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スキマ産業

射倖心とは、厄介な代物である。

古くは、願掛け。今に至れば、ギャンブルやソーシャルゲームにも、その伝統は引き継がれているようだ。

かくいう私も、ソーシャルゲームに十万円以上課金し、素知らぬ顔で暮らしている。

現在を抵当に入れ、未来を安易に買わんとする不届きな誘惑は、抗い難く、ふとしたきっかけで、人は大金をつぎ込んでしまう。

私が射倖心に目覚めたきっかけは、幼少の頃出会った、一回数百円のガチャポンだった。

最近、大型CDショップに足を運んだ際、ガチャポンを発見した。ふと懐かしくなり、三百円を入れ、回してみた。回す際の手応えは変わらぬようだ。慣れ親しんだ音と共に、カプセルがまろび出る。

私が買ったと思ったのは、コップのフチ子という商品だったのだが、家で開けてみると、全く別物だった。

コップのフチ子とは、手のひらサイズのOLを模した人形であり、コップのフチに載せて遊ぶものらしい。故に、フチ子という名を冠しているのであろう。

フチ子を見ると、ベルリンの壁を連想するのだが、人によって、遊び方もまちまちである。深くは言及しない。

さて、私が買ったのは、コップのフチ子ならぬ、コップのソコ子であった。

何それ?

私の頭は一瞬真っ白になった。

カプセルに入っていたのは、平べったい巨大な顔のOLだった。しかも不貞腐れた顔をしている。

説明書きによれば、グラスの底にコースターのようにOLの顔を敷いて、上から眺める趣向らしい。

ますます当惑させられた。一体これの何が楽しいのだろう。見下ろせば平面、平面。

私の見識の浅さが露呈する気がして、ネットで調べるのが恐ろしい。

「世界のCEOは、ソコ子に老子思想のタオを感じ取ります」

とか、書いてあったらどうしよう。

Why Japanese people!

ソコ子のような不貞腐れ顔になった私は、諦めかけたのだが、ふと考えらしいものが浮かんだ。

グラスに敷いて上から眺めた際、OLの顔は、薄く平面なので二次元であるが、体の部分のフィギュアは三次元のままだ。

空間認識こそが、ソコ子の表現だとしたら、どうだろう。

空間とは、広がりである。実は私たちの顔もソコ子のように、何かに挟まれ、あらぬ方向に曲がっているのかもしれない。

重力などの一定の力の向きがあるから、それはないが、少し不安になる。

スーパーマリオは、移動する方向が決まっている。昔のゲームの良い所は、二次元に限定されていたことだろう。誰が何処に向かうかわかりやすい。これは大事なことである。

人間は次元を広げ過ぎて、向か先を見失った。

ソコ子は、そのことに警鐘を鳴らしているのではないか。

私たちは、次に何処へ向かうのだろう。

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