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6-23

感想、評価ありがとうございます。

妙な3人組と戦う事になった森山実留です。

闘技場脇でニヤニヤしてるリュードラルがムカつきます。

この結界をブチ破る程の魔法を放ってやりたい今日この頃です。






サエリアとファンスが戦う音を聞きながら目の前の小さなローブから目が離せない。

呟いた内容も不明だが放たれた魔力が尋常ではない圧を掛けてくるからだ。

ローブと仮面で隠されて表情も装備もわからないが間違いなく強者だろう。

身長と先程の声からすると少女のように感じたが

招待選手でもあるし小さいからと言って油断はしない方が良い。


人外攻撃スキルは使う訳にはいかないので

何時もの如く補助系のスキルを起動させ身体能力を向上させる。


「準備は出来たようだね?」


愉しそうにつぶやくと少女の周囲に紫電を放つ黒球が10個以上現れた。

その一つ一つが相当な威力に違いない。

数発程度ならギリで耐えられるかもしれないが試してみたいとも思わない。


あれだけの魔法を行使できるとは魔法職なのか?それともやはり小柄な長命種か何かか。

因みに≪鑑定≫は阻害されているらしく情報を返してこない。

名前と種族がわかっても大して意味はないけどさ・・・。

リノン直伝のシールドを展開するも黒球が空間を軋ませつつ飛来しシールドを呆気なく霧散する。

やっぱりあの魔法相手じゃ距離をとるのは不利だな、威力が高すぎる上に誘導性までありやがる。


俺も幾つか魔法を放ってみるも周囲に展開されている魔法障壁を突破出来ない。

単純に考えれば周囲や方向に面で展開する障壁よりも俺が使うシールドのように

限られた範囲に展開する方が同じ魔力量や技術でも強度はあがる。

それが向こうは簡単に突破し俺は出来ないとなると魔力か技術に大きな差があるって事だ。

無理矢理にでも大出力でぶっ放せば突破出来なくもないが周囲がどうなるかはわからないし。


とりあえず魔法主体と想定し魔力量とスキル補佐を武器にシールドを多重展開させ

黒球を逸らしながら距離を詰める事にするが相手も距離を詰めさせない。

やはり近接は苦手なのか?


シールドで受け止めるのではなく逸らす事でギリギリ黒球を搔い潜り接近するが

あと数歩の所で少女との間に大きな黒球が出現し紫電を撒き散らす。

余波だけで結構なビリビリ感が体を貫いて来るので大黒球はヤバすぎる。


「どうするの?

 前も後ろも来てるし他の2人も手が離せないよ」


威圧するかのようにパチパチと音を立てながら静止し

前を大きな黒球、後ろに小さい黒球複数に囲まれた状態だ。

チラっと見ると他の2人も防戦一方だ。


ファンスは果敢に攻めるも全ていなされて全く有効打を与えられていないし

サエリアの方は中距離で魔法合戦を繰り広げているが相手の方が密度も精度も上のようだ。

どちらも完全に相手の方が上のようだ。


そして俺は猛烈なピンチではあるがこんな時こそ例のアレ!そう魔銃だ。

今回は最初っから充填を始めてたので何時でも打てる状態だ。

有利な状況で油断しているのか自分の能力を過信しているのかその余裕がイカンのだよ、

フハハハハ、神の力の前にひれ伏すが良い。

困ったときの神頼みってな!


魔銃を取り出すと同時に射撃すると目の前の黒球が弾けて目の前に広がる。

物凄い轟音と共に衝撃波が発生し俺は吹き飛ばされた。


「イテテテ

 何が起こった?」


モウモウと経ちこめる煙で視界が全く効かない。


『アリス見てたか?

 何が起きた?』


『実留さん無事ですか?

 あの大きな黒球が広がって魔力弾を包み込み大爆発をしたようです』


『他の2人は無事か?』


『その時の煙が凄すぎて私にもわかりません

 爆発前は無事でした

 今の実留さんの位置からだと直ぐ近くだと思います』


魔力弾を爆発で相殺させた?それとも爆発は想定外?

あの至近距離じゃ相手だって無事じゃないだろ。

とりあえず煙が邪魔だ、感知を頼りに風で魔法を吹き飛ばすとファンスとサエリアが倒れているのが見えた。

そしてそのまま煙が晴れるとローブが吹き飛んだ2人が見えた。

1人は俺の焚いてだろう少女、というよりも幼女に近いが黒く濡れた様な艶やかな髪をなびかせて薄く微笑んでいる。


だがそれよりも少女の前に立つ者が・・・・・記憶にある姿より成長しているが・・・。


「キ・・・・リル?」


俺の呟きにキリルらしき青年がピクリと反応する。

あれがキリルとなるともう1人は?!

