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少しづつ日が長くなってきました。

太陽の暖かさって素晴らしい!

最近は様々なイベントにエンカウントする機会が

上がってきているように感じる森山実留です。

これも誰かの影響なんでしょうか?

明らかに一般人が遭遇するイベントじゃない気がするんですが・・・。






穢れた神気・・・・今の俺にはそうとしか表現できない。

汚れている、濁っていると言い換えても良い。

とにかくそんな気持ちが悪い力が床から溢れてきた。

神の力だと感じ取れるのは俺に神の血が入っているからだろうか。


それとアリスとルーブは俺の近くだと楽になるようだ。

神の血って今迄気にした事ないけど一応は効果があるのかね。


「穢れた神気・・・ですか?」


「あぁ、前は何かが邪魔してて明確じゃ無かったけど

 今は神気だってハッキリと断言できる

 だけど・・・今まで感じた事が無いほどに濁ってるって言うかな」


「濁りですか?」


「うーん、何と言うかさ

 今まで会った神の神気ってさ個人差なのか色々と感じる部分はあったけど

 皆が透き通ってたんだよね

 それが今回は重いと言うかドロッとしてるって言うかね

 それに気持ちが悪いし」


「なるほど

 それでどうしますか?

 下に原因となる存在が居るんですよね?」


「そうだな・・・・間違いなく神・・・少なくとも神気を扱える何かが居る」


「キリルさんとリースちゃんは大丈夫ですかね?」


「わからんが相当に厄介な事にはなっていると思う

 今迄は抑えられてたから明確に感じれなかったけど

 ここより下は元々、この神気が溜まりまくってただろうしな」


ふむ・・・・・気合を入れていくしかないだろうな。

魔法陣の機能を再チェックして問題が無い事を確認し

壁の隙間にあった通路に向かった。




通路は細く人が1人通れる程度で天井も低い。

緩やかに螺旋を描く通路を進む。

地図で確認すると丁度、上の魔法陣の真下になるようだ。

進んだ先には小さな部屋があった。

部屋の入り口でコソコソと中を伺ってみる。


中の作りはドームの様な半球の形をした場所だ。

そこには明らかにこの世の者とは思えない存在感を出す者が居た。

部屋の中央にはガラクタの様な物が雑多に積まれていて

その頂点に深く椅子に身を預けた老人のような風貌の人外が。


外見はどうみても老人だ。

真っ白なボサボサの髪に皺くちゃになった手。

俯いている上に少し横を向いているので顔は良く見えない。

全然動かないんだけど寝てるのか?


「とりあえずアレがこの力の大本だな

 ヤバイ気配がビンビンするぜ」


「あれは・・・神様なのでしょうか?」


「わからん・・・・・・

 神気は感じるからそうなんだろうけど

 なんつうか空っぽって言うか

 本物じゃないって言うか・・・」


「私は精巧な作り物っぽさを感じます」


「あぁ、それは言い得て妙だな。

 人形のような感じだよな

 力は感じるのに中身が無いってのも変だけど」


「なるほど

 アレですかね

 前に実留さんが飲んだ

 "幻影神素"とか言うので作られた義体でしたっけ?」


「んー、それも違うような気もするんだなぁ

 それにしちゃ妙に神気は強いし・・・・

 でも生気みたいのは感じられないし・・・・」


「今からどうするんです?

 倒してみるとかですか?」


「倒せるもんなら倒したいけど

 あれが神だとすると俺じゃ無理じゃね?

