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5-50

お待たせしました。

迷宮攻略も馴れた感じのある森山実留です。

ボス攻略も素材回収もなんでもバッチコイ。

今回の要人救助もお手のもの!


御用命は今すぐに支援団体ヴァリスにどうぞ!

あ、遠方の方は出張費を別途請求させて頂きます。





迷宮内部は更に濃密な瘴気で満たされていた。

抵抗力が無ければ一瞬で意識を持って行きかねない濃度だ。


最初からこれかよ・・・・。

うんざりしつつも歩を進め入口から見えなくなった辺りでアリスを召喚する。


「っう!ウプッ

 妙に瘴気が濃いですね

 それに変なモノが混じってる気がします」


「やっぱりそうか?

 何だかわかんないんだけど妙な力を感じるよな」


「ん?ルーブちゃんも何か感じてる?」


「ぴーぴー」


「ルーブちゃんも警戒が必要って言っていますが

 良く分ってないみたいですね」


濃密な瘴気に謎の気配ってか"妙な力の気配"か・・・。

なんか一筋縄でいきそうもないなぁ。


地図を表示させると1階層目は通路がグルッと円を書くような作りだ。

小部屋が幾つかあるので探索には少し時間が掛るかもだな。


「結界を張るポイントは書いてあるけど

 そこに居るかも地図が正確かも不明だ

 多分だけど迷宮自体も成長するタイプだろう

 見落としたら元も子もないし全部確認しながら進むよ

 アリスとルーブも何かあったらすぐに教えて」


「わかりました!」


「ピー!」




捜索は想像以上に時間が掛った。

通路はそうでもないが部屋でのエンカウント率が異様に高い。

と言うか全ての小部屋に居ると言って良い。

居ないのは浄化が施された部屋だけだ。

それはキリルとリースが通った痕跡でもある。


浄化された部屋があるので俺達は休憩できるが

あの2人はこの環境の中を進んで行ったんだ。

相当に厳しい行程だろうな。

想像するだけでも嫌になる。


下への道が見えた所で1階層が終了した。

ここの迷宮は下に螺旋状の坂道で降りる構造のようだ。

螺旋階段は幅が狭く俺が両手を伸ばしたら壁に着いてしまう位だ。

基本的に階層移動中は魔物が出ないと言われているが

当てはまらない場合もあるので注意が必要だ。

ここがそうだとすると・・・・ちょっと不味いかも。


まぁ結論からすると敵は出てこなかった。

特段に何もなく降りれてしまった。

1階よりも更に瘴気が濃くなり何かの力も強くなったように感じる。


「下・・・・からか?」


「そうですね・・・・何となくですが

 もっと下から感じる気がします」


「うーん、なんだろうな・・・・」


「なんでしょうか・・・」


何処かで感じた事あるような力なんだけど

ボンヤリとしか掴めない上に不定期に漂ってくるだけなので

正体がハッキリしない。

どうにも濃い瘴気が邪魔をして感知しきれないようだ。

それほど危険を感じないが・・・どうにも心がザワザワする。


「キリルとリースは大丈夫かな」


「大丈夫ですよ!

