しゃべる魔獣の変な店
男は住み慣れた街の一角で見知らぬ店と店主に出会う。
街の中心地から少し外れた空き地にて。
荷台の広い自動車に大きな傘がかかり、その影の中で色とりどりの売り物が並んでいる。この辺りで路上販売とは珍しい。広場や大通りに行けば、二、三台程度、屋台が見えるだろうが、何もこんな人通りの少ない場所を選ばなくても。
そう思いながらも、不思議と足が向いていた。
「そちらのお客さん、初めてですね。ようこそ、花の尾へ!色々見てってくださいな。」
近づけば商品の色形がはっきりとする。どうにも変なものばかりだ。気の良さそうな笑顔をしている店主だが、どこでこんなものを集めてくるのやら。
見慣れない色の毛皮や、加ボトルに入った液体が並ぶ中、見たことのない植物に目が止まり、無意識に手が伸びていた。
「買わねーなら、ベタベタ触るなよ。それ、入手が大変だったんだからな。」
下から聞こえる声に驚いて視線を向ければ、耳の長い生き物がこちらを見ている。
………なんでここに魔獣が!!!???…というかこいつ今喋らなかったか??喋れる魔物なんて聞いたこともない!なんなんだこいつ気味悪いな。
「タット、そう厳しいこと言わないの。
気を悪くされたらすみません。どうぞお気になさらずに、お手に取ってご覧ください。」
なぜこの店主は普通にしているんだ!??魔物が喋ってんだぞ!!!??
というかタット?この魔獣の名前なのか。魔獣に名前があるのか?そんなペットじゃないんだから。気安く近づいて、襲われでもしたら、
「お手元のそれは、マンドラゴラの一種でして、赤いものは薬用に、干したものをすり潰して使います。白いものは 食用に、煮物がおすすめです。よく味が染みて柔らかくって、美味しいですよ。」
煮付けか、美味そうだな。…いや違うだろ!?平然と説明を続けるなよ!!!
……いや待て、今なんて言った?マンドラゴラ?マンドラゴラって食えんの!?煮付けで??
「それ以外にも色々ありますが、本日はどんなものをお探しですか?」
「…………この白いやつ2本ください。」
とりあえず、考えるのはやめだ。今夜は変わった煮付けを楽しもう。




