、サンチェスには届かない、と。

しかし、だからと言ってそれは諦める理由になどならない。

サンチェスが毎回のように自分たちの上を行くのならば、そのサンチェスの更に上をいくのみだ。




サンチェスは、既にフレデリク氏の邸宅に侵入していた。

近頃では早めに邸宅に侵入することが増えている。

それは、サンチェスに対抗する国家警察の力量が上がってきたことで、サンチェスも常に状況を把握していないといけなくなってきたためだ。

サンチェスが常日頃進化して言っているのに対し、それに対する国家警察やレオパルドも進化し、成長していっているのだ。

レオパルドらがそのことに気づいていないだけである。

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