 ほら、ここも浄化を終わらせてますから」


「そうだな

 よし、先を急ごう」


2階層に入っても浄化作業と設置作業の跡はあった。

それを追って進む。

この階層は1階層とは逆回転の円のようで部屋数は減っているが

中はモンスターハウスのような有様だ。

偵察し中に魔物しか居ないとわかると

容赦なく部屋の中に魔法を撃ち込んで殲滅した。


迷宮内なら魔力を十分に調達できる事もあり

ある程度のレベルの魔法ならぶっ放したい放題。

物理攻撃が余り有効ではない為、時間短縮を兼ねてドンドンぶっ放す。

久々に魔弾以外を使う機会なので色々と試しつつ

熟練度UPも兼ねて連発だ。



熟練度と言えば≪創造魔法≫で威力や効率を上げるには

幾つかのパターンがある。

大きく分ければ以下の3点だ。


1.仕組みや構造を理解し組み立てる

2.想いを籠める

3.発動回数を重ねる


1については自動発動した後でも仕組みを理解すれば

意図しない限りは構築式が自動で書き換えられる。

これは新たな方式や別の原理を組み込む事も可能だ。

極端な事を言えば"神"の力を借りた魔法構築式に

"悪魔"の力を借りると言った"力の大本を変更する"なんて事も可能だ。

効率や魔力消費については別の問題となるが

途中の構築式は自動で切り替わるので便利だ。


一度、発動した魔法は自動登録されるので

念じたり唱えたりする事で使用可能となる。

発動さえ出来れば"神の力"と"悪魔の力"の両極端の魔法を簡単に登録できる。

つまりはレパートリーやバリエーションは無限に作れるんだ。


自動構築は相当な融通が利くが、やはりそれぞれに適した構築式はあるので

効率や威力を上げるにはちゃんとした理を紐解いた方が良いのは間違いが無い。

なので日々の情報収集や魔法に付いて学ぶ事は大切なんだ。


次に2だがこれは意志力の影響力だと考えている。

神曰く"≪創造魔法≫は俺のイメージ次第で何でも出来る"だそうだ。


俺の意志の力で世界に変化をもたらすとも言えるだろう。

だから強い想いは≪創造魔法≫への影響力を強くする。

逆に言えば手を抜きたいと思えば威力は弱くなるので加減も出来るので便利だ。


そして3だが、これはゲームっぽい。

登録された魔法を使い続ける事によって構築式等が最適化されていくので

威力と効率が少しづつだけど上昇する。

相当無理な構築式で発動がギリギリでも使い続ける事によって

威力が上がり発動も楽になっていく。

まぁ限界はあるだろうけど。


今回、俺が頑張っているのは3だ。

最初に色々と使ってみたし暇な時には新規で考えたりしてるので

攻撃魔法としても結構な種類を登録している。

普段は大量生産した"弾"を射出する"魔弾"ばかりなので

ファンタジー世界お約束の攻撃魔法を使っていないので熟練度は低い。


まぁ"魔弾"は"実物"を飛ばすだけなので消費魔力が少ないし

素材、形状、纏う性質によって威力の調整もしやすいので使いやすいんだけどね。

結界や障壁にも通り易いし初見だと防ぎにくいってのもポイントかな。


とりあえず今は≪魔力吸収≫と≪"魔力混合≫で魔力の底上げと回復をしながら

過剰とも言える量の魔法をバンバン放ってる。

相手が無形の魔物って事もあるので普段目立たない≪魂吸収≫も併用だ。





調子に乗ってきたので1階よりも早く2階の探索は終了した。

確かに魔物の密度と強さは1階よりも上だったが

部屋数は少なくなっていたのが要因だろう。

この程度の強さなら魔力が枯渇する程の威力は要らないし

そこそこのを容赦なく連射して殲滅した結果だ。


俺だから何とかなったが真面に攻略しようとすると

生半可な腕じゃ無理だな。

自慢じゃないがそれだけの強さと密度の敵だった。


3階には同じく螺旋状の通路で降りた。

地図を見るとシンプルな作りだ。

通路を進むと大き目の広場の様な場所があるだけで

部屋も何も無いらしい。


その中央が迷宮のヘソ部分でキリルとリースが目指したのはソコだ。

1階と2階に設置した魔法陣と3階の魔法陣で積層型の強大な浄化結界となる。

1階、2階の事前準備は出来ていた。

全ての部屋を周る必要はないとしても2人で攻略していくには

相当に厳しかったハズだ。

2人は・・・3階・・・に居るのだろうか・・・・。





3階は今迄と違い瘴気が薄くなった代わりに謎の力を強く感じる。

通路の先から流れてくるのがハッキリと分る。

感知スキルも上手く働かないので確信は持てないが

この力に引き寄せられて瘴気が発生しているっぽい。


迷宮の作り自体がこの力を抑え込むような

力場のような感じになっているようだ。

それでも抑えきれずに瘴気を発生させる要因となっているようだ。

その所為かは不明だがこの階に魔物の姿は見えない。


そして改めて感じてみるとこの謎の力は不味い。

瘴気なんぞよりもっとヤバイ。

魔力や闘気等に近いモノも感じるが全く異質の力だ・・・・。

一番近いのは神気・・・・だろうか。

ラバリオなんかに感じた力に近い気もするが

何かが決定的に違う。


「神気・・・・・って奴なのか?

