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偽証シナリオ

「偽証シナリオ」の後半部分を書き換えました。

丁寧に4人の軌跡を脳内で辿る。


パピコ横浜に行った日は、朝起きると2人は出かけた後だった。

ミナトとオレは船でぼかり桟橋からパピコ横浜に上陸。そこは嘘をついてもバレる。駅の監視カメラにミナトとオレが映っていないんだから。しかも、マリーナには届け出が提出してある。

だから、ミナトとオレは事実のままで問題はない。船でパピコ横浜に向かった。


ももしお×ねぎまは、実際には、2階の出入口から会場に入った後すぐにトイレに行き、給湯室に向かったが、トイレの次に展示会場の見学に行ったことにする。そして、見学途中で2人ははぐれたと。

実際にねぎまは、ももしおがパンダ係だった間会場内をうろうろしていた。監視カメラにも映っているだろうし、目撃者もいると思う。


一方、ミナトとオレは、展示場見学。

但し、関係者以外立ち入り禁止エリアには行かなかったことにする。でもま、これに関しては、監視カメラに証拠が残っていたら正直に白状する。理由は「なんとなく出来心で」。


ももしおは、本当は11時からの雑技団のショーを観ていないが、観て興味を持ち、楽屋に行ったことにする。そこで雑技団の女の子と服を交換した。



とすると、もっとも危ないのは、ねぎまがももしおに送ったLINEのメッセージ。


『Pは50(絵文字)にいるよ』

『**ブースのの横のドア』


ねぎまがももしおを探していたのなら、『**ブースの横のドア』は自分の位置を知らせたのだからOK。



問題は『Pは50(絵文字)にいるよ』。



もう、そこまで辿り着かれたら、ギブアップしよう。


「そうなったら、第1のP、ペンギンの卵を拾ったとこから、第2のP、パンダを見つけたとこまでゲロって楽んなろ」


限界。


そして、それ以外の想定外のことを持ち出されたら、スマホ連絡は絶対に避けて、直接会って話し合う。


決まり。



なんかさ、LINEもメールも不便だよな。後ろ暗いと。

手紙だって残る。

口で話すことが1番安全なのか。


これだって音声認識のあれやこれやがそこら中に置かれるようになったら、もう、秘密とかプライバシーなんて皆無ってことになる。

けっこう怖いことかも。


そうじゃなくてもさ、そこら中に監視カメラはあるし、電子決済では購入記録が残る。人間は丸裸。

何かあったら、羞恥心で死ねるくらい白日の下に晒されるってことか。

電子決済オンリーになったら、高校生だからラブホの決済ができないとか出て来る?

オレって、どーしてこっち方面にばっか、考えが行くんだろ。



テレビのニュースに赤ちゃんパンダが映った。

アメリカの現職の大統領が感激し、電話で中国の国家主席にお礼を述べたと報道されていた。


パンダ犬は?


中国側は「アメリカとの友好の証しとして、パンダを贈呈する」とコメント。「これにより、両国の関係をさらに確固たるものしていきたい」のだそう。


????


『尚、中国側が、贈呈場所としてなぜ日本を選んだのかについてのコメントはありませんでした。また、この贈呈の翌日、アメリカ側は、対中国の米国債をデフォルトにするというものは、事実無根であると正式に発表しました』


メインキャスターがニュース原稿を読み上げる。その後、ゲスト出演している2人のご意見番に発言を求めた。


『なぜ日本を選んだんでしょうね。どう思われますか?』


『中国側の目的は、米国債のデフォルトを回避することでしょうね。もう、かなりの間、この件によって世界経済が低迷していましたから、一刻も早くことを進めたかった。日本は政治的にもアメリカよりの国ですし、日出ずる処ですからね。日本で行えば、1番早くレスポンスがくるってところですかね。政治や経済が大きく動くことというのは、大抵土日なんです』


銀縁メガネの堅い感じのじーさんが答え、次に、隣にいた白髪のじーさんが肘をつきながらだみ声で語り始めた。


『アメリカと中国の関係というのは難しいんですよ。中国はアメリカの機嫌をとるために戦闘機や武器を買って貢ぐなんて方法を取れないじゃないですか。アメリカは中国には軍事情報満載のそういった技術を売ってくれないんですから。だからパンダですよ。有料じゃなく無料で、』


メインキャスターが慌てて遮る。


『あ、それは、個人的なご意見ですよね。申し訳ありません。視聴者の皆様、只今の発言は非常に主観的なものですので、その点をご了承ください』


メインキャスターがアップになっていた次の画面に、『戦闘機や武器を買って貢ぐ』と発言したゲストはいなかった。退場させられたんだな。三角のネームプレートまでなくなっている。