 ゼノみたいに神の加護を高出力で出せる訳じゃないし」


「ならこのまま放置ですかね?」


「でもまだ2人が見つからないしな

 居るとすればココ位しかないだろ

 まずは中に潜入して様子を伺おう」


気配を極力抑えた上に魔法で各種シャットアウトをし

ソロソロと部屋に入る。

老人は俺から見て右側を向いているので左回りだ。



注意しながら中腰で壁際を進んだ。

丁度、老人の裏側まで来た辺りでついにキリルとリースを発見する。


『実留さん!あそこに!』


『あぁ、俺も確認出来た』


老人が座っているガラクタの山に

磔のようにロープで括りつけられていた。

その部分だけ仄かに呼吸するかのように発光を繰り返している。

リースはガラクタ山の麓にキリルは上の方でちょっと手が届きそうもない。



別れてから数年が経ち少しは大きくなってはいたが

ハイエルフの成長速度は人族のそれよりも遅いのか

以前とそんなに変わっていなかった。

エルフとハイエルフってどっちが成長は早いのかな?

関係がいまいちわからんのだよね。


キリルは大きく成長し幼さが抜けて青年に成長していた。

それでも愛嬌のある顔つきは変わっていなく

順調な成長を感じるな。


ソロソロと2人の元に向かう。


『呼吸はしているみたいだな

 これで最悪は回避出来たか』


『ですね!

 無事で良かったです』


『いやまぁ・・・無事とは言い難いがな』


"ひょっとしたら2人はもう・・・"という

緊張から解き放たれて苦笑する俺とアリス。


老人を警戒しつつまずはリースに小声で話しかける。


「リース、リース!

 無事か?」


「・・・・・ん・・・・」


声を掛けると弱々しいものの反応がある。


「"癒しの光"」


精神と体を回復させる魔法を発動しリースを癒す。


「あ・・・・・あぁ・・・・・」


薄っすらと目をあけた。


「大丈夫か?ここが何処だかわかるか?」


「ココ・・・?

 ワタシ・・・・?」


覚醒したばかりで意識が混濁しているのか

虚ろな目で俺を見てきた。


「お・・・お姉ちゃん・・・・?」


そう呟くとリースの虚ろな目に光が急速に戻って来て

綺麗な緑色の目はキラキラとしだす。


「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」


ボロボロと泣きながらジタバタと暴れるも拘束は緩む気配すらない。


「お・・・・おい・・・ちょっと落ち着け」


「キリルお兄ちゃん!

 お姉ちゃんだよ!

 お姉ちゃんが来てくれたよ!」


心から叫ぶような声をあげて歓喜するリース。

それでも頭上の老人はピクリとも動かない。


あれ?

死んでる・・・・訳じゃないよなぁ・・・・なんだ?

俺の心配は他所にリースは大声でキリルを呼び続ける。


「ん・・・・・リース・・・・」


その甲斐あってかキリルも気が付いたようだ。

青く綺麗な目が俺を見てくる。


「ミノ・・・ル・・・さ・・・ま?

 ・・・・本当に・・・・ミノ・・・ル様・・・だ・・・」


あれ?キリルも俺を認識してる?

どういう事?

性別も外見も違うんだぞ?

ひょっとしてまた何か例のアレか?


慌てて2人を確認すると

あるスキルを共通で持っている事がわかった。 


=========================

スキル:転生者の従者

=========================


ふむ?

なんぞこれ?

母犬達と同じようなスキルかな?


=========================

≪転生者の従者≫


説明:神に愛され幾代の生を旅する者と共に

   生きて行く事を決意し神に選ばれし者


効果:各能力値、及び成長値にプラス補正

   転生者に同行している場合は更に効果プラス

   転生者の生誕は感じれるが場所や方向までは

   感じる事が出来ず近くに居ればわかる程度   

=========================


ほほう。

これはまた随分とアレなスキルだな。

俺をちゃんと認識しているようだし

神謹製は相変わらずのチートスキルだ。

だけどこれならば話は早い。


「あぁ、俺だ

 2人共久しぶりだな

 元気・・・・そうでもないけど無事で良かったよ」


「お姉ちゃん・・・」


リースはボロボロと泣きながら俺を呼んでくる。

うん!俺はお姉ちゃんじゃないぞ!男だぞ!


