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リア充爆発しろ!

僕は真っ直ぐ和也の事を見つめ、そして肺にできるだけの空気を入れて、和也に向かって叫ぶ。


「「リア充爆発しろ!」」


カンナも同じ心境なのか、声が重なった。


「俺は全然リア充なんかじゃない!」

「彼女いる時点でリア充に決まってんだろ!」

「え…そうなの?」


ものすごくどす黒い怒りがこみ上げた。


カンナもイヤホンごしから「リア充乙!リア充爆発しろ!」などと敬語を使わずに叫んでいる。


「今気づいたんだけどさ」


和也が笑顔で話しかけてくる。


「自分がリア充ってことにか?」


僕は睨みながら言った。


「いやいや、リア充とかの方じゃなくて、お前が俺に対して敬語じゃないってこと」


あ、そういや敬語じゃなかった。このごろ敬語をあまり使わなかったような気がする。


「えっと…気分悪くした?」


ちょっと後悔した部分もあってか少し、腰がひけた。


その後にカンナは「あいつなんかに敬語使わなくていいです!」とイヤホンから聞こえた。


まぁ、今から敬語を使うのも面倒になったからいいや。と自分に言い聞かせて、僕は和也を見る。


「目付きも変わったよな。前はどこ見てるのか分かんなかったし、でま今じゃしっかり目線をあわせてっからな」


和也は嬉しそうに少し笑った。


「でもよ、悪いが勝たせてもらうぜ」


急に真剣な顔つきに戻る。これ以上、お喋りの相手はしてくれなさそうだ。


「僕も勝たないといけないから」


沈黙が、辺りを包みこむ。


数秒後。


「武器【蒼の短剣】!」

「武器【烈風のランス】!」



奏太

【残容量:10000MB】-【蒼の短剣:800MB】=【残容量:9200MB】



和也

【残容量:10000MB】-【烈風のランス:3000MB】=【残容量:7000MB】



ほぼ同時に武器をダウンロードする。


最初に武器のダウンロードが完了したのは僕の方だった。普通なら相手の武器の形や能力を見てから、隙を狙って少しずつ体力を減らしていくのが僕のジョブにあっている攻撃の方法なのだが、和也の武器はダウンロードがとても長いようで、未だにランスは一割ぐらいしかダウンロードできていない。


僕は地面を一気に蹴り飛ばし、【蒼の短剣】を右手に和也の方へと走っていく。


「こういう時は待ってくれるのが普通じゃね!?」


和也は驚きながらも短剣で一番のスピードを誇る【蒼の短剣】を体を捻りながら避ける。


和也は昔からスポーツは一週間練習すれば、ほとんど基礎は完璧にこなしてしまう。そして、その事を実現させた理由は和也の目にあった。和也の目は動体視力がずば抜けており、早い動きでもしっかり捉え、見たものをあとでゆっくり脳内再生することもできる。


その事で和也は中学二年生の初めからサッカーを始めたのだが、一ヶ月たらずにレギュラー入りを果たし、高校に入った今でもレギュラーとしてサッカーを続けている。


さっきから切り続けて二十秒になったが、未だに斬撃がかすりもしない。


もうすぐ【烈風のランス】がダウンロード完了だったので、距離をとるために後ろへと飛ぼうと思ったが、和也に胸ぐらを掴まれる。


「逃がさねぇよ」


そのまま和也はもう一方の手で僕の髪の毛を掴み、胸ぐらを離して、地面に叩きつける。



奏太

【体力:9950/10000】



こういう場合でもダメージカウントはされるようだ。


僕は顔面を強打して痛みは無いが少し目眩がしてしまう。


その時、和也の【烈風のランス】がダウンロードを完了した。


和也は倒れてる僕にめがけて【疾風のランス】を刺そうとするが、僕は地面を横に転がりながら【疾風のランス】の矛先から逃げきる。


ある程度和也から離れたらすぐに起き上がり、体勢を立て直す。


「まずは俺が有利かな」


【烈風のランス】は主に緑色で、装飾に黄色が使われているが、ランスにはいくつもの刃がギザギザについていた。


「まだだ。【ランナウェイ】!」



奏太

【残容量:9200MB】-【ランナウェイ:100MB】=【残容量:9100MB】



さっきとは比べられないほど素早い動きで何度もフェイクをいれながら、和也に攻撃する機会を待つが、全て和也の視線は僕を捉えていた。僕が和也の上から攻撃しようとするが。


