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6-10

さ、寒い。

手先がぁ。

良くわからないままに売買されそうな森山実留です。

前もって色々と言われたくせに即答で売られちゃいました。

なんか状況がよくわからないんですが・・・。






「では正式な手続きに」


坊主頭は書類を取り出してサラサラと記入する。

それをミガに渡し確認してもらう。

ミガはサラッと読んだ後にララに渡す。

ララは確認した後に幾つか坊主頭に質問をし答えるのが続く。


ミガが基本的な事を確認し

ララが補足なり詳細を詰める。

そんな役割の様だ。


坊主頭が商談に集中しているので小声でディズに話しかける。

出入り口に警備が居るが多少話す位なら何も関与してこない。


「教官、あの2人組って誰なんですか?」


「ん?あぁ、あのミガと呼ばれた獣人族は冒険者で

 隣のララって人族が御伴だ

 この国じゃ少し有名な2人組だな

 俺は会うのも見かけるのも始めてだが・・・」


「御伴・・・・ってなんです?

 冒険者じゃないんですか?」


「理由はわからないがな

 ギルドに登録はしてないって話だ

 まぁ従者とか奴隷なんて事もあるから珍しい話じゃないけどな」


ミガはこの国でも凄腕の冒険者で有名ではあるが

主に辺境や攻略が進んでいない迷宮をメインに活動しているらしい。

その為、知名度の割には顔を知ってる者は少ないんだそうだ。


ディズ曰くミガの冒険者ランクはAだ。

ましてや辺境や攻略の進んでいない迷宮をメインにし

ララが居るとは言え2人で行動してるんだ。

その実力は推して知るべしだろう。


つうかなんでそんな冒険者が俺を?

しかも闘士を?


「デコズ-ロさん、ちょっと良いですか?」


俺が悩んでいるとディズが一歩進み出て質問を投げる。

つうかデコズーロって誰よ?


「なんだディズ?

 今は大事な話をしている所だ」


って坊主頭かよ。

って坊主でデコでズーロかよ!


「その、なんだ

 先程まではA17に選択肢があるって話だったと思うんだが

 そこらへんについてはどうなってるんだ?

 それにそちらは冒険者だろ?

 闘士・・・と言ってもまだ初戦は行ってないが

 登録はされている者を買う理由を教えて貰いたい」


ミガがむふ?と顔をあげる。


「彼は?」


「今回の対象者、A17の担当教官です」


「そうか

 彼と話をしても?」


ミガの質問にデコズーロ、もとい坊主頭は振り向いてディズに話を振る。


「急に話しかけて申し訳ありません

 私は担当教官のディズと申します」


「いや構わない

 それで聞きたい事はなにかな?

 私は冒険者だ気を使う必要はない

 何でも聞いてくれて」


その言葉にディズはストレートに質問を投げかける。

質問内容に坊主頭は少し苦い顔をしていたが本人も気になっていたんだろう。

止める訳でもなくディズに話させていた。


「ふむ、なるほどな

 事前に詳細を伝えなかった事は詫びよう

 だがデコズーロさんと、いや養成所とは売買契約の同意は先程されたと思うのだが?」


もっともな意見にディズが黙る。

するとララがフフフと小さく笑う。


「ミガ違いますよ

 彼が気にしているのは自分の収入が減ってしまう事ですわ

 折角、育てて試合で稼ぐって時に私達に買われてしまうんですもの

 養成所としては損はしてませんが・・・・彼はそれが少々不満なのですよ」


「アッハッハッハ

 そうかそうか・・・そう言う事か」


ララの突っ込みにミガが豪快に笑う。

図星を言い当てられたディズは下を向くし坊主頭は難しそうな顔だ。


「急に笑ってしまいすまない

 あぁ良かったら座ってくれ」


渋々とだがディズは坊主頭の隣に座る。


「ディズと言ったか君の気持ちは理解出来る

 日々の実入りと言うのは誰でも気にする事だ

 君の頑張りがあってA17君が闘士になる事が出来たんだ

 それを無下に扱うような事は此方としても不本意だ

 勿論、君にも納得できるだけの額を支払う事を約束しよう」


ディズの顔がパッと明るくなる。


「本当ですかっ?!

 いやぁ今回は良い売買が出来そうですね」


・・・・・あっけなく手放しやがった。


「それは当方に支払う額とは別にと言う事でしょうか?」


「あぁ、それでいい

 教官殿には別途支払おう

 頑張った者の努力は報われた方が良い

 優秀な教官は優秀な闘士を生み出す為に必要だしな」


俺以外が全員納得して商談を進める。


酷い事や肉体労働をさせられる訳ではないが

俺自身の事なのに俺の意見が特に必要とされず周囲が決める。

やっぱ俺は奴隷なんだなと実感する。


「おい、A17

 こっちに来い」


「はい」


4人が座る場所に近寄る。


「お前についての契約無事に終了した

 この方が新しい主人だ」


ミガが真面目な顔でララが笑顔で見つめてくる。


「宜しくお願いします

 そして教官、ありがとうございました

 闘士になれたのに残念です」


俺の言葉にディズの顔に「?」が浮かんだ。


「ディズよ・・・・・報酬に目が眩んだか?