「ミノル・・・様・・・・会いたかった

 会いたかったですっ!」


うんうん、気持ちはわかるけど落ち着こうな。

拘束された体がギチギチ言ってるぞ。


「まぁ待て・・・・今、拘束を解くから」


まずはリースだとロープらしき拘束具に手を伸ばす。

ロープに手が触れるとビリッと電気が流れた気がした。


「駄目!お姉ちゃん!」


「ミノル様!駄目です!」


「ん?」


バババっとガラクタの山から触手のように幾つもロープが伸びてくる。


「お、お、お、なんだ?」


嫌な予感がしたので回避する。


「ミノル様!それに捕まると力を吸い取られます!

 注意してください!」


マジか!

その後も幾つも飛び出してきてロープの数は増えてくる。

幸いな事に動きが遅くて単調なのが助かった。


どう対策を取るかと考えていると更なる変化が起きる。


「グォ・・・・・・・・グォォォォォォォォツッッッッッ!!」


唐突に頭上の老人が吠えた。

押し寄せる神気に脳が沸騰するんじゃないかと思う程に

精神的な負担がググっと増えた。


反比例するようにロープが力なく床に落ちたが

俺達も身動き出来ずに

ただただ獣が吠えるような声だけが部屋を満たしていた。


「お姉ちゃん逃げて!

 アレが動き出したら駄目!」


リースが何とか聞こえる程度の声で警告してくれるが

俺だけ逃げる訳にも行かない。

キリルも何か叫んでいるが聞き取れない。


何とか立ち直しリースを張り付けるロープに

手伸ばそうとした瞬間に咆哮が終わった。

ギョッとして上を見上げると老人が俺を見ていた。


老人の顔には深い皺が刻まれており

鈍く光り輝く目が俺を捉えていた。

だがそこには意志が現れておらず無表情のままだ。


老人が右手を上げると床に落ちていたロープが跳ね上がり

前とは比べ物にならない速度で襲い掛かってくる。


「ミノル様!逃げてください!

 それは!そいつは神です!

 とてもじゃないけど敵う相手じゃないっ!

 聖女様じゃないと抑えられません!」


「キリルお兄ちゃんの言う事は本当!

 だから逃げてっ!

 それに捕まっちゃ駄目!」


おいおい、神かなーとは思っていたけど

本当に神なのか?


老人・・・老人神に操られたと思わしきロープは苛烈に迫ってくる。

本数も多く動きも速度も段違いだし

武器で切ろうが魔法で焼こうが直ぐに再生し襲いかかってくる上に

耐久力もあるようで全力を出さないと傷も付かない。

俺の結界じゃ突破されそうなので避けるしかない。


余りの苛烈さに一瞬の隙を着いて右腕に巻きつかれた。

切り払おうとするのだが急に膝が崩れ落ちる。


「なんだ?一気に力が抜ける?」


全身から急激に力が抜けていく。


「それに触れると力を奪われます!

 動けなくなる前に対処してください」


そう言う事は早く言えよ!

咄嗟に魔法で切り落とすも動きが止まったのは致命的となり

数本が体に巻きつかれた。


「ガッ・・・・・くそ・・・・」


全く力が入らずに床に倒れる。


「ミノル様!・・・・ガッ・・・」


「お姉ちゃん!・・・・・ンッ・・・」



俺への攻撃につられてキリルとリースへの出力も上がったようだ。

キリルは苦しみリースは再び意識を失った。


このままじゃ不味い。

だが相手は神だ。

しかもロープですら断ち切るのが困難な程の力量差。


ならば俺も相手の土俵で戦うのみ!

失われていく力を必死に集めて宣言する。


「助けて!ファーーーーーーバーーーーンッ!!」


俺の最大の手札である"神"を召喚した。



淡い光と共に召喚された迷宮神は

相変わらずのくたびれたスーツ姿で汗をかいていた。


「え?はい?えっと・・・・はい?」


呼んでみたものの・・・・コイツで大丈夫なんだろうか?

ファーバンは謎道具とかで助けてくれないですかねー。

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