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陰to陽  作者: 黒川一
ー薄明編ー
56/82

第50夜 髪留め






「ハアッ、ハアッ、ハアッ…

警察…」

息を切らす彩香がスマホを取り出そうとするが、部活の途中で抜け出してきた為手元には無い事を思い出す。


「ちくしょう…一回学校に戻って…ハアッ、ハアッ…でもその間に明里と笑実が…

どうすればいいっ!?」

彩香の頭はフル回転し、選択肢を絞る事ができなくなっている。


"ーこれからは何か少しでも異変があったら俺に知らせるんだー"

以前漆原に言われた言葉を思い出す彩香。


「漆…確かあいつん家はこの近く!」

彩香の頭は選択肢を漆原に絞り、勢いよく走り出した。






ー漆原家ー



インターホンが鳴り響く。


ドンドンドンッ!


「漆!おい、漆!!」

乱暴にドアを叩く彩香。


ガチャッ


「どちら様?

血塗れのお嬢さんが何の用かしら?」


中年女性の姿の妲鬼が玄関から現れた。


「あっ、すいません。

私、染一さんのクラスメイトで安元彩香といいます!

染一さんは居ますか?」


「あら、染一さんのお友達なのね〜

2階に居るから上がっていきなさいな。」


彩香が中に招かれると挨拶も軽めに、階段を駆け上がっていく。


「美味しそうな子…」

血の香りに当てられた妲鬼が階段を駆け上がる彩香の背中を見つめながら呟いた。



ガチャッ!



「漆!」

ドアを開けた先に漆原が座っている。


「は!?何だお前は!?

勝手に人ん家に上がり込んで!

しかもお前はただの知り合いの安元さんじゃないか!

馴れ馴れしくあだ名で呼ぶな安元彩香さん!

で、知り合いレベルの奴が俺に何の用だ?」

漆原は彩香に哀れみの目を向けられた事を根に持っている為、わざと絶交した事を強調する。


「そんな事より明里と笑実が危ない!

どうすればいい?」


「どうゆう事だ?とりあえず落ち着けじゃじゃ馬。」



一呼吸置いた彩香が事の経緯を話し始めた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「なるほどねえ…佐野のグループが…」

漆原が左腕の三角巾を外す。


「それで私はどうすればいい?前に異変が会ったらお前に知らせろって言ったろ!?」

彩香は落ち着かない様子。


「大丈夫。もしそこに佐野が居るなら居場所はわかる。あいつの手には俺の呪陰が仕込んであるからな。」


突然漆原のスマホが鳴り響く。


「もしもし?白石さん?」


『俺だ、漆原。

白石を無事に解放したいなら多摩川の廃倉庫に来い。』


「佐野ぉ〜、何が目的だ?

こんな事して、お前また手を潰されたいのか?

白石さんに何かあったらてめえら全員身体ごと丸めてやるからな。」


『ふっ…、相変わらずだなお前は。

とにかくお前さえここに来れば白石に用はないらしい。

1人で来いよ?

来なかったらその時は…

まあいい、1時間待つ。じゃあな。』


プツッ


電話が切れた。


「………。」

漆原が考え込む。


「どうした漆?」

不安そうに漆原の顔を覗き込む彩香。


「これはただの報復じゃないな…

お前は天海警察署に電話して反町のおっさんにこの事を伝えろ。

俺は廃倉庫に向かう。」


「私も行く!」


「ダメだ。佐野は電話で「お前さえここに来れば白石に用はない らしい(・・・)と言った。

これは佐野達のプランではなく、裏で糸を引いている奴が居る。ガキの喧嘩の範疇に収まらない事態になりそうだ。」


「誰がこんな事を…?」


「思い当たる奴が1人いる…多分そいつだろう。

まあいい、今はそんな事より白石さんと松永さんの救出が優先だ。」


漆原は自分のスマホをうろたえている彩香に渡すと、足早に部屋を後にしようとする。


「待て、漆!

あの…笑実の事なんだけど…

私も必死だったから見間違いだと思うんだが…

笑実の奴自分から車に乗りに行ってたように見えたんだ。

あいつにに限ってそんな事は無いと信じたいんだけど…」

彩香が自身無さげに話す。


「………なあ、松永さんって最近胡蝶蘭の髪留め付けてた?」


「ああ…前原に貰ったやつか!

貰った日から毎日付けてたよ。」


「十分だ。

安心しろ、お前の知ってる松永さんを信じてやれ。

じゃあ行ってくるわ。」



漆原は先ほどより素早い動きで部屋を後にした。

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