中の方に振り向くとローブを脱いだ美少女が居た・・・・そして黒球も。


「ガッッッッッ!!」


直後に全身が激しく痙攣し力を根こそぎ奪って行かれ視界がクルリと引っくり返る。

体に重い衝撃が走るが地面に倒れたらしい。

心配そうな顔で走ってくる美少女の・・・リースの顔を見て俺の意識は途切れた。





目が覚めると天井がえらく高くフカフカな高級そうなベッドに寝かされていた。


「目が覚めた?

 痛い所はある?」


涼しげな声が聞こえたので視線を動かすとベッド脇のテーブルで本を読んでる少女がいた。

改めてみると身長はかなり低く年齢も若く、いや幼く見える。

黒く艶やかな髪は肩まであり服装はシンプルな飾り付けがされた黒いドレス。

幼く可愛いと言う表現よりは幼くして美人と言った方が正しいだろうが整い過ぎた顔は人形の様にも感じる。

だが・・・・どこか・・・懐かしいような・・何処かで会ったことがあるような・・・。


「君は?」


椅子から降りてトコトコと歩いてくるとスッと手を差し出した。


「私はミリガンテ」


「あ・・・あぁ、宜しく

 そう言えば他の2人は?それに君達は何処からの招待選手なの?」


今回の相手は大物選手としての登場だったので身分は最後に明かされる事となっていた。

まぁ勝敗の結果で発表する内容も変えるって算段だったろうが無事に勝てているしな。

あの2人が居たから何となくはわかるんだけどさ。


「親しみを込めてミリーと呼んでね

 これから長い付き合いになると思うけど宜しくね」


ウフフと笑うミリガンテ・・・ミリーは幼い子供にしか見えない。


「え?長い付き合いって?」


「そのままだよ

 それにしても私の"黒雷"を真面に数発食らって無事ってのは凄いね!」

 

グヌヌ、コイツは人の話を聞かないタイプか・・・・?


「とりあえずさ!他の2人は此処に居るのかな?」


「やっと会えたんだしね・・・お父さん!

 あ、でも私の子供でもあるのよね・・・間を取ってお兄ちゃん?」


駄目だー。

何つうかトリップしてると言うか自分の世界にドップリな感じだ。

どうすぺー大声でも上げたら誰か来てくれるかな?

ん?部屋を出てみれば良いだろって?こちとら真裸なんですわ。


そこにバタンと扉が開く音がするとドタタと猛烈な勢いで何かがダイブしてきた。


「オネェチャーーーーーン」「ミノルさまーーーーーー」


「私だって我慢してたのにー!」


「グハァ!待て!ちょっと待てー!

 シーツ剥がないで!出ちゃう!出ちゃうから!」


飛び込んできたのは青年になったキリルと美少女のリースだ。

更にそこにミリーも飛び込んでくる。

なに?この状況は?




「で、実里の推薦枠って事で出場してきたと」


「はい、そうですね

 事前に情報は得られたから良かったですが

 準備と移動は大変でした」


全員が落ち着いから代表としてキリルに話を聞いた。

この3人の中ではキリルがリーダーらしい。

因みにミリーはテンパると人の話を聞かなくなったりする傾向があると。

それだけ俺に会うのを楽しみにしていたんだそうだ。


今回はフィラルドにも招待選手の枠が用意されていたが出場選手に俺の名前があった事を掴み

実里の無理矢理なゴリ押しでキリルとリースとミリーを本来決まって居た選手を外してねじ込んだらしい。

だが急な変更につぐ変更で各所の手続きをすっ飛ばす為に王族ではなく聖女の立場を利用したんだそうだ。

なのでフィラルド国の枠では無く聖女枠となり大会側も扱いに困ってエキシビジョンという形になり

聖女の名で送られくる者に危険があってはと護衛兼案内人も用意する事となったと。


「予選参加者名簿なんて所属と名前だけしかわからないだろ?

 それで良くわかったな

 他人だったらどうするつもりだったんだ?」


「それは確信がありました

 なんとなくわかったんです

 それはリースもミリーも同じです」


「で?そのミリガンテ・・・ミリーは誰なんだ?」


俺の質問にキリルは困ったような顔をする。

因みにリースは俺の脇でベッタリくっついていてミリーは

キリルの説明に飽きてしまったらしく膝枕で寝ている。


「自分も・・・詳しくは説明できないのですが

 魔王の一部、魔王から分離した人格との事です

 聖女様が魔王領に居る時にフラっと現れてからは一緒に行動しております

 身分としては魔王から友好の印としての預かりとなっておりますが・・・」


「え?全然理解出来ないんだけど?

