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6-21

暑くなってきましたね。

何か妙な所で妙な事になった森山実留です。

え?これって大丈夫なんですかね?

滅茶苦茶怒ってるんですけど・・・。






「誰っすかーーーーー!こんな事するのはーーーー!!」


大声で文句を言いながら出てきたのは軽そうな金髪の兄ちゃんだ。

だがしかしあれは神だ、下級神とは言えな。

今は随分とボロボロな恰好をしているが。


「アンタ達っすか?

 何ふざけた事してんすか?」


随分と怒っているようで神気とやらが噴き出て圧倒的な威圧感だ。


「いや、ちょ」


「アンタなんすか?

 自分の神気に抗うなんて・・・さては他の迷宮管理の差し金っすか?

 とりあえず存在自体消えて貰うっすよ」


ラバリオが右手をスッと持ち上げる。

コイツこんなに物騒な奴だったか?

・・・・・うん、最初の時もそう言えば消されそうになったわ。


「まてーい!待て待てまてーい!

 ラバリオ!ちょっと待ったー!!!」


「は?なんすか?

 自分、こうみえて神なんで気安く名前を呼んでほしくないんすけど」


ミガとララは突然の事に硬直し足がガクガクし全く動けそうにない。

そりゃ、いきなり神に遭遇したらそうなるか。

しかも超常の存在がこっちに敵意を向けてるんだし。


「俺だ!ミノルだ!」


「え?ミノルさんっすか?本当すか?」


「ほらアリスも居るだろ!」


「ラバリオくーん、やっほー」


「あ、アリス姉さんじゃないすか!

 本当にミノルさんなんすね」


「俺はアリスのついでなのかよっ!!

 つうかそんなに簡単に信じるなよ!!」


そんなアリスはラバリオに飛んでいく。


「ミノル・・・その・・・その方は・・」


「あぁ、紹介するよ

 迷宮神ラバリオだ」


「宜しくっす!」


ニカっと笑うラバリオはどうみても薄汚い兄ちゃんだった。



ラバリオが≪再生≫して壁穴と酸霧でボロボロになった室内は綺麗になっていく。

アリスは以前と同様にウマが合うらしく作業中のラバリオと色々と話している。

あの2人は何となく同じ香りがするよなぁ。


その間にミガとララにはラバリオの説明をして落ち着いて貰った。


「神・・・・か・・・・・こんな所で神に会うとはな」


「えぇ、しかもこんなに簡単に・・・・

 ミノルさんの因果律は一体どうなっているのかしらね」


「いや、俺にそんな事言われてもね

 俺だってまさかこんな所で・・・」


妙に攻められてるような気がする。


「全くだな

 もう色々とありすぎて笑うしかない」


「多分、害する事はないと思うんだけど

 あんなでも一応は神だからさ」


「こちらとしても神と敵対はしたくない

 素材が手に入れて期日までに間に合うように帰れればそれでいい」


「そこらへんは交渉してみるよ」


ミノルに任せたと言ってミガとララはここぞとばかりに室内をウロウロとする事にしたようだ。

特にララなんて相当に興奮しているのがわかる。


因みに事前に室内なら好きに動いて良いと許可は貰ってるので大丈夫だ。

と言うよりも神と面と向かって接するのが辛いようなのだ。

俺はなんとも無いのになぁ・・・。

作業中のような場所や作成途中の物のようなのがあるが下手な事はしないだろうし

何かあればアリスに間に入って貰うとしよう。


部屋の復元が終了するとラバリオが出してくれたテーブルでお茶を飲む。

ミガとララも少し離れた場所で頂いているようだ。

因みにこれは現世の物を構築しているだけなので神パワーは得られなかった。


「こんな所で会えると思わなかったよ」


「自分もビックリっす

 いきなり神気に近い気配を感じたら壁に穴が空いて

 吹き飛ばされたと思ったらジュクジュクする霧がブワーっときたっす

 お陰で部屋も自分もボロボロっす」


「・・・・・・ごめんなさい」


「本当に勘弁して欲しいっす

 これはもうちゃんと謝罪が欲しいっす」


「謝罪?」


「部屋中を直すのに力を使ったので腹が減ったっす」


「料理を作れと・・・・じゃぁそれで手を打ってね

 あ、でも作って貰った鍋は手元に無いんだ」


「マジっすか?!

