12章特別編 卯年は何年?
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
「新年、明けましておめでとうございますわ」
振袖姿で三つ指をついて挨拶するささらの姿に、ハッとした命子はシュバッと手を交差して身構えた。
「見切った! これはたまに見る謎の夢! 明けましておめでとうございます!」
アニメやマンガに触れすぎたあまりに先読みできる系女子に育ってしまった命子は、瞬時に見切った。
早々に夢と見切った命子は、すぐにご挨拶するささらをコロンと転がし、お腹をわちゃわちゃした。ささらはキャッキャと手をバタつかせた。
一仕事終えた命子は、ギンッと横を向く。
そこではやはり振袖姿の紫蓮がカッコイイポーズを取っていた。
こいつは大忙しだぜ、と命子は額の汗を拭った。
だが、本日はいつもなら都合よくスペースが開いている指によって紫蓮の目は塞がれており、なにやら演出の気配。
「あけ!」と共にその指がパカリと開き、右目が御開帳。
「おめ!」の掛け声で、右目がペカーッと輝いた。
それはまるで初日の出のよう。
これには命子も負けてはおれぬ。
龍角をガシッと掴み、「こと!」の声と共にその手を開き、「よろ!」と言って角をペカーッと光らせる。
命子はすぐに紫蓮を横に寝かせて、お腹をわちゃわちゃした。紫蓮はぴゃわぴゃわと手をバタつかせた。
大興奮の紫蓮だったが、次の瞬間、命子の襟首をガッと掴んだ。
そのままそっとお腹に足を添え、投げっぱなし式の巴投げ。
「酷い暴力!」
命子は空中でくるくると回転すると、シュタリと見事に着地した。
そんな命子の目に映り込んだのは、仲間たちの姿だった。
ささらたちの姿はもちろん、馬場や教授、キャルメ、部長たち高校の知り合いもいた。
その全員がなんらかの動物のパジャマを着ているパジャマパーティ。
ささらは牛、紫蓮は鳥、イヨは龍、馬場は馬、教授は犬、といった具合で、命子はいつの間にか羊のパジャマを着ていた。
急展開に狼狽えた命子は、終了の合図を出すためにナスビを掲げようとするも、そのナスビがイヨによってガッと取り上げられた。
「まだ早いのじゃ」
「おのれ!」
そんな中、ネコのパジャマを着たルルとメリスが、ウサギのまめ吉を前にしてなにやら難しい顔をしている。
「こっちはニャムチュッチュ1年分出す用意があるでゴザルよ」
メリスはそう言うと、アタッシュケースを開けて綺麗に並んだ野菜味のニャムチュッチュを見せた。
まめ吉がその匂いを嗅ごうとするが、メリスはアタッシュケースをスッと遠ざけてフタを閉めた。まるで契約が先と言わんばかり。
「ルル、どうしたの?」
「まめ吉と交渉してるデス」
「交渉とな?」
「兎年を猫年に変えるようにお願いしてるでゴザルよ」
「無茶言うぜ!」
「そんなことないデス。他の国では卯年は猫年の場合もあるデス。日本の場合は兎年デスけど」
「ううっ、夢の中なのに私の知らない豆知識が!」
命子は頭を抱えた。
「でもでも、それだと、ねー、うし、とら、ねこ、たつ、みー! ほら、ネコ科が連続しちゃうよ!?」
「タツとミーもヘビ科が連続してるから大丈夫デス」
「龍はヘビじゃなくなーい?」
「でも形が似てるデス。それを言ったら虎と猫だっていいはずデス」
「とにかくまめ吉の年なんだからダメーっ!」
「じゃあ羊はどうでゴザル?」
「ばっきゃろう! 羊さんはもっとダメだかんね」
羊さんのパジャマを着た命子は、バッテンを作った。
その瞬間、ルルとメリスに襲い掛かられた。
「「ふしゃにゃごーっ!」」
「う、うわぁああああ! ホラーゲームで見るやつ!」
お腹をわちゃわちゃとされ、命子は子猫のように手足をバタつかせた。ブァイオ・ハッザード。
「命子様ーっ、今なのじゃーっ!」
「イヨちゃん!」
イヨがぶん投げるナスビを、命子は助かりたい一心でキャッチする。
命子はナスビを掲げると、魔法の呪文を口にした。
「こ、これぞ、天地創造なり!」
その瞬間、ルルとメリス、そしてまめ吉の体が山のように大きくなった。
ルルとメリスはまめ吉を支え頭上に掲げた。
いまここに、融和は成った。
卯年は兎と猫の年となったのだ。
2人に支えられたまめ吉の頭の上から眩しい朝日が昇る。
「明けましておめでとうデス!」
「明けましておめでとうでゴザル!」
ルルとメリスがご挨拶すると、動物パジャマパーティ参加者たちがパチパチと拍手する。
ぐったり横たわる羊さんの命子は、自分がする祝福は同じく羊さんの萌々子に任せた。
「はうわ!」
命子はビクンとして目を開けた。
すると、お腹にかかる布団の上で、まめ吉がゴソゴソと動いていた。
「こいつ!」
命子はまめ吉を捕縛すると、その顔を見た。
「お前のせいで天地創造のバイオバージョンの夢を見たんだぞ」
「ぶぷぅ?」
まめ吉は、何言ってんだこいつ、と言わんばかりに首を傾げる。
「もーっ! ルルとメリスにやってな。融和は成ったんだから」
命子はまめ吉をリリースして、布団にくるまった。
「……卯年が猫の年か。夢だよね? ふふふ」
命子はまさかねと笑いながら、再び眠りにつくのだった。
読んでくださりありがとうございます。
年末の投稿ができなくて申し訳ありません。
楽しんでいただけたなら、高評価のほどよろしくお願いいたします。
それでは改めまして、本年もよろしくお願いします。




