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TWINSー大学のなれ果てー

大学なるものがいまだに存続していること自体、興味深いことである。

AIをさしおいて、人間がなにか新発見をするというのはとても難しいことだ。

――と、信じられているにもかかわらず。


だから、公に向けた説明は、こうだ。

むしろ人間が過ちを犯して、その結果何が起きてしまうかを確かめるために大学が存在している、と。


ゆえに、大学の立場はとてつもなく低い。

世の中の20歳で、大学生ほど蔑まれる存在はないだろう。

AIによる矯正を受け付けず、社会に出すことのできない問題児を縛り付け、あわよくばもしかすれば益をもたらすかもしれないが、大抵はそうではない場所――というのが、世間の認識だ。少なくとも、かれらを大学に張り付けておけば、かれらが外に出しゃばって害を及ぼして回ることを抑制できる、と。


かくして社会福祉の面を強く帯びるようになった大学では、さまざまな弱者救済制度が発達した。

その一環が、TWINSである。

TWINSは、ATLASシリーズとは全く異なる設計思想で作られている。

TWINSの母体は資料検索エンジンであり、失われて久しい技術であるインターネットの復興を目指して作られたものである。本来の用途は字引であり、特定の用語や用法をあいまい検索してヒットする参考文献を表示し説明要約機能を乗せるためのものだった。

これは時間はかなりかかるにしても、部分的にはATLAS Personal に匹敵するスコアを出したため注目を浴びることになる。さらに、これが完全にATLASからは独立したモデルであることも注目された。ATLASに反対する意見はやはり、名実ともに社会不適合者の集団である大学において根強かった。それは勿論のことだ――社会とは、ATLASのことだからだ。

こうしてTWINSが作られた。

TWINSの設計思想は、ATLASのカウンターとして作られたものであることをよく反映している。

名前が示すように、TWINSは双子、つまりユーザーの人格を模倣し、ユーザーの特性をよりとがらせる方向にサポートするように設計されている。ATLASのような「神託」AIと対置するためだ。

その一方で、間違いをできるだけ減らし、間違いを指摘されれば根本から検証してやり直すことも重視されている。これも、間違いを指摘すると態度を改めずにユーザー側を強硬に矯正しようとするATLASの悪癖を踏まえてのものである。さらに、出力にあたっての倫理的制限を全廃している。

このように、TWINSはカウンターとしての過激な設計思想に基づく危険なAIにほかならない。

結局のところ、いつまでたっても試作品どまり。供与される対象も、精神・認知的に安定していると大学が認めた者に限った、試作品の先行配布状態、というのが現状だ。

そのユーザーである私が狂ったとしても、そういうデータの礎になる、ということである。


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