 無くしちゃったんすか!!」


俺の肩をつかみガクガクと揺さぶってくる。


「いや!俺も何回か!転生しちゃってるから!」


「そういえばそうっすね」


聞くとラバリオは例の上司経由で簡単ではあるが事情を聴いたそうだ。

最高神絡みの案件とあって重要機密らしい。

しかも以前関わった際に手助けをしたって事でラバリオの待遇が少し良くなったそうな。


「自分の権限の範囲内なら協力するように言われてるっす」


「そうなの?

 それってどれくらい?」


「うーん・・・・どうっすかね

 上司には可能な限りとは言われたんすけど・・・・

 とりあえず迷宮を暴走させて魔物の大群で首都でも攻めるっすか?」


「こえーよ!やらねーよ!

 つうかそれ権限でやって良い範囲じゃねーよ!」


「そうっすかね?

 自分、迷宮の事しか権限無いんすよね」


「そういえば迷宮って言えばファーバンはどうなった?

 何か情報知らないか?」


「今は限定神をやってるっす」


「限定神?」


「オッサンは迷宮作成や管理についてはボロボロでセンスの欠片もないんすけど

 迷宮のバランス調整だけは抜群に上手いんすよ

 なので依頼を元に調整だけを専門に行う仕事っす」


ファーバンは自分のミスを誤魔化す為に色々と設定を調整して

バレないようにしていたそうなんだが

その手腕が抜群なんだそうだ。

迷宮管理の神力を削られたので調整のみをやらせた事で表面化したってのも皮肉だよな。

ひょっとしたらアイツはそこまで考えてやったのかもな・・・ってのは考え過ぎか。


「まぁあんなオッサンの事はどうでも良いっス

 自分、本当に腹が減ったっすよ・・・"来い"」


ラバリオが右手をスッとあげて呟くと空間がグニャっと歪み見覚えのある物が現れた。

そう・・・黒鍋だ。


「はぁ?何それ?」


「自分が作ったんすから手元に引き寄せただけっすよ」


色々と突っ込み所が満載だったがキラキラと期待するラバリオの目に負けて

先に食事をする事となった。

あ、服の方は神器扱いじゃ無いらしく取寄せは不可だった。




「いやぁ美味かったっす

 やっぱりミノルさんの料理は最高っすね

 上司の手料理も良いっすけどやっぱミノルさんっす」


むむ?なんか突っ込む所の様な気もするがやめておこう。

因みにアリスは「やっぱりコレよー」と言いながらガツガツと食べ続けている。

ミガはモクモクと食べ酒をあおりララは摘まみつつ黒鍋をジックリと観察中だ。


「つうか酒飲むなよ」


「は?だってこんなに美味いんだぞ!

 飲まなきゃ料理にも酒にも申し訳ないだろうが!」


この人、本当に暗い過去があるんだろうか・・・・。

一緒にご飯食べだしたらラバリオと打ち解けたようだ。

神と言ってもラバリオだしな。

まぁ神なんだけど。


「それでここの迷宮ボスの素材が欲しかったっすか?」


「あぁ、頼めるかな

 倒さなきゃいけないなら倒すけど」


「別に良いっすよ」


そう言うと部屋の中央の作成途中だった何かがムクムクと膨れ上がり

ここの迷宮ボスである"竜石人"と呼ばれる魔物になった。

・・・・なったのだが動かない。


「無行動で防御力を最低まで落としてあるっす

 好きに剥ぎ取りOKっす

 素材も好きなだけ持って行っていいっす

 あ、でもコアは抜いてあるっすよ」


「え?本当に?

