8 王都に出発
夜も明けていよいよ王都に向けて出発する時が来た。
シンの護送する馬車は狭く思ったよりザルな警備だった。
(あの魔法も使えない王子にそこまで警備に力を入れないか)
その程度しかアイツに価値はないと思われているのだろう。
問題は俺たちが乗り込むスペースがかなり厳しいことだ。
そう、一人ならいいが、ヤシロも王都に連れて行くのだ。
(いま、シンとヤシロが会ったらどうなるのかな?)
決まっている。ヤシロを守ろうとアイツは必死になるだろう。
でも、それは王になるのに致命的な隙になる。
アイツに教える気もないし、わざわざヤシロの死を偽装した意味がなくなる。
(何としても、アイツには王になってもらう、あの影の少女に元の世界に戻してもらうために!
まあ、アレが約束を守るか分からないから一応自分でも調べるが!)
信用は出来ないが、あの会っただけで絶対の力を感じた存在がわざわざ俺を騙す理由もないし、何より下手に逆らえばどんな目に遭うか分からないのだ。
(正体なんて分からない、魔法をこの世界に広めた賢者なんて嘘かもしれない、しかし、あんな超越者に喧嘩売るほど愚かなことはない!!)
とりあえずは、アイツのために頑張りますか!!
町の中央にある宮殿のような建物の入り口、
シンは身支度を済ませていた。
「よう、シン!覚悟と準備はいいか?」
「やあ、セイ!もちろんだ!」
「とりあえず、俺は後ろに荷馬車の方に隠れる。王都に着いてもすぐに合流できるか分からんねぇー!」
「ならば、いざっというときは学園で会おう。あそこのなら王都でもすぐに分かるし、学生も多いから会いやすい」
「了解だ!俺がいない間は無理するなよ!!」
一応釘を刺しておく。
まあ、コイツの性格じゃ無駄かもしれないが!
人のことより、自分の心配が先か……
そして、いよいよ荷馬車に侵入した。
ヤシロにも『偽態』かけて風景に溶け込む。
警備の人間は少なく楽々と入れたが、
「……狭いな……」
「……そうだね……」
荷馬車は狭く荷物でごった返していた。
年頃の男女が2人でいるには辛い。
お互い向き合う形で、膝をくっつけるように座っている。
「……ハァーすまない……ここまで狭いとは…」
「別にいいよ、狭いところには慣れてるから」
「ふーん、男の一緒にいることもか?」
「奴隷には男女は関係ないから……」
この際だ、その辺をはっきり聴くか、
「なあ、前に説明したが、俺は遠方から旅をしてきたからこの辺の常識は詳しくない、だからヤシロが説明してくれ!」
「……分かったけど、あんまり詳しくは無理だよ」
「ああ、構わない」
こうでもして気を紛らわせないときつい。
美少女とこんなに近くで向き合うのが緊急するとは、
とりあえずポーカーフェイスで話を聞く、
「まずこの世界エルドラドは中央大陸と四つの島国で出来ているの、私たちがいるのは中央大陸の東側、そこから更に中心に進んでいき……」
「大陸の中心にある王都シャルグリアに行くわけか」
「そう、四つの島国はそれぞれに地水火風の恩恵を与っていて、東の島国は火の国として有名なの」
俺たちが滞在した町も砂漠で暑かったけど、あれも火の恩恵なのかな?
「そして、中央大陸の中心は光の恩恵として他の場所とは比べものにならないほど豊かな国なの、それが私たちの大国エルスーンよ!」
「シンはそこの第三王子様ってわけね!」
「中央大陸には他にも国はあるけど、ほとんどが大陸の端だし、四つの島国と同盟を結んでるのもうちの国だけよ!」
一番強くて豊かな国に同盟を結んでるのか、
他の国はほとんどが小国で攻めてくることはないらしい、
「光の恩恵として、強力な魔法使いが多くいる大国に他の国は頭を下げるばかりよ!対等なのは」
「四つの島国でそれも大きさ的に大国のエルスーンには歯向かうことはないってことか!」
「そう、そして中央大陸の小国で貧しい国から奴隷として子供たちが売られていくの……」
なるほど、ヤシロもこの国に買われたのか、
きっと他の子たちも、もしかしたらバラバラの国から、
「その貧しい国って?資源とかが?」
「いいえ、この世界では魔法が全て、魔法で生み出し作り出す。魔法使いの質と量によってその国の大きさや貧富差は決まるわ」
「そして、魔力の高い人間が生まれやすいのは、自然の恩恵がある場所、だからエルスーンは大国として君臨し続けるのか……」
周りからすれば、その場所が欲しいが大国に喧嘩を仕掛けるわけにもいかないのか、
「だから、この世界では、特に大国では魔力や魔法の使えない人は差別されてりするの、戦争は近年起きてないけど貧しい国からどんどん魔力のない人間は奴隷として売られるの」
魔力や魔法が使えないなら肉体労働を、そして魔法のように力はないから差別されて、奴隷になったのか。
嫌な方程式だなー!
そこで、疑問に思う。
(シンは王族なのになんで魔法が使えない?アイツは魔法が使えないが魔力はないとは言わなかった!)
何だかきな臭くなってきた気がする…
(まあ、後で本人から話を聴くとして……)
話すこともなくなる。
気まずい沈黙に少し焦る。
彼女とは3日しか付き合ってない、その上中学生の恋人などそこまで深く付き合いものでもなかった。
(正直、ヤシロの格好も問題だよな!)
彼女の服は奴隷の薄着から町で買ったものに着がえてもらったが
、何が気に入るが分からないから、手当たり次第に買った。
女子の服やましてや、下着とかは知りません。
盗賊のアジトで手に入れた金銀財宝でかなりの余裕があったので、店の人に適当に選ばせたが。
問題は彼女は露出の多いもの着てるのだ・・・
(奴隷だった頃の名残か何故か素足の出るミニスカートに、前よりは厚着の半袖のような服と、前とそんなに変わってないよな?)
無論薄汚れてな奴隷着と違い、清楚で可愛らしいデザインなのだがされでも露出が変わらないから目のやり場に困る。
特にすらっとした足が伸びる足はお互いの膝が当たるこの状況で意識せざるを得ない。
ちなみに、スカートの中のほうが問題だが、これは本当にやばいので完全に意識を遮断する。
「その服……」
「うん、かわいいの選んだけど、似合ってる?」
「……うん、とても……」
笑顔で言われて肯定の返事しかできない。
奴隷でも女の子としておしゃれにほ気を遣ってるのかな?
なんにせよ、奴隷から自由の身になった彼女はおしゃれを満喫していた。
王都までの5日間、俺は目のやり場や女性のやわからな体やら、女性特有の甘い香りなどで、ひどく疲れたのだかそれは秘密にしようと思った。




