エピローグ!
妊娠発覚から二か月後、無事にボクとアクティスの結婚式が行われた。
ただ、この二百年もの間、この世界では、実質、結婚式と言うモノが存在しなくなっていたからね。
結婚式の形式自体が失われていたんだ。
なので、神前式も教会式も無し。
それ以前に、そもそも論としてトオル女神説があるからね。
女神本人が本人の前で何を誓うんだって話も浮上していたらしい。
それで、披露宴のみが執り行われることになったようだ。
まあ、人前式になるのかな?
今後、この世界の結婚式は、ボク達を前例として披露宴のみを行う形式になってしまうんだろうね。
高砂席の中央には、ボクがこの世界に来た時に、試しに作った巨大なダイヤモンドが置かれていた。
ボクは、このダイヤモンドを披露宴で使うつもりは無かったんだけど、フルオリーネ女王陛下の意向でね。
やっぱり、このダイヤモンドを自慢したかったみたいだ。
でも、さすがに身に着けられる大きさじゃないもので……、それで高砂席に置くことになったんだ。
ところで、誰に対してダイヤモンドを自慢したかったかって?
この披露宴に招待した各国の国家主席達にだよ。
招待客の中にはイサベリア女王陛下の姿もあった。
まるで、自分の娘のことのようにボクの結婚を喜んでくれていたよ。
ワザワザ、ボク達のために、遠路ハルバルお越しいただき、感謝している。
他にも、ビルハイツ王国のライラック女王陛下やピカドン王国のウラン女王陛下、ビオブラリア王国のレニフォルミス女王陛下、それからワルハラ帝国のシアン総統も駆けつけてくれていた。
ボク達のために時間を割いていただいて、本当に有り難い。
ちなみに、成人男性がほとんど存在しない世界だから、王様は、どの国にもまだ存在していない。
あっちを見てもこっちを見ても女王様ばかりだ。
って、Hな意味の女王様じゃないからね!
それはさて置き、順当に行けば、アクティスが、近いうちに、
『二百年ぶりに誕生する王様』
ってことになるんだろう。
この日、ボクはトオル・マイトナーからトオル・ウッドワードとなった。
ウッドワードはドロセラ王国の王家の苗字ね。
ちなみに、この国では夫婦同姓でも別姓でも構わないらしいんだけど、フルオリーネ女王陛下の意向で、ボクはウッドワードの姓を名乗ることになった。
…
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ボクが有馬透になる前の記憶を取り戻したのは、もう、かれこれ八年くらい前になる。
二百年前のボクは、変な宗教……堕天使アルセニコスを祀る、いわば悪魔崇拝に走ったわけだけど、そうなる前の自分のことも、今では色々と思い出していた。
実は、宗教に走る前のボクって、恥ずかしいことに優しいイケメン王子との結婚を勝手に夢見ていたんだよね。
それこそ、アクティスみたいな。
ハッキリ言って単なる妄想だったけど。
秀でた何かを持っていたわけでもなく、身体つきも貧相で、根暗で、まるっきりモテる要素ゼロだったから、飽くまでも憧れに過ぎなかったんだ。
あと、さらに言ってしまうと、今の姿も実は宗教に走る前のボクが、
『こんな容姿になれたらイイな』
って思っていた女性の姿だったんだ。
まあ、それなりにモテたいって思ていたしね。
秀でた何かも欲しいって思っていたし……。
ちなみに、有馬透時代のボクが、なりたいって思っていた男性の姿に、アクティスは随分近い。
そして、好みの女性の容姿は、完全に今のボクの姿だったけど……。
これは、性別が変わっていたから、『なりたい姿』と『好みの姿』が入れ替わっていたんだと思う。
なので、この世界に転生したばかりの時は、
『女神様は理想の姿の意味を取り違えていない?』
って思ったけど、実は、女神様は、あの時、既にボクの願いを半分叶えてくださっていたんだよ。
そして、アクティスとの出会いも含めて、二百年以上の時を超えて、全てを現実にしてくださったんだ。
出産まで、ボク自身は、一旦、薬作りをペースダウンする。
ミサ達にも頑張ってもらうつもりだけど、どうしても彼女達だけでは、全世界分を供給するのはムリだ。
だから、定番の薬は、予めボクの方で大量にストックを作っておいた。
ただ、ボクに要求されるのは定番の薬だけじゃない。
突然、緊急対応が入ると思うから、薬作りを完全ゼロには出来ないんだ。
これまで同様、出張も入るだろうし。
それにしても、こんな展開になるなんて、ビオブラリア王国に出張する前にフルオリーネ女王陛下と二人で密談……ボクとルビダスとベリルのことね……した時には、全然、想像すらしていなかった。
でも、志賀さんが転生して成長したら、一緒に薬作りが出来るかも知れないし、もし、志賀さんが前世の記憶を取り戻させてもらえたなら、ボクの知らない創薬研究のことを色々教えてくれるかも知れない。
実は、そうならないかなぁなんて思ったりしているんだけどね。
とにかく今は、志賀さんとの再会……娘との出会いを楽しみにしているよ。
トオル・マイトナー編 完
今までお付き合いいただき有難うございました。
引き続き、トオル・ウッドワード編に……進められればいいなあと思っておりますが、一旦、ここで終了致します。




