帰り道―男子―
何も起きない平和な回です。
「ねぇ、スカイくん」
ウィルが帰ろうとしているオレを後ろから呼び止めた。
「なんだ?」
しかし、今日はまだ帰っていなかったんだな。
ウィルはいつも終了のチャイムがなったら、エスデスと一緒に数秒で教室を出て帰っていってしまうのに。
珍しいこともあるもんだ。
「一緒に帰らないかい?」
「エスデスとは帰らないのか?」
そういえは、エスデスはもう教室にいない。
おいていかれたか?
「いやぁ……エスデスはクラスの女の子たちと帰ってしまってね……」
ウィルは少し寂しそうに答えた。
「だからってわけでもないけど、どう?」
「いいよ、一緒に帰ろう」
「ありがとう」
二人揃って廊下に出るといろんな先生や生徒に出会う。みんなそれぞれに固まって立ち話をしている。
試験の日は在学生は来ていなかったようで、こんなにいるものかと驚いたものだ。
それと、バローナ先生の人気は嘘ではなかった。
男も女もバローナ先生の周りに集まって質問や雑談をしている。バローナ先生のなにがそうさせるのかはわからないが、人を引きつける天性のものでも持っているんだろうか……。
「スカイくんはなんでノーベラ学園を選んだの?入ろうと思ったの?」
校門を出たあたりでウィルがオレにたずねてきた。
ノーベラ学園に入った理由は至極単純。情報を集めるのに効率的だったから。ただそれだけの理由だ。
でも、それは言えない理由なんだな……。
言ってしまえばオレのからだのことまで話がすすんでしまうかもしれないから。
そうすると、巻き込むことになるからな。
「オレ五百歳超えているって自己紹介のとき言ったじゃん?」
「言っていたね」
「見た目は少年じゃん?」
「そうだね」
そこは頷いて認めてほしくなかった……。
「オレの知識と見た目詐欺でなんかできないかなーって考えてな」
なんとか筋の通る嘘がつけたか?これなら不自然じゃないし、大丈夫か。
ウィルはオレのノーベラ学園に入った理由を聞くと、面白そうに笑った。
「あはは……そういう人初めて見たよ。大抵、情報関係の仕事につきたいからとかなんだよ?」
「い、いいじゃないか。人それぞれなんだ」
簡単にそんな風に情報関係の仕事につきたいなんてことを言っていればよかった。変に自分が答えた答えに対して心配しなくて良かったんだ。
「そうだね」
「そういうウィルはどうなんだよ」
これでウィルが言わないとかなったら聞くまで返さないつもりだ。
「僕はね、父さんがそういう仕事についていてね、それに憧れて自分もそんなことをしたいと思ったから、だね」
目を輝かせて答えるウィルはとても眩しかった。なんでだろうな……。オレにはそんな憧れていたり目指すものがないからか?目指すものがないわけじゃないけど、目指しているのが死ぬことだからか?
ま、ウィルは現役の少年だしな。逆にそうでないとそれはそれで問題か。
「ウィルはそうなのか、ウィルの父さんかっこいい?」
俺がそんな質問をするとウィルは自慢するように大きく頷いて答えた。
「もちろん、当たり前だよ」
「そうか、なら良かったな。今度はウィルがエスデスにそう思われるようにならないとな……」
じゃないと……。
「うん?そうだね」
って、オレ何言ったんだ。今度はって、なんでそんなこと言った?
昔なにかそれに関することでもあったのか?
昔の記憶は本当に曖昧で覚えていること、覚えていないことが時系列とはバラバラだから、あってもおかしくはないんだが……。
「あれ、話して歩くと早いね、もう分かれ道だ」
「本当だな」
いつの間にか分かれ道まで来ていたようで、オレとウィルはそこで少し立ち話をしてからそれぞれ帰っていった。
楽しかったな。
次回は多分女子会です。
次回もよろしくお願いします。