 ミガ!此処は任せて頂戴!」


そう言ってララは駆け出して迷宮ボスに駆けより剥ぎ取りを・・・いや解剖を始めた。

じっくりと観察するように丁寧に色々な部分を切り分け剥がしていく。

ブツブツ言いながら恍惚とした表情なのはちょっとアレだな。


ミガとララって此処に来て駄目な部分が目立ってきた気がする。

それだけラバリオの存在に圧倒されたって事なのかね。


因みに迷宮ボスはメンテ中でバラしていたので"変環"が起きていたらしい。

迷宮ボスは迷宮の重要部分を担っているのでメンテに合わせて

迷宮の最適化を行うのが今回のの"変環"の理由なんださそうだ。

他にも"変環"が起きる理由は色々とあるらしいけどね。

因みに安全地帯は迷宮ボス部屋とセットで管理指定されていたので

強制転移の対象外だったそうな。


「後は自分が協力出来そうなのはコレ位っすかね」


そう言ってラバリオが俺達が此処に来るまでに取得した余った素材で

作ってくれた≪迷宮神の包丁≫、≪迷宮神のオタマ≫をくれた。


包丁は料理の素材であれば何でも最高の状態で切る事が出来るし

オタマは湧き出る謎調味料や濃さの自動調整や撹拌時の謎絶妙加減が発揮される。

勿論、耐久性は折り紙つきだ、何と言っても神器だからな。

そして黒鍋と合わせると≪迷宮神の調理器具セット≫になった。


3つの相乗効果により出来上がった料理は今迄を更に上回っていた。

そんなに時間が空いてないのに奪い合うように貪るラバリオとミガとアリス。

ララすらも自分の分を確保しつつ調理器具セットをニヤニヤと観察していた。


新たな神器を入手出来た事だし謝罪と御礼を兼ねてラバリオに

大量の作り置きをする事になったのは仕方あるまい。


残された時間があまり無かったので名残惜しいが

ララの作業が終わり次第出発となった。

地上まではラバリオが転送してくれるので俺は必死に料理を作り続けた。


「まじっすか!ミガさんきっつい過去を持ってますね!

 自分ならそいつを消しちゃいますけどね!

 やっぱり迷宮暴走で国毎やっちゃうっすか?」


「それは結構だ!国が滅んでは意味がない

 それに自分の手でやらないと気が済まないしな

 神の手は借りたいがそうもいくまい」


「そうっすね

 自分もミガさんは応援したいですが協力は出来ないっす

 流石に現世の事に関わり過ぎると上司に怒られるっす

 それにミガさんに加護を与えている神様にも怒られるっす」


「迷宮暴走は良いのに?」


アリスが突っ込むとラバリオはニヤっと笑う。


「そりゃもう直接的に協力するんじゃなければ

 ミノルさんの所為だと言えば何とかなるっす」


ゲラゲラと笑う3人を見て俺は安心する。

短時間で随分と打ち解けてくれたものだ。

つうか妖精と神と獣人だけどな。

まぁ何と言うか。


「俺の所為にするんじゃない!!」


またもゲラゲラ笑いだす。

全く変な神様だ。




「それじゃぁなラバリオ

 また何処かで会えるといいな」


「少しの間は此処にいるっすけどね

 ちゃんとグラバス様に言っといて欲しいっす」


「わかった

 ちゃんと伝えとくよ」


「アリスさんも・・・・・師匠もまた・・・・っす

 今回は時間がなくて師匠に成長を見せれないのが残念っす」


「フハハハ

 ラバリオ君も確かに成長したよ

 私にある程度は付いてこれる様になったしね」


「ねぇそれって食事量だよね?

 食った量の事言ってるよね?

 と言うかサイズを考えたらアリスが変なんだからね?!

 それ以前に神に胃袋とかあるの?ねえ?あるの?」


俺の事を無視して涙ながらに熱く語るアリスとラバリオ。

下級神と世界神の作った妖精はどっちが上なのかなとふと思う。

思うがどうせ答えは出ないのだから気にしないでおく事にした。


最後の挨拶を済ませ俺達は地上に戻った。

依頼も無事に達成出来そうだし様々な素材をてに入れられた事で

ララも色々とアイデアが浮かんできたそうだ。

俺も新しい神器が手に入ったしな。

まぁ調理器具だけどさ。



いよいよ大会予選が始まる。

さて、少しは頑張りますかねー。


「ミノル・・・・その・・・夕食は頼んでも良いのかな?」


モジモジと頼むミガが少しイラっとした。

新たな神器をGETだぜ!

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