意外とポンコツ
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
少し短めですが新年一発目の更新は幻ノワです。
新しい仲間を得ることができてほっとした半面、今回の戦いはやはり無謀だったかなと私は反省していた。
セーブとロードがあれば最悪死んでしまってもやり直せるし、何なら死にながらパターンを覚えていくといったこともできた。
頭では分かっていたつもりだったけれど、どうやら私の認識は存外甘かったようで、今回の戦闘で死にかけてようやくファンタジー世界で戦うことは命のやり取りがすぐそこで行われていることを実感した。
コントローラーをポチポチしているだけで敵が倒れていく前とは違う。
ターン制で一ターンに一度行動が保証されているわけでもない。
正直言ってお腹をぶち抜かれた時はもうだめだと思ったけど、相手が吸血鬼でよかった。
何か一つでも条件が違えば私はコンティニューできないゲームオーバーを迎えていたのだろうけど勝ちは勝ち。
結果がすべて。
この吸血鬼を手に入れて万々歳。
初めての戦闘で疲れもあるし、もう用もない元ロザリアの住処を後にして帰路についているんだが……。
「ちょっと? そろそろ離れてくれない? もう十分血を吸ったんだから、私の首を舐めまわして血を飲むのはやめて。歩きにくいから自分で歩いて」
「もうちょっとだけ……減るもんじゃないでしょ?」
「私の血が減ってるんですけど!」
吸血鬼にとっての天敵である太陽が顔を出すまでにはまだ余裕はあるけれど、戦闘後に少し長めに休憩の時間を設けてしまったためあまり長々と外を出歩くのは避けたい。
というか今の私は模倣もしてないから普通の人間だし朝日を浴びても何の問題もないけどロザリアはそうじゃないからさっさと迷いの森の家に帰りたいのに……こいつはいつまでも私の血を吸っていてまともに歩く気もない。
私にしがみついて首に顔をこすりつけてちゅーちゅー血を吸う様子からは、先程までの威厳ある吸血鬼の姿を想起することはできない。
「いいから離れて自分で歩け。それかロザリアの力で私の家に連れてってよ」
「無理よ。私が施したマーキングの所在はあなたであってあなたの家じゃない。マークしてないあなたの家に跳ぶことはできないわ」
うん、ポンコツなのかな。
いやまあ、能力の性質からしてその可能性は普通にありそうだけど。
つまりはあれね。
人にマークをつけたらその人をストーカーするってことなのね。
「だったらなおさらさっさとちゃんと歩いて! 朝を迎えて困るのはあなたなんだからきびきび歩く!」
「えー……はーい」
こいつー、変わりすぎなんじゃない。
ビフォーアフター違いすぎて私も困惑している。
「なんか思ってたのと違うね。戦ってた時のおねーさんはもっとかっこよかったのに」
フラウ、、そうだよね。
あの鬼気迫る感じも、カリスマ的な振る舞いも今はないもんね。
あー、今からでもこのポンコツ吸血鬼返品できないかな。
できないですか、そうですか。
仲間にしてから欠点が浮き彫りになるなんて聞いてないよー。
あと、首がロザリアの涎でべっとべとだから早く綺麗にしたい。




