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ポコぽこポン!  作者: いぐあな
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九月二十九日之事_____二十四話目

人間の心とは斯くも脆いものかと……。


中学の頃、訳知り顔の教師が

「人という字は人と人が支え合っている図であり人は支え合わなければ生きていけない」

とか言っていた。

しかし、俺にはそれが一方的に何かに寄っ掛かり支えられているだけにしか見えなかった。

寄りかかるのは人間、支えるのは夢、意地、欲望、矜持、金、……人それぞれだ。

その時はそこまでしか考えなかったし その先があるとは思ってなかった。


今更 気付いてしまった。支えが支えとして永遠に存在するとは限らないのだ、と。

いや、実は気付いていて 気付いていないフリをしていたのか。



朝 目が覚めると、ぽことすずが俺の寝顔を覗き込んでいた。

「うおっ!」


「とーちゃん、大丈夫ー?」

「ん? な、何が?」

「ちちうえ、顔色わるい。」

どうやら心配してくれているらしい。


「お兄ちゃん、昨晩は随分(うな)されていたんですよ。大丈夫ですか?」

「変な夢みたからなあ……それで かも。 あはは…。」


稚日わかひも心配してくれてるのかな? 有り難いな。

「具合がお悪いのでしたらお仕事はお休みなさったら如何ですか?」

「あ、いや 大丈夫だから。心配してくれてありがとう。」

「心配にお礼なんて……水くさいですよ、お兄ちゃん。当たり前ですよ、家族なんですからね。」


有り難い 即ち 無くし易い なのだ。

降って湧いた慈雨かぞくが砂地に染みて消えていく…そんな当たり前が待って居るのかも知れない。

思わず稚日わかひの手を握る。

「ありがとう。」

「………変なお兄ちゃんですねえ。」

ふふっと笑う稚日わかひ

「朝ご飯出来てますよ。お兄ちゃん。」



機械モノの下に潜っての仕事中、何となく串カツに聞いてみた。

「なあ、カツよー。あ、17のスパナ取ってくれ。」

「何すかー。 はいスパナー。」


「女の子って身内に秘密とかって普通なんかなあ? サスの3分ナットー。」

「そんなん当たり前ですやん? ほい、3分4個ー。女の子なんて秘密で出来てるんっすよ。」


「そうなんか? ってなんで分かるんだよ? ……ローバル取ってくれ。」

「そりゃ『doki❤︎doki 私立妹学園生徒会』シリーズでバッチリ学習しましたから! はい、スプレーのやつ。」


「前にお前がイチオシしてたゲームか!? マジックちょんちょんっと、よし撤収、次。」

「そっすよ。二作目の『パニック! おれの家庭が妹まみれ!』が特におススメっす! 撤収 了解!」

とりあえず、下から這い出して 「これだけは、」と思いそれを伝える。

「すまん……お前に聞いた俺が馬鹿だったわ。」

「お礼は妹ちゃん紹介とご挨拶デートでいいっすよ。」

「無理だな。 ロリコン卒業までは却下だ。」


串カツにしてはまともにも

「先輩だって隠し事の一つや二つあるでしょうに。お宝本の事とか。」

「バレバレだったけどな。」

「そういうもんですって。女の子だからこそ言えねえ事も有るんじゃねえすか?」

とか言って最後に慰めてくれた。

だからって、稚日わかひやぽこすずに会わせたりは せんがな!



味を感じられない夕餉の後。

お茶を飲んで居ると稚日わかひ達から紙袋を渡される。


「ん? なにこれ?」

三人ともヌフフ〜、って感じで袋を開けるのを待っているようだ。

開けてみると毛糸の白い帽子だった。


「………………………えーと…………え?」

帽子を持ったまま呆然とする俺。

なんなんだ、これ?


「季節的には早いんですが三人で一緒に、お兄ちゃんに内緒で編んでみました。どうですか?お兄ちゃん。」

「ぽこもなー、おねえちゃんとすずちゃんと順繰りでなー、棒でくいっくいってやってん。」

「ちちうえの防御力大幅上昇。…………… ………すずも安心。」


「編んでくれたの?これ。…………………内緒で?」

「これ四人でお揃いなんです。離れててもこれがあればずっと一緒ですよ。」

「四人……ずっと?」

思考の止まってしまった俺にぽことすずが飛びつく。

二人の突撃を横合いから受ける形。突入が左右からなので衝撃が逃げてくれなかった。

「とうちゃーん!」「ちちうえ〜。」

「うがごっ!! ……………え………何で?」


「先日ですね、三人でコンビニに買い物に行った際、書籍の中に『大事なあの人に贈り物大作戦!』と言う見出しを付けた物が有りましてですね……。」

「それでなー、すずちゃんが『ちちうえにーー』って言うからなー、ぽこもなー………。」

「あねうえも ぽこもすずも ちちうえにありがとうございますを…………。」


なんか頭が上手く回らんし……。


誤解だったのか? あれ………?






あれ……?


俺、なんか化かされてない?

頭が回らないままどうにか言葉を絞り出す。


「ありがとう。大事にする。」


頭が上手く回らなくて泣かずに済んだ…。

有り難く無くし易いのだ。大事にしなきゃな……。



お読みいただきありがとうございます。


昨日、左手を手術しまして 痛痒くて仕方ないです。

自分はipadで作業しているのですが 右手が使えりゃ大丈夫だろうと高を括っていたのが思った程 だいじょばない状況に戸惑ってます。

次の回は日曜朝に更新出来ますがその先はやっぱり不定期更新になりそうです。ごめんなさい。

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