表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

冒険者ギルド①

「ふむ・・」

立派な髭に手を掛けながら老人は呟いた。

ここは港町ポルタの冒険者ギルドにあるギルド長室。


彼はギルド長オリバスだ。

彼は英知の賢者の称号を持っており、かつてはS級冒険者として名を馳せた有能な魔法使いでもある。

貴族や王国、この町の商業ギルド・盗賊ギルドにも顔がきき、一癖も二癖もある連中を相手に立ち回る老獪な老人だ。


彼の治める港町ポルタの冒険者ギルドは住民からも冒険者からも王国からも、極めて評判がいい。彼の英知と温和な性格によってトラブルは少なく、揉め事が起きれば速やかに解決する。彼が問題を速やかに、秘密裏に処理するのだ。


「オリバス様、以上が今月のギルドへの上納金報告書になります。」

そう言ったのは、副ギルド長にしてオリバスの秘書であるレイナ。


彼女は美しい銀髪、ショートカットでスレンダーな体系、10人いれば10人が振り返るであろう美貌を備えたエルフ族だ。

胸はぺったんこ・・・本人は気にしてないと言い張る。

胸の話題はギルド職員の話題ではタブーだ。


彼女もまた有能な元A級冒険者の魔法剣士であったが、オリバスの賢者の教えの師事を受けるために彼のもとに駆け付け、秘書となった。オリバスの尊敬者だ。



「ふむふむ・・・平和なようだな。結構結構。・・・おや、今月の南地区の上納金は随分多いな?」

オリバスは上納金を確認しながら上機嫌だ。


冒険者ギルドは王国からは完全に独立した組織で、王国に治める税とは別に、この街の商会や店から上納金をとっている。

代わりとして、店側に問題が発生したり、貴族から不当な扱いを受けた場合は冒険者ギルドが全力で彼らを支援し守るという暗黙の了解がある。


王国の法的支配と冒険者ギルドの保護のバランスによって、どちらかが暴走しないように監視しあっていると言っていい。



「・・ゴホゴホッ」

オリバスがペラペラと報告書を読んでいた時、突然咳き込んだ。


「オリバス様!どうなさいました?」

「な、なんじゃ?この上納金額は?」

「細かい店単位の確認はしてませんが。何か問題がありましたか?」

「問題ではないが・・・。南地区のまんまる亭の上納金額・・・先月と比べて1700%増加しとるぞ・・・」

「は?なんですか、それ?」

オリバスはお茶を飲み直して、再度用紙を確認する。


「ふむ・・・上納金に変化があったのは2ヶ月前からだな。3ヶ月前までは潰れる寸前の状態だったのに、2ヶ月前に急激に売上を回復しとる。そして、今月初めには、さんかく亭などの南地区の他店舗と次々と統合しているな。

どうやったんだ?しかも、そこからさらに売上が激増しとる・・・」

「そんな急激に?ありえるんですか?何かの間違いでは?」

レイナは信じられないといった様子で、オリバスから手渡された用紙を確認した。



「実際に起きとると判断すべきじゃろう。誰がわざわざ好んで大目に納金するのじゃ。

・・・2ヶ月前?・・いや更にその少し前に何かしらの変化がまんまる亭で起きたのだろう。ふむ・・・気になるな。レイナよ。まんまる亭の調査をおこなえ。6ヶ月前からの情報に重点を置いてだ。冒険者の使用も許可する。」

「わかりました、オリバス様。」


(ふむ・・)

オリバスは髭に手を当てながら考える。

英知の賢者といわれる彼だ、調査を命じながらも実は検討がついていた。


(人だ。間違いなく何者かが、まんまる亭を変えたのだ。いい方向に。

王国や商業ギルド、貴族が介入して不正な悪巧みをしているのなら、冒険者ギルドへの上納金額が増加するということはありえない。彼らならば利益をひた隠しに隠すであろう。

ならば、冒険者か?それも違う、彼らは商才なんぞ持ち合わせてない。冒険者とはよくも悪くも商売に疎いから冒険者をやっているのだ。)



コツコツと指で机を叩きながらオリバスは思考を進める。

(どちらにしろ、これはやったのは悪人、もしくは悪い組織ではない。上納金を正確に報告してくるということは、真っ当な商売をしているということだろう。

何者かは正々堂々と商売をしてこの実績を作ったのだ。この何者かと早急にコンタクトをとるべきだ。貴族や商会、王国に取り込まれれたら、この才能は厄介だ。早いうちに自分の手駒として抱え込むべきだろう。)



レイナはオリバスを見つめて声をあげる。

「あら、オリバス様ったら、悪い顔をしておられる。この件で何か悪巧みですか?我らの力を考えれば、一宿屋の台頭なんて取るに足らない些事でしょう?」


オリバスは老獪な賢者に相応しく黒い表情で呟く。

「ふふ・・・まあな。我々に協力的なら良し、まあ有能な才能のようだからせいぜい利用させてもら・」



バァァン!!!!!

「!!!!」

唐突に大きな音がしたため、レイナは何事かと慌てて剣を携え、ギルド長の部屋の扉を開け、確認しようと部屋から飛び出した。




「5点だ! この冒険者ギルドは!!     100点満点でだぞ!」


大声で怒声をあげ、受付ギルド員の前に立っている黒髪の男がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