 その割には妙に・・・・何と言うか・・・・」


「気持ち悪いって言うかベトベトと

 体に纏わり付くような嫌な感じがありますね」


「だな・・・・こう気分が悪くなるな・・・

 淀んでるって言うか濁ってると言うか・・・」


「そうですね

 直接的に穢れを感じると言えば良いのでしょうか」


「あぁ、ラバリオからこんな感じは受けなかったけど

 どこか根本が似てるって言うかな・・・・よくわからん」


そう・・・それはとても変な感じだ。

元々綺麗で豪華な屋敷がゴミ屋敷になったような

そんな嫌悪感を感じる。

清んでた水が濁ってしまったかのような不快さだ。


この先には何かが絶対にある・・・意識を切り替えて進もう。


通路を歩いていくと前方に薄っすらと光る魔法陣が見えてきた。

あそこが広場で行き止まりとなっている。

そして2人の最終目的地・・・のハズだ。

警戒を最大限にして慎重に進む。


広間は床の魔法陣が発光しているのが全体的に薄暗い。

他に通路があるようには見えなく一面壁だ。


「何も・・・・・無いな?」


「ですね・・・・それに誰も居ません」


そして広場の中心に設置された結界魔道具と

地面に描かれた魔法陣以外は何も無かった。


魔法陣を読み解くと迷宮の魔力を使用するタイプだ。

アイドリングで待機状態のようだな。

この状態でも浄化は多少行われているっぽい。


浄化と簡易的な聖域化の複合タイプに見受けられ

起動してみようと思ったが鍵が必要なタイプだ。


≪構造解析≫して鍵を作ろうかと思ったが

魔力を莫大に使いそうなので止めた。

迷宮内なら回復も早いが何かあっても対処出来なくなりそうだし・・・。

起動するにしてももう少し調査してからの方が良いだろう。


うーむ、どうしたものか・・・。

ここにも居ないとなると既に・・・・。

だがそれでも何かしらの痕跡は残っているハズだ。

感知系スキルも阻害され十分に効果を発揮出来ずに不安定だし

頭上のルーブに聞いてみても何も掴めないようだ。


「実留さん!こっちに来てくださいっ!」


「どうした?」


アリスは広場の端に居た。

端の方は光源が乏しく薄暗くて良く見えなかった。


「ここです!ここ!」


近寄ると細いが奥に続く道があった。

丁度、壁の陰に隠れるようにして細く奥に続く道が。

地図には無かったが新しく出来たのか見落としか・・・。


「どうするよ?」


「行くしかないんじゃないですか」


「だよな

 魔法陣はどうするかなぁ」


「あくまでも私達の目的は探索ですしね

 キーでもあれば起動させた方が良いと思いますが」


「確かに・・・起動させた方が良いとは思うんだが

 解析するにしても時間もかかりそうだしな」


「でも起動させれば瘴気も抑えられますし

 良いんじゃないですか?

 倒れる程は消耗しないと思いますし

 回復も前よりは時間も掛らないのでは?」


「それもそうか・・・・

 スキルもあるし熟練度も上がってるハズだから

 魔法陣全体じゃなくて結界具の起動キー解析だけなら

 なんとかなるかな」


キリルとリースがここに居なく結界が起動してないと言う事は

何かがあったのは間違いが無い。

逆に言えば何があったかが分からないからこそ

環境を整えるのも大事ってのもあるだろう。


「よし!じゃぁサクッと解析して起動しちゃおう

 浄化と聖域化なら悪さはしないだろうしな」


「はい!周囲の探索は任せてください!」





既に用意されている魔法陣に影響が出ない様に

結界魔道具の周囲に薄い鉄板を用意し新たに魔法陣を描く。

魔道具を起動する為の流れを解析しするだけだし

何とかなるだろうと魔力は自分のを使う事にした。

それでも俺が出来る対策は全て取った。

スキルも全開で魔力量と回復量も限界まで上げた。

更には質が悪くて余っていた"魔核水晶"も大量に口に含んでおいた。


まぁ結果として起動キー生成は簡単に成功した。

単純に魔力の通り道を塞いでいただけなので

導線を通せば良いだけだったんだ。

多分、起動キーと言うよりはオンオフスイッチのような感じだったんだな。

魔力もそんなに必要ともしなかったので涎だらけの"魔核水晶"を見て

ちょっぴり悲しくなったのは秘密だ。



解析の魔法陣を撤去して元から描かれていた魔法陣をチェックする。


「詳細はわからんけど大きな問題はなさそうだな・・・・

 にしてもよくこんなの書けたな」


「リースちゃんは魔法技術の上達速度が凄いと

 ブタ子さんも言ってましたからね」


「キリルもリースを守りながら下りてきたんだろう?

 俺が言うのも何だが成長速度が半端ねーな」


「なんででしょうね

 そういえばそういう人って多いですね」


「うーん、なんとなくは感じていたけど

 やっぱりそうなのかね

 それも誰かの影響なのかねぇ」


チラッと天井を見上げるも何も見える訳がない。

向こうはコッチを見てるだろうけどな。


「とりあえず起動してみっか

 そろそろこの気持ち悪い感じも嫌になってきたしな」


生成した起動キーを差し込み魔力を伝達させると

魔法陣の輝きが強くなる。

それに伴い少し甲高い音を周囲に配置されている魔道具が発する。


「おお!

 こりゃ凄いな

 一気に場が形成されていくのがわかるぞ」


目の前の魔道具を中心にブワッと力場が作成され

縦に横に広がって行くのが感じられる。

それはとても暖かく清浄な力だ。

これで迷宮内に溜まり続けて漏れ出している瘴気も大幅に軽減されるだろう。

解決にはならないが時間稼ぎは出来るハズだ。


だが・・・・あれ?


なんだこれ・・・・?


「み・・・実留さん・・・・

 ちょっと・・・ウプ・・・コレ・・・

 なんですか・・・?」


「ピィーピィー」


アリスとルーブが何かを感じ取り気持ち悪そうにする。

勿論、俺も同じ感覚を味わっているが

そこまで具合が悪くならないのは耐性があるからだろう。


「大丈夫か?

 気をシッカリと張れ!

 意識を持って行かれるぞ」


「実留さん・・・コレの正体がわかるんですか?」


「多分・・・・感じてた通りに・・・神気だ・・と思う

 結界が発動した事によって明確になったって言うか

 抑えてたのが解放されたって感じだな

 聖域化じゃ・・・・神気には効果が無いって事か」


今や猛烈に床から噴き出してくる神気に気持ちが悪くなる。

普通の神気なら気圧されるだけだとは思うが

溢れ出てくる神気は酷く穢れていた。


神は・・・・かは断定できないが

間違いなく超常の存在が居る・・・俺達の足元に。

嫌ーな予感がしますね。

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