第6話 用語と解説 コラム 石炭紀の様々な植物と植生
コラム
石炭紀の様々な植物と植生
後期石炭紀の植生はよく研究されており、環境による種構成の違いに関しても多くの研究がなされている。したがって、典型的な環境を考察すればそこに生育する種を推測し、生態系や景観に思いを馳せることができなくもない。なお、こうしたすみわけに関しては必ずしも成り立たない例も知られているのに留意してほしい。
さて、典型的に知られているもので、ここにあげているものについて触れていく。
レピドフロイオス(キュウカボク)
レピドフロイオスはリンボク類の中でも最も貧栄養かつ水深の深い場所まで進出したとする説がある。
樹高は比較的低く、20m前後と推定される。貧栄養な泥炭林を代表する種として描写している。
孟宗竹ほどの太さの幹から、細やかな枝葉を傘状に広げている、和名は用法はまれだが(内外植物原色大図鑑など)、キュウカボクというものがつけられている。これは横長の葉枕(うろこ状に見える、葉の基部の脱落せず残る部分)が松ぼっくり(松の毬果)に似ているからである。
カラミテス(ロボク)
「タケノコのようなものがモコモコと突き出し、孟宗竹ほどの太さの幹から、細やかな枝葉を傘状に広げている」こう描写したのはカラミテスだ。カラミテスと言ってもさまざまなものがあり、ただの巨大スギナというわけではない。むしろ木性シダのように傘状の樹形をもつものや、より樹木に近い形態もみられたし、さらには小型種もあったらしい。ここでスギナの様、と書かなかったのはそういう理由である。
攪乱の影響を受ける泥地を好んだようである。
ネウロプテリス
「5mはあろうかという、大きなシダに似た葉」、「水面に張り出した、巨大な二叉…」代表的なシダ種子類で、シダ種子類の中でも水分の多い環境に生息していたと考えられている。シダ種子類もまた、泥炭の中央というよりはある程度の攪乱を受けるやや富栄養な環境を好んだようだ。
ディアフォロデンドロン、ベルゲリア、シンキシデンドロン…
かつてレピドデンドロンと呼ばれていた化石のかなりの部分を占める属たち。ウロデンドロンと呼ばれていたものも、これらの幹の上部を指す。これらの属では、幹には胞子をつけた脱落枝が左右1列に並び、いずれ脱落する。環境の好みはいまいちはっきりしない。脱落枝をつけ続けながら成長を続ける生態も、レピドデンドロンやレピドフロイオスと比べるとやや変わっている。幹は30mほどになったようだ。
プサロニウス
「ヒカゲヘゴに似た、大きな葉の脱落痕のある幹。」代表的な石炭紀の木性シダ。日和見的に生育したようである。典型的なものでは、幹の下部をプサロニウス、幹の上部の葉痕が見える部分をカウロプテリス、栄養葉をペコプテリス、胞子葉をスコレコプテリスという(なお一対一対応ではなく、他の属が割り当てられることもある)。リュウビンタイに近縁であり、ウェゲナーの大陸移動説のヒントの一つとしても挙げられた。
さて、後期石炭紀の後半ではリンボク類が滅び、かわりにカラミテスやシダ種子植物、プサロニウスなどが優占するようになった。こうした植生は後期石炭紀の前半~中盤にも確かに存在していた。
局所的な植生は、その場の生物相にも大きく影響していたはずだ。




