6-22
やっぱり感想、評価を頂けると励みになりますね。
ありがたい事です。
神に遭遇した森山実留です。
神と言っても普通の迷宮神なんですけどね。
え?そうは言っても神だろって?
そりゃそうなんですけど・・・・うーん。
多少、バタバタとしてしまったが無事に大会には間に合った。
ミガは依頼物の納入に向かいララは入手した素材を元に色々とやるとの事で引き籠っている。
ディズも俺を送り届けるとソソクサと居なくなりやがった。
あれは多分、賭けをしに行ったに違いない。
予選から賭けが始まるらしいからな。
全く俺が予選を突破出来なかったらどうするんだって話だよな。
アリスには相変わらず周辺の調査と警戒を頼んでいる。
俺なんかに何もないとは思うが念の為にな。
そうそう、アリスの新装備を迷宮で色々と試した結果、以前よりレベルアップしていた。
剣は≪妖精の鋼飛龍剣・D≫だったのに≪グラバスソード≫って名前に代わってたし。
新たに出現した防具も相当なレベルだったしな。
流石は神力(の余剰部分)を元にしただけはあるぜ。
しかも隠密と言うか気配を抑える効果もあるので迷宮では役にたった。
それが今回も役に立つはずだ。
しかも≪グラバスソード≫は細くて薄くて切れ味は抜群だ。
・・・・・・扉の鍵をコッソリと切る位は・・・・・フフフフフ。
さて、そんな予選だがあっさりと突破した。
参加人数が多かったので数十人でのバトルロイヤルを突破すればいいだけだった。
広い闘技場にゾロゾロと集められてルールを説明された。
各バトルロイヤルの最後まで立っていた者が本戦に出れると。
他の場所でも同じ事が幾つも行われているらしい。
流石は国主催の大会だけあって規模が大きい。
試合が開始されると至る所で戦闘が始まる。
俺は目立たない様に気配を潜め周囲を伺う。
強者同士での戦いや組んで戦う者や逃げ回っている者等が色々と居るな。
俺はあくまでもコッソリと動きタイミングを見て動かそうな奴から場外に落として人数を少しづつ減らした。
そして最終的にはボロボロになった強者が数人残ったのでサクッと場外に落ちて貰った。
これで俺は漁夫の利を得たラッキー野郎で認識されたハズ・・・多分。
予選で目立つと本戦でのオッズが下がるからそうしろって言われただけなんだけどな。
本戦が開始される前に開会式がある為、2日程を挟み戦いが始まる。
招待された者や各機関から送り込まれた者、そして予選を勝ち上がった者達だ。
一癖も二癖もあるような強者揃いなんだろうな。
そんな中で勝ち進み主人であるミガの名声を得るのが目的だ。
なので本戦はある程度の実力を出しても構わないと言われている。
人外スキルや大規模魔法や魔弾なんかは使用禁止にしてるけどね。
開催式には本戦出場者が勢揃いした。
会場にステージが組まれ集まった観客を前にズラッと並べられお披露目される。
本戦参加者は屈強な者が多く武具も良いモノがばかりだ。
それに比べて俺は地味な格好だ・・・。
ま、狙ってやってはいるんだけどさ。
本戦出場やの中にサエリアが居た。
俺と目が合うと軽く笑いながら頷いてくれた。
まさかこんな場所で会うとはね。
同じ場所に立っていると言う事は予選を勝ち抜いたって事だ。
体格は一回り大きくなり雰囲気も出ている。
身に付けている武具だって立派な上に使い込まれてるのがわかる。
相当な戦闘経験を積んできたんだろうな。
一通りの紹介が終わると俺達の出番は終了だ。
引き続き招待選手や本戦からのシード選手等の紹介が続く。
別々にお披露目する辺りに扱いの差を感じるね。
聞いた話しでは今回は大物の招待選手とのエキシビジョンマッチ等も用意されているらしい。
会場はお祭りのような高揚した空気だ。
やはり規模の大きい大会は楽しみの一つなんだろうな。
