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秘密です

○●○●○



「武器【蒼の短剣】パッシブ【オーバーヒートライフ】」



奏太

【残容量:2000MB】-(【蒼の短剣:800MB】+【オーバーヒートライフ:500MB/分】)=【残容量:1200MB-500MB/分】



「お前ら、あの男を殺せ」


ミントの父が腕をくみやれやれと言いたそうな顔をしながらため息をついた。無性に腹がたった。


「殺す」


僕はそう言うと、ゆっくり歩きながらミントの父のもとへ向かっていった。


「武器【ポイズンアックス】」


男が二メートルほどの紫色の斧を手に持ち、襲ってきた。


男は僕の首めがけて斧を横に振るが、僕はその斧を片手で受け止め、力を入れて握りつぶして粉砕させる。


もう片方の手で【蒼の短剣】を相手の腹めがけて突き刺す。


「スキル【蒼の乱舞】」



奏太

【残容量:1200MB】【蒼の乱舞:200MB】【残容量:1000MB】



【蒼の乱舞】は十秒間だけ【蒼の短剣】にコンボ能力を付加することができて、相手に攻撃をくらわない限りコンボは重なり、コンボの積み重ねたぶん威力が上がっていくものだ。


目にも止まらない早さで男は切りつけられ、地面に倒れ込む。



部下男

【体力:0/10000】-(【オーバーヒートライフ】+【蒼の乱舞】)×12



「なっ…!」


ミントの父は驚いて、腕を組むのをやめて、僕を見た。


他の四人の男は警戒心を持ったのか、僕を囲む。


「パッシブ【ランナウェ残容量:1000MB】-【ランナウェイ:100MB】=【残容量:900MB】



「は、はやくあいつを殺せ!」


ミントの父は焦りながら大声で叫んだ、しかし、その言葉を放った瞬間には、僕はミントの父の前に立っていた。


「終わりだ」

「スキル【金の肉体】」


ミントの父

【体力2000/10000】-(【オーバーヒートライフ】+【蒼の乱舞】-【金の肉体】)×15



ミントの父は後ずさり、つまずいてしりもちをつく。


「よくもぉぉっ!」


後ろにいた男四人がこっちに向かって走ってくる。


「スキル【極五月雨】」



奏太

【残容量:900MB】-【極五月雨:600MB】=【残容量:300MB】



上空から紅いクナイが何千本も降ってきた。クナイはすべて男四人に当たった。男四人はなすすべなく地面に倒れこみ、消えていった。


「あとは、お前だけだ」


僕は【蒼の短剣】をふりかざす。


「た、助けて…」

「知るか」


僕は【蒼の短剣】でミントの父を無心で切り裂いた。



ミントの父

【残り体力:0/10000】-【蒼の短剣】



視界が眩み、気持ち悪くなり、目を閉じる。


目を開くと、何時ものように、人が歩き、鳥は飛び、車が動いている。


僕は膝をつきながら、全力で地面を殴った。手からは血が滲み、痛みが分かる。


「くそおぉぉぉおぉ!」


あらんかぎりの声で叫んだ。


残るのは後悔と、罪悪感だった。



残り人数

【6821/10000】



「絶対、全員殺してやる」


前の生き残るとは違い、今はどんなてをつかっても全員を殺し、優勝することを望んだ。


「奏太様…」


カンナが悲しそうに僕の名前を言った。


「僕は大丈夫だ。お前のほうこそ大丈夫か?」

「………はい」


カンナは、理由は分からないが、落ち込んでいた。


「そうだ、お前に似ていた写真あっただろう?あれってお前か?」


カンナは少し考えたあと、ニッコリ笑いながら僕に言った。


「秘密です」

「…はぁ?」

「奏太様の過去を教えてくれないと、教えてあげません」

「なんでだよ」


カンナは本気らしい。目がまじだ。


「お前の事から教えろ」

「絶対に奏太様も言ってくださいね」

「内容による」

「私の記憶はとても曖昧ですがいいですか?」

「とにかく言ってみろ」


カンナは一つため息をしたあと「分かりました」と言って、話し出した。


私はもともと人間でした―――


という台詞からカンナの過去が語られていった。



∇▲∇▲∇○●○●○



私、伊織栞奈いおりかんなはお父さんが変態という以外どこにでもいる普通の高校生だと思う。


中学の頃は、友達がたくさんいる方だと思うが、恋沙汰なんて全くなかった。そんな時、ある事件が高校で噂になっていた。それはいじめによる自殺だ。この事件は私が一年生の春の時だった。


高校は親に金を渡したりして、大事にならないようにしていたというから腹が立つもので、しかもその親は金を受け取ったのだ。


そんなわけで、私は高校のことを信用しなくなり、いつも高校に迷惑になることをし続けた。例えば、喧嘩したり、授業をボイコットしたりもした。親は変態の父親一人なので、ある程度は親に知られなかった。


「そんな難しい顔してどうしたの、栞奈?」

「なんでもないよ」


こんな私にも話しかけてくれる人は何人かいる。昔からの友達だったり、悪友と言える人もいる。それで、この女子は紗綾さや昔からの友達だった。


それで、ここは私の教室で、昼休みが終わる三分前だ。


「悪い、ふけるわ」

「うん、いってらっしゃい」


紗綾は私に手を振りながら言ってくる。私は鞄を手に取り、教室をあとにする。


行くところは校舎裏である。この高校の校舎裏は不良のたまり場で有名で、一般の生徒、先生すらあそこにはめったに来ない。


急いで教室に戻る生徒とは逆方向に歩いていく。私は欠伸をしながら、悠々と校舎裏に向かう。


校舎裏についたのたが、生徒がいたのである。同じように授業をふけるために来た生徒なら、別に私は気にせず行くのだが、今回はいつも物静かで、真面目そうな生徒と、先生がいるのである。


話の内容はうまく聞き取れないが、なにか口論でもしてるようだ。


私が早く終わらないかなと思っていた時、生徒が先生の顔を一発殴った。先生はしりもちをつき、物凄い恐い顔で生徒を睨んでいた。生徒の顔は見えないが相当怒っているようだ。


生徒はそのまま、奥に歩いて消えていった。先生は鼻血をだしながら唇を噛みきるほどの強い力で歯をギリギリとして、怒りに震えていた。


私は見なかったことにするように、来た道を戻ろうとしたとき、悪友である男子が来てしまった。


「おっす!栞奈も今日はふけるのか」


後ろから走ってくる音が聞こえた。きっとさっきの先生だろう。


「くっ、おい逃げるぞ」


私は男子の手を握り、近くの草影に隠れる。


「急にどうしちまった?もしかして俺と…いた!」


私は「静かにしろ」という意味で男子の頭にげんこつをくらわした。


「なんだよ……っ!」


先生が私達の見えるところまで来たので、この男子にも分かったようだ。


先生は周りを見回したあと、走って教員室へと向かっていった。


「あれ、先生だよな」

「たぶんな」

「なんで顔が血だらけになってんだよ」


顔が血だらけというのは、鼻血を拭き取る時に唇から出ていた血を顔に引っ張ってしまったんだろう。


私は男子に生徒と先生の口論のことを言おうと思ったが、こいつに言ったら瞬く間に噂が広がって、あの生徒もすぐに捕まってしまうから、やめとこう。


実を言うと、生徒が先生を殴ったときはよくやったと思ってしまった。






その次の日






私は先生に殺された。

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