深夜の討論番組とかYouTubeじゃなくて、ちびっこも観てる土曜の夕方だもんなー。



そんなテレビのやりとりを、ぼーっと4人で観ていた。



「どーなったんだろーな。パンダとパンダ犬」


とミナト。


「なんか、めっちゃ国と国の話んなってっし」


とオレ。


「よかったじゃん。あの子、大事にしてもらえそう」


ねぎまはパンダのことを「あの子」と呼んで喜んでっし。


「よっしゃー!」


ももしおは万歳してぴょんと飛び上がった。

そして、ガッツポーズの後、熱心にスマホを操作しだした。


「どーしたの? シオリン」


ねぎまがももしおのスマホを覗き見る。


「中国分の米国債デフォルトがデマだったら、世界同時株安が終了なわけ。つまり、国債市場に逃げてた資金が株式相場に戻ってくるの。もうね、すっごい下がってたんだもん。買わなきゃ損損。何がいっかなー。跳ね上がるのは商社かなー。金融かなー。機械かなー♪」


何を買おうか物色してるんだろーな。でもさ。


「ももしお、この前、アラフォーまで株買う金がないって言ってなかったっけ?」


オレが指摘すると、ももしおはソファの上にスマホをほおり投げた。


「そーだった」


ぽふっ


ももしおがソファの上でダンゴムシみたいになって転がっている。

ジェントルマンなオレは、いつものように指摘した。


「ももしお、パンツ見えてっぞ」

「見せパンだからいーの」


またいつものセリフが返ってきた。


ころん

くるん


ねぎまがももしおを転がして、ソファの背もたれの方に見せパンを向けた。



なんにせよ、1つ目の「パンダを生かす」ってミッションは終わった。

オレの頭の中では、ミッションインポッシブルのメロディがフェイドアウトしていった。


チャラッチャラッチャチャ♪ チャラッチャラッチャチャ♪

チャラッチャラッチャチャ♪ チャラッチャラッチャチャ♪





今日は土曜日。明日は日曜、男テニは朝から部活。

明日は、ぜんぜんそんな気分じゃなくても学校へ行こう。疑われないために。

学校なら安全。

日常生活を送ろう。



親友の小田に話せないことが増えた。ごめん。小田。


大人の階段上ったときは、報告すっから。





翌日日曜、ゆるゆるーっとテニス部。


どーしたんだろ。小田の視線が刺さる。ついでにみんなの視線も痛い。

バレたのか? 警察よりもずっと身近にいる男テニメンバーに、Pの件がバレタのか?


「宗哲」


真剣な顔をした小田がオレに詰め寄った。

どきっと一瞬心臓が誤作動。気づけば男テニの2年一同がオレの周りをぐるっと取り囲んでいる。ミナトまで輪に混じって不思議そうに見学してるし。


「な、なに」

「オレに隠してることあるだろ?」


小田の言葉に心拍数が一気に上がる。

オレが後ずさりすると、後ろ側にいた筋トレマニアがオレの首筋の傷をなぞった。パンダにがりっとやられたところ。1つはかさぶた。その両脇には爪の痕が赤くなってついていた。昨夜、鏡で見た。


「なんも隠してねーし」


バレたのか? パンダの爪痕なぞるなんて。パンダを盗んだことがバレタのか? それともパンダを五重の塔に置いてきたのがオレだとバレたのか?


どきどきどきどき


変な汗が出てきたとき、オレの目の前に赤飯のおにぎりが差し出された。


「食え。おめでとう!」


パチパチパチパチ

パチパチパチパチ


小田がオレを祝福し、男テニ2年一同がオレに拍手。


「宗哲、女の子には優しくしなきゃダメだぞ」


ぺしっ


誰かが言いながらオレの腕を軽く叩く。


「結構、情熱的なんだな」


ぱしっ


今度は別のヤツ。ちょっとちょっと、なに?


「首にしがみついてくるって可愛いよな。ねぎま」


ばしっ


痛ぇし。は? ねぎま? 首にしがみつくって……


「初めてで痛かったんだろーな」

「とうとうねぎまが」

「やっと宗哲が」


てめぇら、なに想像してんだよ。


「ちげーし!」


ぱっとオレは首筋のパンダにがりっとやられた場所を手で隠した。


「まあまあまあまあ。とにかく食え」


パンダにやられたと言えないオレは、差し出された赤飯のおにぎりを食べるしかなかった。

輪の後ろの方で、ミナトが腹を抱えて笑っている。

ごめん、ねぎま。



土曜の午前中、パトカーが学校に来ることはなかった。

どーなんだろ。捕まるときって。経験がないから分からん。


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