自己紹介と血
本当に不定期ですいません……!
「やーやー、こんにちは。諸君の担任になるミサイ•バローナといいますよ。試験会場で諸君らのこと、しっかりと見ていたよ」
試験のときにいたあのヨレヨレの白衣を着ていた先生が入ってくる。
ノリ軽いな。
昨日は朝早くに集められたにもかかわらず、教室に連れて行かれたあとは教材を配られて昼前には解散だった。
ルマは先生が来るまで待っていてと言っていたのだが、都合が合わなかったらしい。
バローナ先生は自称人気教師で生徒に捕まって大変だという。信じられないが。
「昨日はごめんねー、うん、じゃあ、自己紹介しようか」
バローナ先生は掴みどころのない笑みをたたえながらオレたちに指示を出した。
自己紹介か。
久しぶりにするよ……最後は……。
「はじめは、窓側の少年から!」
「僕ですか、わかりました」
最初にさされたのは、ウィルだった。
その次が後ろに行くか横に行くかはバローナ先生しだいだが、横に行ったらエスデスの次の三番目になるな。
ウィルは席を立ち、オレたちの方を向いて自己紹介を始めた。
「ウィル•アーバンです。十四歳で、あと二ヶ月ほどで十五歳になります。よろしく」
ウィルって十四歳だったのか。それは驚いた。ウィルは成人していると思っていた。
多少幼い顔つきではあるけど、なりたてくらいに感じていた。
「それだけー?好きな食べ物とか、初恋の年齢とか……もっと、こう……」
「え、言わないとですか?」
ウィルの自己紹介はとても簡潔で、個人の識別に必要な最低限の情報しか話していなかった。
不自然な感じとかなかったから、普段からそうしているんだと思う。
「うん、言おう」
「え、じゃあ……僕は、初恋はまだです」
ん?
「マジで?ま、十四歳だもんねー。いい情報だよ」
なんとかバローナ先生に認められた情報みたいだ。
良かったな。
「次は、そのお隣のお嬢ちゃん」
エスデスのことだ。
エスデスはさきほどのウィルに習って、席を立ち、オレたちのほうをむいた。
「エスデス•アーバンですー。九歳ですー」
「ずばり!ウィル少年と兄妹さんだね?」
名探偵のようにエスデスのことをバローナ先生は指差す。
「そ、そうですよー!はい」
兄妹ということを当てられて嬉しそうなエスデスだが、当てた本人のバローナ先生とウィルとオレはやってしまったという顔になる。
何をやってしまったのか。
九歳だし、ここは一応学園だからギリギリセーフだが、本来はここで肯定をしてはならなかったのだ。
情報をかんたんに相手に売ってしまうことはこちら側が危険なときに、身内が人質に取られるかもしれない。最悪殺されてしまうかもしれない。
ここ以外の学園だったら特に問題ない言動なんだけどな。
「エスデスくん、頑張っていこうねー」
「はいー」
「次は、身体から歳不相応の貫禄が出ている君ね」
「なんだ、そりゃ!」
失礼な先生だな。事実ではあるけど言い方ってものがね。
先生の観察眼は認めるけどもさ。
だって、今まで俺のことをそんなふうに言ってきた人なんかいやしない。
「まぁまぁ、気にしないでよー」
「そうか……」
この人とうまく付き合っていけるのかね……心配しか浮かばない。
コアとは別の意味で。
「スカイ•リーデルだ。歳は……五百……数歳か?それくらい。でも人間なんでよろしく」
「なるほど、おじーさんだからか……。スカイじーちゃん……」
バローナ先生は相変わらず失礼なことをいうよな。
恐らく、エスデスと違って自分で自覚している上で意図的に言っているんだろうけどな。
これも大事な作戦的なものかね。
それより、みんなそんなに驚いた顔をしなくてもいいじゃんか?
この世の中にはエルフや獣人を始めとする人より少しだけ寿命が長い種族や、シルフや魔族や龍といった数千年単位で生きる種族までいるんだが?
「人間でそりゃ、おかしーとおもうよ?」
「あ、そうか」
人間は一番短命な種族。長く生きても百年くらい。
五百年以上生きているなんておかしいか。おかしいんだけども……。
もしかして、オレは人間以外の血が流れてんのかな。
例えば、龍とかさ。
龍だったら体も硬いし、自己治癒能力も種族の特性として備わっている。
……調べる価値ありかな。




