表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
四章:翠竜討伐編
50/66

49.二体の魔物 Ⅱ

「バレちゃったー?」


 翠竜の討伐中、騎士団と国家魔術師団に遭遇し逃走。逃走は成功したのだが、洞穴で一泊する際にどうやら魔物の攻撃を浴びたらしい。一体が幻を見せる魔物である大貘(ビッグテイパー)。もう一体が強敵と戦う時ほど強くなる人型の魔物の逆転者(チェンジャー)。数週間経っていたが、全てが幻だったのだ。


 そして【爆炎】を撃ち込み、強い衝撃を与えることでどうにか幻を払うことが出来た。今、僕の目の前には二体の魔物が立っている。


「……何故、魔物が喋る?」


 レーナが疑問を口にする。逆転者(チェンジャー)は人型の魔物である。姿も人間そっくりであり、見分けがつかない。見分け方は言葉を話せるか、どうかだ。元来、魔物とは言葉を話せないものだ。


「そうかなー?生まれた時から言葉は喋れたけどねー?」


 逆転者(チェンジャー)は陽気に話す。だが、この姿でも今は〈魔物探査(モンスターサーチ)〉が反応しているのだ。出現している魔物は勿論、大貘(ビッグテイパー)逆転者(チェンジャー)。目の前にいるのは絶対に逆転者(チェンジャー)である筈だ。


「横にいる大貘(ビッグテイパー)は人の言語を話せるのか?」


「いやー?話せないよー?だって魔物だからねー?」


「でも逆転者(チェンジャー)であるお前は話すのか。」


「なんでだろうねー?」


 どうやらこの逆転者(チェンジャー)は〈変異種〉のようだ。〈変異種〉とは通常の魔物の個体とは別の性質、能力を持った魔物の事である。〈変異種〉自体に会うのが珍しいのだが、言葉を話せる魔物など、どれぐらいの確率で会えるのか。恐らく国家転覆を成功させる確率よりも低いと思う。


「お前は大貘(ビッグテイパー)と会話が出来るのか?」


「うん、出来るよー?それを念話って言うのかなー?」


 どうやら念話のようである。だが、それでは大貘(ビッグテイパー)も通常とは違う魔法を使うことになる。まさか────


「多分、予想通りだと思うよー?僕達は〈変異種〉って言うやつなのかなー?」


 僕の考えを当てる力。かなり高度な知能を所有しているようだ。人間界に混じっても何ら違和感の無い存在。細かい点を言えば、話し方。まあ、話し方など十人十色であるから大丈夫ではあるけども。


「お前は危険な存在だ。肝心な事を聞こう。お前達は────敵か味方か?」


 何故か僕には逆転者(チェンジャー)が微笑んだように見えた。常に浮かべている薄ら笑いの裏に隠された本当の笑みが見えたような。


「……どっちだと思うー?」


 僕は口には出さないが確信した。この魔物は何かを隠している。その上で僕達の目の前に居続けているのだ。相手が勝てないほどに強いと知った上で。何と大胆な魔物であろうか。もしかすれば、それすらも見越した上でこの場にいるのかもしれないが、それはそれでまた一つの度胸だろう。


「……僕達の負けだ。」


「んー?」


 逆転者(チェンジャー)は知っていて知らないふりをする。そちらがそうならば、僕達は素直に騙されるとしよう。


『アデル!絶対、この魔物は何か企んでる!』


 レーナが念話でそう伝える。だけど、それは僕も知っている。知っていて、こう話しているんだ。僕は手短に『知っているよ。』と返す。レーナはまだ何かを言いたそうだったが、見ていないふりをする。今はこの魔物達だ。


「君達の企みに乗ってあげるよ。目的はなんだい?」


「目的ー?何のことかなー?」


「誤魔化すな!」


「レーナ。」


「アデル……でも!」


「目的かどうかは分からないけどー?仲間を探しているよー?」


 転生者(チェンジャー)はそう言った。裏の意味があるとすれば、目的とするまでもない、という事か。仲間を探して見つけるのは決定事項だと。頭がきれる魔物のようだから、すぐに仲間も見つかるだろう。


「仲間は〈変異種〉の?」


「勿論だよー?僕達は結託して、軍隊を作るんだよー?」


「軍を作って何をする?」


「そんな事も分からないのー?戦うんだよ、お前達と。」


 やっと本性を出したな。人間かぶれしているが、それでも魔物。思考は魔物のものだ。人間を襲うという習性。それが形を少し変えただけである。結局は人間達を襲うのだ。問題はそこではない。


「何故、それを僕達に言う?」


「簡単な話。お前達が一番の邪魔者になるからね。」


 そう断言した。「つもり」、「だと思う」じゃない。断定したのだ。僕達が〈変異種〉の軍隊の邪魔者になると。未来の可能性は一つではない。だが最終的にそこに行き着くと、この魔物は言っているのだ。信じたくはないが、そんな気がした。


「お前達がそうなるつもりがなくても、そうなるさ。僕達がそうさせるからね。」


 宣戦布告は続く。今は二体しかいない魔物達の軍団も、先の未来には強敵になると、そう言っているのだ。逃げる道はないのだろう。


「そうならないことを祈るよ。」


 僕はこうとだけ言った。誤魔化しようのない遠吠えだ。僕は負け犬だった。たかが魔物にしてやられたのだ。────いや、たかが魔物ではないのかもしれない。


「いずれかの未来、再び相見えるだろう。」


 そうだけ言い残すと、転生者(チェンジャー)大貘(ビッグテイパー)は消え去った。文字通り、消え去ったのだ。恐らく転移する魔法。独自の魔法だ。


「────異端者(プロフェタム)。」


『アデル?』


 ルカが首を傾げる。僕は思考を切った。今までは幻。今からは旅だ。急いでアルグランテへ向かうとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【 他の連載作品 】

廃墟世界の大改革

【 お知らせ 】
ありがとうございます!

◇始祖の竜神と平凡の僕◇
4000PV達成しました!

◇廃墟世界の大改革◇
100PV達成しました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