 A17は売買の契約内容を知らないんだぞ?」


「あぁ、そうか

 すまんな

 これからも俺はお前の担当だぞ」


「ん?どういう事ですか?」


「それは私から説明しよう」


どうやら俺の売買契約は少し特殊な感じらしかった。




結論から言えば俺はミガの従者として購入され養成所を出る事が決定した。

但し闘士としても引き続き養成所に籍を置く事となった。


「王都に来る際に闘士として出場出来るように

 そちらでの籍は抜かないで貰いたい

 担当教官もそのままで良いし試合の報酬も受け取って良い

 現状よりも取り分は下がるが申請や各種手続きだけで

 試合報酬が入ってくると思えば良いと思うがどうだろうか?

 勿論、試合で怪我を負ったり死んだ場合でも責任は問わなくて良い」


これがミガが坊主頭に伝えた要望する契約内容の一部だ。

普段は管理も訓練もしなくて良いし

相手から申し込みがあったら出場手続きをするだけだ。


それでいて売買時の一時金も貰えるし賞金も貰える。

更に何かあっても責任は取らなくて良いなんて

そりゃ養成所としてもディズにしてもウハウハな内容だ。

要は俺は冒険者であるミガの従者でもあり

王都に来た際には闘士として出場する闘士でもあるわけだ。


主人が変更になるので養成所ので必須魔道具である"隷属の輪"は

取り外されて代りの魔道具を付けられた。

首につけるチョーカーのような奴だ。

コレは持込品で"隷属の輪"の代りになるような魔道具らしい。

勿論試合中は公式の魔道具を装着させられるけどな。


ふむふむ。

どんなアイテムなんだろうなっと。


=========================

≪Slavery Choker≫


対象者の魂魄に$%#$ける事により%&%#が可能となる

#$%$の魔力を動力源と%$#$$$%#。

取外しは&%$$$$る。


%$#$$により作成され$#$#$#に&$された。


種類:該当情報取得不可

等級:該当情報取得不可

品質:該当情報取得不可

作成者:該当情報取得不可

=========================


うおい!

なんだこの内容は?!

色々と突っ込み所が満載だ。

アイテム名が英語表記だし!

読めないし!文字化けしてるのか?!

何とかに作成され何とかに何とかされたなんて表記見た事ないぞ。

つうか該当情報取得不可ってなによ!


「迷宮産の魔道具で効果は隷属の輪と似た様なものよ

 少しだけ弄ってあるけど大丈夫よ・・・・ふふ」


ディズと坊主頭の疑問にララが答えてたけど笑顔ががこえーよ!

迷宮産って通常のアイテムより強力なのが多いのに

更に弄ってるってどういう事だよ!

もう装着しちゃったから何も出来ないけどさ・・・。


ララ曰く効果は"管理者に害を加えない事と命令に従う事"だ。

それ以外の行動は一切の制限をされていないから安心してと。

「逃げるな」と言われれば逃げれないが

言われないければその限りではない。


・・・・が、早々に「私の側から余り離れるな」と

言われてしまったので逃げる事は出来そうもない。

ついでに「現状では管理者は私とララと養成所の者だ」とも指定された。


試しに離れようとしてみたが妙に嫌な感じがすると言うか

嫌悪感のような物が心に湧き上がった。

これが"魂魄に$%#$"って奴なのか?

無理矢理に行動は出来そうな気もしたけど

妙に嫌な予感しかしないので大人しくしておこう。


養成所の外に出れるのは俺にとっても嬉しい。

俺が転生してから魔王領がどうなったかも知りたいし

他にも色々と気になる事もあるしな。





最終的な手続きと俺の譲渡についての確認を

養成所の責任者と坊主頭の立ち合いで行うとの事なので

俺とディズは隣室で待たされる事になった。

少し時間が掛る様でなんと飲み物付だ。

俺の所有権が養成所から移ったってのがこんなトコでも感じるな。


「随分と早い旅立ちになっちまったな」


少し気まずい感をしつつディズが話しかけてくる。


「・・・・・そうは言いますけど教官も売った1人ですからね」


「そう言うなよ

 お前だって早く此処を出たかっただろ?

 それによ・・・俺だって自分の収入は大事なんだぜ

 こんな脚だからな闘士としても冒険者としても活躍は無理だしな」


「他の道は選べないんですか?」


「俺はな・・・・辺境に近い村の出でよ

 危険がまぁソコソコあったんだよ

 だから小さい頃から戦う事に憧れてたんだ

 まぁ畑仕事が嫌だったてのもあるけどな

 で、この国で強さに憧れるとなるとやっぱり闘士な訳だ」


「夢を諦めきれないと」


「もう戦えはしないけどな

 それでも関わってく事は出来るしやれる事もある

 今更他の道は選べねーよ」


そう言って少し寂しそうに笑う。


「どうしてもですか?」


「あぁ、どうしてもだ

 こればっかは仕方がねぇ

 小さい頃の自分を裏切れねぇさ」


この人は軽いんだか何だかよくわかんねーな。

他の教官とは違って厳しい感じは受けないのに

妙に現実的な所もあって立場を気にせずに接してくれる。

本来であれば俺のような者には上から目線で接するもんなんだけどな。

現に他の教官なんかはそうだし。



ふむ?



これは俺の出番かな!

時は来た!それだけだ!

ミノルサン・・・・ウラレチャッタヨ・・・・。

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