命題の形と特徴
410000 命題はファクトが実行できるかどうかを語る。
411000 真である命題を全て集めたものが、自然科学である。
411100 哲学は自然科学ではない。
411200 哲学の目的は人間に何が考えられるかをはっきりさせることである。
哲学は学説ではなく、行動である。
哲学の著作は何かを解明することで成り立つ。
哲学の成果は命題を作ることではない。
哲学の成果は命題を分析することである。
人間の思考は、そのままではぼやけて見える。
哲学はそれを明確にする。
人間が思考できる限界を導き出す。
411210 認識論は心理学の哲学である。
411220 ダーウィン(1809~1882)の理論が、他の自然科学の仮説よりも
より一層哲学と関係深いわけではない。
411300 自然科学の中で人間が考えられる限界は、哲学によって導き出せる。
411400 哲学は思考の限界を導き出す。
人間の考えられること全てを組み合わせて限界を導き出す。
411500 哲学は、人間の考えられることをはっきりさせることで、
考えられないことをはっきりさせる。
411600 人間が考えられることは、全て明確に考えられる。
言い表せることは、全て明確に言い表せる。
412000 命題は現実の全てを書き表せる。
しかし命題は、現実を書き表すために使う道具は書き表せない。
現実を書き表すために使う道具は、世界の外側に立たなければ見えない。
これをフォームと呼ぶ。
412100 命題はフォームを書き表せない。
しかしフォームは、命題を見ると確かに存在している。
言葉の内側にある意味は、言葉では書き表せない。
命題には現実のフォームの影響が表れている。
命題には、そのフォームが示している意義が含まれている。
412120 書き表せることは語ることが出来る。
412130 言葉の使い方が正しければ、フォームを正しく理解できていることになる。
人間が「正しく理解している」という印象も正しく理解できる。
412200 人間は、シングの作ったものの特徴やファクトが実行した出来事の特徴について
語ることは出来る。また同じ意味で、自分のビルド内の命題も同様に語れる。
しかし、これらの特徴は命題によって成立するものではない。
これらの特徴は、命題が存在することで自然に成立している。
412210 ある出来事の特徴は、人間における顔のようなものである。
412300 特徴とは、ものの存在意義である。
(本には頁という特徴が存在する。頁が存在しなければ本ではない)
412400 ある特徴をファクトが成立させたということは、命題で表すことではなく、
その状況を表す命題において、その命題が存在すること自体で表している。
命題Aの中にフォームAが存在することは、定義から当然のことであり、
疑うことに意味は無い。
412410 フォームAの特徴とフォームBの特徴を直接比べて区別することは出来ない。
フォームの特徴はそれぞれのフォームに戻して、
フォームAとフォームBの形で区別しなければならない。
412500 ファクトが実行したフォームの特徴は、命題が存在すること自体で表している
412510 「すべての現象は内的か外的か」という論争は解決する。
412520 数列は「その数をどう扱うか」ではなく「その数の持つ特徴」で順序をつける。
412600 概念は命題で表現できない。
概念の意味はシンボルが持っている。
概念のように関数を用いて表すことは不可能である。
なぜなら概念の特徴が関数で表現できないからである。
フォームの表現は、そのシンボルの顔である。
よって概念は、特徴的なシンボルの顔の写真である。
412700 命題には変数を含んで書き表すことが出来る。
変数には概念を当てはめることが出来る。
その変数は概念を当てはめて初めて実在するものになる。
412710 全ての変数は、概念を表したものである。
412720 変数「x」は、ある概念を表したものに与えられる記号である。
シングが作ったものやファクトが実行したことが正しく現実を表していれば、
それらは変数で表される。
それ以外の場合、意味の無い命題が発生する。
例えば「本がある」と同じように「シングの作ったものがある」と語ることは出来ない。
同様に「シングの作ったものが百個ある」や「シングの作ったものがアレフゼロある」と
語ることは出来ない。
そしてシングが作ったものが全部で何個あるかも考える意味は無い。
同じことが「ものの組み合わせ」「出来事」「関数」「数」等々の語についても当てはまる。
これらは概念であり、変数で表されるものであるので、
関数や集合によって表されるのでは無い。
「1は数である」「ただ一つの0がある」といった表現に意味は無い。
412730 「bはaの次である」という命題を証明するには、
以下のような命題を定義する必要がある。
「bはaの次である」
「何かはaの次である」「bは何かの次である」
「何かはaの次である」「何かは何かの次である」「bは何かの次である」
など
412740 概念の存在を問うことに意味は無い。
どんな命題もそのような問いに答えることが出来ないからである。
412800 フォームには数の概念は無い。
それゆえ論理には卓越した数は存在しない。
哲学的一元論、二元論は存在しない。