ミガとディズは本戦開始前にオッズが確定する賭けに全額ブチ込んだとの事。
完全に事前情報だけの賭けになるのでハイリスクハイリターンのやり方だ。
「後は実留が優勝すれば良いだけだー」とか言いながら前祝いに飲みだした。
何ともブレない2人だ。
本戦出場者は全部で32人で5回勝てば優勝になる。
それを数日間掛けて行い最終日はエキシビジョンマッチと閉会式だ。
掲示された組合せを見るとサエリアとは別グループで決勝までは当たらないな。
「少しはアドバイスでもと思ったが知らない奴らばっかになっちまったな
まぁ現役から遠のいてたから仕方がねーか」
闘士は登録だけなら誰でも出来るし伝手や何も無い状態で選択出来る仕事の一つだ。
この国で何かを掴もうと思えば闘士で活躍するのが確実なルートの1つ。
その為、闘士の数は多くどんどん新規が増えていく。
反面、怪我や才能の問題で去る者も多いので数年も現役から離れれば
顔ぶれが変わる事も仕方がない。
「こんなに早く出でくるとは驚いたな」
振返るとリュードラルが居た。
相変わらずデカいな。
「おう、リュードラルか」
「よう、ディズ
近々復帰するらしーじゃねーか
またお前と戦えそうだな」
「はぁ?お前となんか戦いたくねーよ
俺が勝てる訳ねぇだろ」
「どの口が言うんだかな
それにしても・・・・ミノルだっけか?
随分と早くこの規模の大会に出てきやがったな
ディズも良い玉を見つけたもんだ」
「たまたまだ
それにしてもどうして此処に居るんだ?
お前は出場しないんだろ何か面白そうな奴でもいるのか?」
「いや、今回は護衛の依頼でな
まぁ護衛と言うよりかは案内人に近いか
護衛対象自体が招待選手だからな」
「なんだ?訳ありか?」
「俺が言えるのは最終日のエキシビジョンマッチの選手だって事だけだな
ミノルが目立って活躍すれば試合を組まれるかもな
そうすれば買っても負けても一気に名前が売れるぞ」
「次は何処かで戦おうぜ」と言い残してリュードラルは去って行った。
相変わらず凄い存在感だったな。
「どうせ何処かの国絡みでの選手で売名行為だろ
しかも対戦相手は試合内容を見て決める
どう考えても向こうが有利じゃねーか
最終日のエキジビジョンだから勝敗は関係無いと言えばそうだけどよ」
「こんな事はよくあるんです?」
「まぁあるわな
この大会のように国が主催でそこまで大きくないと
そうやって話題性を集めるのさ
もっと大きくなると逆に公平さだ何だと煩くなるしな」
パーセラム王国は中立を貫いてはいるが他国との交流が無い訳でもない。
闘士というシステムを他国に利用される事もあれば利用する事もあると。
ただ"こういった試合"を組まれる場合は大抵、相手も精鋭を出してくるので
エキシビジョンと言うのもお互いの利害関係を協議した上での仕組みなんだろう。
開会式と挨拶、そして各種催し物で場のテンションを上げて2日目となり本戦が始まった。
観客は酒と食い物を片手に闘士の戦いにのめり込んでいく。
そんな興奮の坩堝の中で俺は順調に勝ち進んだ。
確実な強さをアピールする為に魔法はアシスト程度として基本的には近接で戦うスタイルで戦っている。
派手さは無いが戦いに関わる者なら分るだろうし燻し銀的な戦い方で目の肥えた観客にも受けが良い。
魔法でドンパチやる方が盛り上がるのは間違いないんだけどさ。
1回戦、2回戦、3回戦と勝ち進み準決勝まで駒を進めた。
流石に本戦に出るだけあって多少は手間取る事もあったが問題なく勝つ事が出来た。
そして次の準決勝の相手はシード選手で"ファンス"と言う名だ。
この国でも大手の養成所の1つに所属する闘士で国外から連れてこられたらしい。
種族は亜人種の中でも珍しい蜥蜴人とエルフのハーフだ。
蜥蜴人とは"リザードマン"等と言われる種族だが見た目は様々だ。
