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第三話 用語集

コーヒーと竹酢液を混ぜたような泥炭の香り

実際にそうなので嗅いでみよう。ミズゴケ泥炭は香りも酸っぱいので、ヨシ泥炭などがとくにいいにおいがする。C級ピートとかがいい。


粘土の臭い

割と実際そう。

甘ったるいにおいが混じっているのは泥炭の寄与が疑われる。


魚のチーズ臭

割と打ちあがっている死んだ魚は、そんなにおいになっている。

臭い!という感じの臭いにならないことが実はけっこう多い。

特に屋外だとそう感じることがままある。

天然鮒ずしになっていることには期待しないほうがいい。


ブラックウォーター

泥炭などから大量の腐植酸が供給され、紅茶やウーロン茶のような色になった水のこと。飲むと少し甘酸っぱいことすらある。


ブラックウォーターのマキアート

現在でもアマゾン流域でしばしばみられる現象。もっとも有名なのはネグロ川とソリモンエス川の結節点。


鱗木

リンボクとも。 Lepidodendronの和名。Lepidoは鱗、Dendronは木を意味する。なおここでは、和名及びカタカナの時にはリンボク類Lepidodendralesないし、木本性小葉植物Arbolescent lycophyteの意味で用いている。


艀 動力のない舟。居住や輸送に用いられる。第一話用語集参照。


バイオマス発電

有機物を分解して一酸化炭素やメタンなどのガス燃料に変換し燃やす発電法。ガスの制御さえできれば比較的安全に、通常発電の設備を流用できる。この惑星の人口は少ないためか、太陽光や原子力発電などの高度技術の実用化と普及に支障をきたしているようである。


「我は存在しないがゆえに生成されるようにふるまう強力な幻影である」

デカルトの否定から始まる変な哲学。(筆者より:この哲学設定には多大な時間を要した。設定が数千字に及んだため割愛。)


「文系的な考察は何一つなかったし、私があんなに覚えていた小人や小豆洗い的なものといったことについての考察は一行たりともなかった」

文系的な考察とはなんだろうか。

答えが一意には定まらず、見方によって変わることが最も特徴的であるように思われるが、この問いに対する答えもまた、人と見方によって変わるのである。理系の答えは有限かもしれないが文系の答えは無限にある、とでも格好つけておく。


遠野物語

佐々木喜善が集めた遠野の伝承を柳田邦男がまとめたもの。日本民俗学の重要資料である。遠野市を歩くと、本当に当時の遠野が奇妙な伝承だらけであり、それが社会のあたりまえであったことがよくわかる。

そして、遠野が特殊だったというよりも、偶々記録され保存されたというだけに過ぎない、と考える人も多い。


ライトトラップ

昆虫を光で集める採集法。


火をもって飛ぶ鳥

オーストラリア北部のトビなどでは、そのような観察例がある。


ダシレプタス

石炭紀~中生代に知られる原始的なイシノミ類。生痕化石も知られており、半水生であったこと、浅い水中に着水してもそこから飛び跳ねていたことがわかっている。

復元メモ:フナムシのような生態はそこからの着想。鱗粉の証拠は現時点では知らないので、艶があると描写した。


パレオニスクス類

パレオニスクム類といったほうが適切かもしれない。原始的な条鰭魚類の形態であり、単一の系統群というよりも典型的な姿をいうといったほうがよい。ざっくりといえば、ハダカイワシやカタクチイワシに少し似た姿の、ガーのように菱形のビッチリとした硬い鱗に覆われた魚である。


ユープロプス

石炭紀の地層から大量に産出するカブトガニ類。淡水から汽水に分布していたと考えられている。陸に上がったかどうかは定かではなく否定的な意見も多いが、上陸説は確かに存在する。ほかにも、三葉虫のように丸まることができたという説があったりもする。どれがどこまで本当かは、読者諸賢の最新研究のサーチと判断に期待したい。


復元メモ:上陸したという話は怪しいと私も認めているが、上陸に不利な構造の生き物が上陸してしまうのはよくあることでもある。水際や水の上に少し顔を出すことは捕食から逃れるためにあっていいだろうと考えた。

しかし、それが鱗木の幹や湿った地面ならともかく、人工物の上に上陸すれば戻れなくなるのがおちである。つまりここで起きたことは、カブトガニが攻めてきたというより、人が作ってしまったトラップにはまってしまったのだ。


キロメートル級の泥炭層

石炭層の厚さをもととなった泥炭に換算するとそうなる場合がある。


干拓すれば出火

現在の泥炭林でも起きていること。


偽りの大地、安住の地は、水の上だけ

なんとカリマンタンなどの泥炭林では現実に川沿いの半水上集落くらいしか人が住めなかった。なにせ道路をひこうにも地盤沈下し、人が歩くだけでも膝以上まで埋まるからである。そして干拓しようとした結果が終わりのしれない火災である。ましてや泥炭蓄積の規模が現在をはるかに上回り火災リスクの高い石炭紀ではどんなことになるかといえば、こうなる。

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