 それにさっき子供だとかお父さんだとか色々と言ってたし」


「自分もそこまで詳しく知らないのです

 聖女様と魔王の間で話し合いが設けられたようなのですが・・・」


「そこは私が説明するね」


ふと下をみるとミリーがパッチリと目を開けていた。

ムクリと起き上がるとキリルの隣に座る。


「私はミリガンテ、魔王の一部が分離した存在

 正確に言えばお兄ちゃんの魂に引っ張られて魔王から引き剥がされた事によって生まれたの

 魔王の記憶と知識と力の一部を引き継いではいるけど別の人格」


「魂のリンクって奴の影響か?」


「詳しい事は私にはわからないの

 アグ・・・・ロージスはそう言っていた

 私はお兄ちゃんに作られた存在、だからお父さん

 でもその体には魔王の血が流れているから子供でもある

 だから間を取ってお兄ちゃん」


「それ!子供って何?」


「ロージスは以前、そこら中で子作りしてた

 その系譜の1人が今の体だと思う」


「魔王の子孫って事か?」


「そう、血のつながりは薄いけど確かに感じる」


・・・・・そんな事がありうるのか?

転生して入った体が魔王の子孫だなんて。

違う・・・・逆か・・・・俺も魔王とのリンクに影響を受けたんだ。

それで転生先が魔王の血に引っ張られたって事なのか?

ミリーが現れたのも俺の転生時期とほぼ被るしな。

つうか、あいつそこら中で子作りって何してんだよ・・・。


その後も詳細や近況を色々と聞き俺の事も話した。

ある程度の状況が見えてきたので俺は質問する。

あ、ミリーは俺が転生している事は魔王に説明されたようで知っていた。

魔王はミリーを管理する訳でも無く自由にさせているそうだ。


「それで今からどうするんだ?」


「自分はミノル様と一緒に居ます!」


「私もお姉ちゃんと一緒に居る!」


「お兄ちゃんとはもう離れない」


「3人共完全に付いて来る気マンマンじゃねーか

 とは言っても俺は闘士奴隷の身分だし今はやる事があるし

 まぁ形だけではあるけどさ」


「そこですよ!ミノル様!

 ミノル様が形式だけとは言え奴隷身分はありえません」


「キリル君、奴隷は駄目なの?」


「えぇ、ミリー

 女神たるミノル様が奴隷などとはあってはいけません」


「そうなんだ、じゃぁどうするの?」


「正式に身分を開放して貰いましょう」


そこからは間に入るタイミングもなく別室に居たミガが呼ばれあっという間に契約が交わされた。


・ミガの目的に協力する事は変わらない

・俺は奴隷という立場からは解放する事

・解放する条件として聖女のバックアップを保障する

 但し聖神教としてではなく聖女個人での事になるので

 それほど行えることは多く無いのは理解して欲しい

・キリル、リース、ミリーは俺の指揮下であれば戦力として使用可


「これだと・・・・此方側が一方的に有利な気がするのだが・・・?」


「実は・・・」とキリルが懐から一通の手紙を差し出した。


「これは?」


「この国の要人に何かあれば説明するようにと渡されました」


ミガは目を通すと俺に渡してくる。

そこにはパーセラム王国が裏で色々と動いているのようだとの

独自のルートで抑えた情報がそれとなく書いてある。

確信的な情報はないが知ってる者が見れば分る程度の事が。

俺にはさっぱりわからないがね。


「これはフィラルド・・・聖神教がパーセラム王国について調査していると言う事か?」


「いえ、聖女様の独自情報網に引っかかった情報だと聞いています

 ミノル様に何かあった場合に使うように言われ渡されただけですので」


「そうか・・・・だがこの情報が確かなら・・・・いや、半分でも本当なら

 やはりアイツはこの国の王としては相応しくない」


ミガの持つ情報と手紙に書かれていた内容が幾つか合致したのだろう。

その目には鋭い光が宿っていた。


「それにしてもミノル1人の為に聖女が動くとは相当だな

 兄妹と言うのは本当だったのか」


「今では血も繋がってないけどね

 向こうは王女で聖女だし俺からは遠い存在になっちまったしなぁ」


「それでも聖女様はミノル様の事を気にしていました

 自分もリースも駆けつけさせてくれました」


「私も忘れないでよ!」


「ミリーが自分が着いてきたいと言ったからでしょうに」


「私が聖女に言ってあげたんでしょ!

 お兄ちゃんの場所がわかったって!」


「それは自分とリースも分かってましたよ」


「うん、お姉ちゃんの場所は何となく分る」


どうやら3人共俺の居場所が何となくわかるらしいが

キリルとリースはスキルの所為だとは思うがミリーはリンクの影響かな。

それでも漠然とはしているので3人の情報を持ち寄って方向と場所の当たりを付けたらしい。



あーだこーだ言い出す3人を余所に俺の立場はまた変わった。

ミガへの協力は変わらないが身分は奴隷から解放され聖女のバックアップが付いた事になる。

これがどう影響するかは不明だがプラスなのは間違いないだろう。

戦力的にも増えたわけだしな。

女神でお姉ちゃんでお兄ちゃんでお父さんで少年ってよくわかりませんね。

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