「スキル【烈風刃】」



和也

【残容量:7000MB】-【烈風刃:1000MB】=【残容量:6000MB】



そう和也が言った瞬間、【烈風のランス】の矛を僕の方に向け、ついていた刃が一気に僕がいる方向に飛んできた。


【蒼の短剣】で致命傷となる部分に飛んできたところはなんとか弾き飛ばすものの、かする部分は多かった。



奏太

【体力:9000/10000】



なんとか、家の屋根に着地をして和也から距離をとる。


最初、ダメージのあたり判定はどこに当たっても同じダメージだったのだが、今は攻撃された部分によってダメージが変わってきた。本当の現実世界で戦っているような気分になる。


「まだまだ!」


和也は素早く僕の目の前に来て、ランスを僕の顔面へと向かって突き刺す。僕は体をのけぞって避けるが、和也に足払いをさせられる。そのせいで【蒼の短剣】を手離してしまう。


屋根から転げ落ちて、そのまま家の庭に落ちる。


「パッシブ【隠密】」



奏太

【残容量:9100MB】-【隠密:100MB】=【残容量:9000MB】



僕は庭の木陰に身を隠し、和也に気づかれないようにゆっくりとこの家から出よう。


しかし木の根に引っ掛かってしまい、ドスンという音と共に転んでしまう。でも【隠密】を使っているので和也には僕は見えないはずだ。


と、思った瞬間屋根の上にいた和也はなんの迷いもせずに僕の方へと向かってきた。


音で気づいてしまったようだ。僕はその場からすぐさま走り出すが、和也は僕の後を追ってくる。


「カンナ!和也は僕以上のスキルが使えるのか!?」


前に花梨と戦った時、花梨は僕の【隠密】以上の効果を持つスキルを使って僕の居場所を見つけた。


「ランスをつかうジョブはほとんどが一回の攻撃に、ものすごく莫大な容量をくいます。スキル、パッシブはほとんどが攻撃スキルか攻撃力アップのパッシブしかありません」


カンナが言ってることが正しいとするなら、なぜ和也は僕の位置が正確に分かるんだ?


僕は和也から逃げるため、塀を飛び越える。和也も僕と同じように塀を飛び越えてくる。


地面に着地したあと体を丸めた状態で、足をバネのようにして走り出そうとするが、数メートル後ろに立っている和也が突然話し出した。


「奏太、変なパッシブは使うな。早く出てこい」


後ろを振り向くが、和也は僕の方向とは逆を向きながから言っている。


この事から一応【隠密】は発動しているようだ。


今までのはまぐれなのか?それとも他の秘密が隠されているのか?


考えていても始まらない。


音を出さないように携帯をタッチして、直接武器をダウンロードする。


ダウンロードした武器とは【致死の短剣】だ。絶大な攻撃力を誇る短剣である。



奏太

【残容量:9000MB】-【致死の短剣:2500MB】=【残容量:6500MB】



僕は一つ深呼吸をしたあと、地面を蹴って和也に向かって走り出す。


「こっちだったのか」


和也は後ろを振り向き、僕の腹に向かって【烈風のランス】で突き刺そうとする。


僕は体を回転させながらランスの矛先を受け流し、回転した勢いのまま和也の首めがけて横に振る。


「スキル【首狩】」



奏太

【残容量:6500MB】-【首狩:1500MB】=【残容量:500MB】


【致死の短剣】と首の間に盾をいれるが【首狩】は盾を壊す。


その瞬間【隠密】のタイムリミットがきてしまう。和也は【烈風のランス】を横に振り回し、僕の横っ腹に思いっきり当ててくる。



奏太

【体力:6400/10000】


空中を回りながら僕は、塀に背中からぶつかった。


さすがに生き残ってきたから強いと思っていたが、ここまで強いとは。僕はどこかで和也を殺したくないと思っていたかもしれない。でも、和也はある人のために頑張っている。


僕も譲れないことがある。


「パッシブ【オーバーヒートライフ】、スキル【忍者魂】」



奏太

【残容量:5000MB】-(【オーバーヒートライフ:500MB/分】+【忍者魂:2000MB】)=【残容量:2500MB】

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