まんま蜥蜴が2足歩行するような者も居れば鱗が多少目立つな程度に人族に近い者も居る。
ファンスは背は高く美形と言って良い顔立ちだが手や顔に鱗が見える。
エルフの血を継いでいるのに体は鍛えられた筋肉ではち切れんばかりだ。
やや緑かかった髪は短髪で刈られ鋭い目つきと相まって雰囲気がある。
俺的にはそこまで抵抗感は無い見た目なんだが
彼も"ミックス"と言われ辛い日々を送って来たに違いない。
だがこの国では実力さえ示せれば種族が何だろうと関係がない。
そう言った意味では今の状況は良いのかもしれないな。
前評判とここまでの試合を見ると素早い動きと力強さを兼ね備えた上に魔法も使いこなす実力者のようだ。
的確な判断と冷静に戦う上に魔法の精度も威力も上々。
しかも使う魔法は基本的な種類を状況によって使いこなす厭らしさもある。
流石は大手が送り出すだけはあるな。
結論から言おう。
準決勝は無事に勝つ事が出来た。
お互いに似た様な戦い方で一見地味ではあったが
速く的確な動きで攻防を繰り返す様は技術を示す良い試合となっただろう。
因みにファンスは女性だった。
見た目が完全にムキムキだし短髪だしで男だと思ったんだけどな。
それにエルフのスレンダーな凹凸が余り無いのも要因の一つだ。
・・・・いや、ムッキムキの胸筋はありましたよ。
そんなどう見てもマッチョメンにしか見えない奴が
淡々と真顔で攻撃を仕掛けてくるのは怖かったぞ。
準決勝で負けてはしまったがファンスの実力は相当なモノだ。
相手が俺じゃなければ決勝に行っていてもおかしくない。
すまんな・・・チート野郎が相手で。
最近思うのだが魔力が爆増した事によって全力を出せば
俺って大抵の相手に勝てるのではないだろうか?
普通に出会える相手って限定は付くけどな。
秘境や魔境等に潜む龍種やそれに匹敵するような奴らなんかは戦いたくもないぞ。
勿論、魔王や勇者、それに神なんかも無理だしな。
以前よりは善戦出来るとは思うけど勝てるイメージが全く湧かないしな。
そうそう残念ながらサエリアは準決勝で負けてしまった。
決勝戦はサエリアに勝った奴が相手で"メタモーゾ"と言う名でローレゼリアから来た招待選手だ。
俺も以前に寄った事があり製造業が盛んなる国だな。
ウイスキー製造の元となったデンベルグがある国でもある。
俺の試合の後だったのでそのままサエリアの試合を見学していたのだが
相手は全身に魔道具で作られた武具を見に纏っていた。
全身鎧の類だろうが金属感が前面に押し出され角張り
サイズもリュードラルに迫る大きさだ。
此方は間違いなく男だ。
試合前には顔部分が胸辺りから露出してたし声も男だった。
プシューと音と共に装甲が閉まって行くのは何というか前世での宇宙服と言うか
パワードスーツと言うかSFちっくで物凄くこの世界で見ると違和感がある。
ただまぁチグハグでテンコ盛りで不格好でズングリしてるけどな。
だがその外見とは裏腹に高品質で高性能なのは戦いをみれば理解出来た。
防御は硬く強固で移動は素早い、そして攻撃は高火力だ。
動きや力をアシストするような機能もあるっぽい。
そんなSF野郎を相手にサエリアは頑張ったが負けてしまった。
短剣を2振り使う戦い方は変わらないが動きは洗練され力強くなっていた。
だが物理的に強固な相手には分が悪く強度な魔法障壁を貼られてしまい
魔法で突破するには威力が足りていない。
素早さはサエリアの方が上で攻撃を食らいはしないが
余波で少しづつダメージを負ってしまいジリ貧での負けだ。
俺が見るに弱点を上げるとすれば移動速度は速いが細かい動きが苦手っぽいのと
高火力ではあるがピンポイント攻撃には向かないって点だろうか。
と言うかあれは個人戦用じゃなく戦争や乱戦に本領を発揮するような物なんじゃね?
