奏太様!大変です!
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「…っ!」
カンナは顔を歪ませながら動き始めた。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですよ」
カンナはたぶん無理矢理笑顔を作りながら言った。
「変なことがあったら教えろよ」
「………へ?…えぇ!」
「どうかしたか?」
「いえ、奏太様がそんなことを言ってくれるとは思わなかったので」
「別に心配したっていいじゃないか」
僕自身でも不思議だ。前まで機械によって作られたモノだと思っていたのに、今はカンナが苦しむ顔を見ると、人間と同じように心配をするようになってしまう。
「奏太様、嬉しいです」
たぶん今度は無理矢理に笑っていないようだ。
「よし、行くぞカンナ」
「はい!」
僕はドアを開けて、一気に階段をかけおりて家をとびだす。まずはミントがいるこの家から離れないといけない。
声をだすと気づかれるかもしれないので、携帯から【ランナウェイ】を選択する。
奏太
【残容量:2100MB】-【ランナウェイ:100MB】=【残容量:2000MB】
「あれ?奏太様、いつのまにこんなに使ったんですか?」
「よく分からん。お前が動かない時に減っていった」
カンナはこ首をかしげた。なにも覚えていないようだ。
【オーバーヒートライフ】を使ってすぐに見つけることができるかもしれないが、残容量が2000MBしかないので、念のために使わない。
「まぁいいよ。まずこっから離れよう」
僕はあてもなく、男を探すために走りだした。
走るスピードは普通に世界記録だって夢じゃないほどのスピードである。しかし、ここでしか使えないのが残念なんだよな。………なるほど、このモビフォンを現実世界でできたらそりゃあ皆にもてはやされたりテレビにも簡単にでれそうだな。
「奏太様!大変です!」
急にカンナが叫びだした。僕は足を止めて、カンナの声を聞くことに集中する。
「ミントさんが家から出ています!」
僕はすぐに友達登録した人に使える追跡機能を作動させる。たしかにミントは家から出て、どっかに向かっている。
ミントに動かないように言ったはずだ。ミントはおとなしそうだし、父には怯えていたから勝手に行動しないはずだ。
胸騒ぎがした。
「すぐミントのところに行くぞ!」
「分かってます!」
無事でいてくれ。お願いだ。
全速力で走ったからすぐにミントのもとへこれたのだが、やはり胸騒ぎがあたった。
「おや、気づかれてしまったか」
ミントの父が目の前に立っていた。五人の男を後ろに連れて、その中の男の一人は眠っているミントを肩に乗せていた。
「ミントをどうする気だ」
「もう終わっている」
その瞬間ミントは光の粒子に変わり、青空に消えていった。
「携帯を見たらお前と友達登録をしていたから、しょうがないことだ」
「なんでだよ!友達登録は一方的に解除できるはずだ!」
「あいつは裏切ったんだ。殺すのは当たり前だろ」
自分の子供を「あいつ」って呼びやがった。簡単に「殺す」なんて言いやがった。意味がわからない。
「お前の子供だろ!」
「確かに俺の子供だ。だからこそ俺の好きなように扱う」
ふざけるな。「扱う」自分の子供に言いやがった。
「でもな、君も悪いだろ?君があいつに勝手に友達登録をしたんだろ?あいつはモビフォンのゲームのルールなんて知らないはずだからな」
それもそうかもしれない。でも、でも、僕はミントを助けようとしていた。
僕は悪くない。
僕は悪くない。
絶対僕は悪くない!
あいつが悪い。
絶対あいつが悪い!
―――絶対倒してやる
○●○●○
一番最初の戦い、スキンヘッドの男との勝負の時を私は思い出した。
奏太様はあのとき、確かに変だった。奏太様に声でスキルが使えることは教えなかったのに、理解した。ずっと怯えて逃げてばっかいたのに、急に戦う気になった。戦ってる時は、まるで初めてじゃないかのように携帯、武器、スキルを使いこなし、携帯は無力化と分かっているのか、携帯を壊した。そして、いとも簡単にスキンヘッドの男を倒した。
その時と今回の奏太様の雰囲気が似ている。
とても怒っているのか、とても悲しんでいるのか分からないが、私はこの奏太様の雰囲気は嫌いだ。
きっと、仲間、友達が傷つくのは嫌いなんだろう。でも、怒っている奏太様は嫌いだ。
そして、とても優しいのだ。私のこともただのモノとしてではなく、接してくれた。
モビフォンの残容量が減っているのはたぶん理由は分かる。きっと、思い出してしまったからだ。
私の過去を。
でも、まだ曖昧でゆらゆらしている。
分かることは、私はもともと人間で、生きていたということだ。
そして、貴方と同じ高校。
とても嬉しくて、とても悲しかった。
貴方は―――
―――私を助けてくれますか?
区切りのいいところにするために短くなってしまいました。すみません。




