第13話 そんなママの抱き枕。
お風呂から出ると、また係りの人がきて、布団を敷いてくれた。
3人で手分けをして、アッと言う間に布団が準備された。3組の布団は、秋桜ちゃんのオーダー通り、ぴったりとくっついて一体化していた。
「あ、離すねっ」
舞雪さんが布団を離そうとすると、秋桜ちゃんが「だめーっ」っと、断固拒否した。
「んじゃ、そろそろ寝ましょうか」
そういうと、舞雪さんは恥ずかしそうに頷いた。
(昔のお見合いの新婚初夜って、きっとこんな感じだったのかな)
電気をけして、3人で並んで横になる。
天井を見ながら、じーっとしていると、2人の話し声が聞こえた。楽しそうな話し声。
(おれも、仲間に入りたいな)
少しすると、布団の中で舞雪さんが、手を繋いでくれた。
「手が離れてると、また秋桜が騒ぐんで……」
と、言うことらしい。
10分ほどすると、秋桜ちゃんは寝息をたてはじめた。
(きっと、すごく疲れているんだな)
秋桜ちゃんに布団をかけてあげる。
ポンポンとすると、反対側で同じようにしていた舞雪さんと指が触れ合った。
「あのね……」
舞雪さんは話し始めた。
「わたし、秋桜の良いママできてるのかな? 他の子は、きっともっと可愛いお洋服たくさん持ってるし、習い事も沢山してるし。秋桜、わたしのところに生まれて、かわいそうなんじゃないかって……すごく心配になるの」
「そんなこと……」
「それに、パパもだよ。わたしね、秋桜が保育園で、パパにお手紙書いたの見つけちゃったんだ。宛先のない手紙……。秋桜、わたしには言わないけど、きっとパパ欲しいんだよ。でも、わたしのせいでパパもいない」
俺は首を横に振った。
おれは、話を聞きながら、さっき秋桜ちゃんが正座したのを思い出していた。
この親子。
お互いに同じようなこと言ってる。
「知り合ったばかりの俺だし、分かったようなことは言えないけど、おれ、秋桜ちゃんの笑顔、大好きです。自分を不幸だって思ってる笑顔じゃないっていうか」
たまには俺も筒抜けスピーカーになっていいよね? 俺は続けた。
「きっと、秋桜ちゃんも舞雪さんと同じように、すごく舞雪さんのこと想ってる。きっと……」
ちょっとだけ、原文に大人変換を加えても許されるよね?
俺は続けた。
「きっと、秋桜ちゃん、舞雪さんの子供に生まれてよかったって、思ってます。やっぱ、きっとじゃないです。絶対に思ってます!!」
暗くて、ここから舞雪さんの顔は見えない。でも、涙をすするような音が聞こえた。