製造コストも馬鹿にならないと思うし使用者に合せた調整も必要だろう。
そうそうに量産出来るような物ではないと思うしなぁ。
装着者の魔力だけで動けるようなシロモノじゃないだろうし。
実験機か何かで試験運用にこの大会を利用したってトコだろうけど。
さて、そんなSF野郎との戦いだが今迄とはうって変わってド派手な戦いとなった。
今迄で地力部分のアピールは出来ていたと判断し
最後は派手な事も出来るんだぜって意味合いを込めてね。
そもそも相手がどうしたって派手な戦い方なので仕方がないってのもあるけどさ。
メタモーゾが使う魔法は単純なモノばかりだが一つ一つが広範囲かつ高火力だ。
そこに正面から魔法をぶつけ力押しで撃ち勝ち更には強固な魔法障壁を突破した。
魔法では分が悪いと踏んで近接戦闘に持ち込んできたがそこも真っ向勝負だ。
補助系スキルと潤沢な魔力による身体強化と魔法は単純にメタモーゾを上回った。
結果としてボロボロになった全身鎧に身を包んだメタモーゾが負けを宣言し終了だ。
「いやぁ、君は強いね
まさか局地制圧用兵器が個人に負けるとは思わなかったよ」
「制圧兵器を持ち込むなよ!
と言うか個人戦闘には向かないんじゃないか?
俺以外でも上位陣なら同じ対応を取られるぞ」
「むむ?
・・・・・・この装甲と魔法障壁を突破出来る個人がそうそう居るとは思えないけどね
個人戦はまた違った性能が必要と言う事か
うん、有意義な戦いだったよ」
そう言ってギシギシとガリガリと耳障りな音を立てながらも歩いて戻って行った。
つうかあんだけ攻撃を叩きこんだのに中身が無事で動けるってのもすげぇよな。
何か去り際に「君とは仲良くなれそうだなぁ」と言っていたのが不安でしょうがない。
まぁララ辺りは喜んで協力するだろうし戦力としても魅力的ではあるけどな。
多少の問題はあったが俺は優勝する事が出来た。
これで目的通り俺の名前は売れたハズだ。
それにこの規模の大会で優勝すれば次からはシード権が獲得できるか
更に大きい大会への参加が出来るようになる。
何はともあれこれでまた1歩前進したわけだ。
今日はミガとディズが宴会だろう。
こうして今回の大会は無事に終了した。
表彰も終わり大会も終了となる最終日。
俺は終了したハズの大会の舞台にまだ立っている。
例のエキシビジョンマッチ・・・・その相手に俺が選ばれたからなんだけどな。
相手は深くローブを羽織り白い仮面を付けた3人組だ。
大中小のそれぞれバラバラの身長で身体つきはローブで良くわからない。
だが小さい奴は小学生低学年位の身長しかないんじゃないだろうか。
ひょっとしたらもっと小さいかもしれない。
まぁ巨人族が居るんだから小人族だって居るんだろうけど。
大は片手剣に盾という一般的な装備だが物は良さそうだ。
中は細身の剣を片手に持ち小は素手だ。
俺の隣にはファンスとサエリアが居る。
エキシビジョンは3対3らしい。
メタモーゾは魔道鎧がボロボロの為にサエリアが選ばれた。
闘技場のリングの周囲には新しい魔法具が設置され強力な結界を張っている。
これらも目の前の正体選手の持込のようだ。
どんだけ実力を示したいんだかな。
試合開始の合図と共に大がファンスに、中がサエリアに駆けた。
その速度はかなり速く実力を感じる。
どうも個別で戦うらしいな。
残った小はゆったりとした足で俺に向かってくる。
武器を身構え迎撃姿勢を取ると仮面の奥で笑ったのが分った。
そして
「会いたかったよ
我が子よ、いや父かな?」
少女のような声の呟きが聞こえ圧倒的な魔力が放たれた。
また変なの来たー。




