可愛い娘の同級生
俺は如月と一緒に学校を出ると、校門前で黒塗りの外車でスタンバっていたフレアさんに遭遇した。
俺としては高級車に乗ると貧乏性で吐き気をもよおすので、遠慮したかったのだが……。
◇◇◇
『早く行かないと貴方の娘たちが騒ぐのではないかしら? 車なら電車よりも早く着くわよ。だから早く乗りなさいな』
『義孝様、このフレア、安全運転で目的地まで送り届けてご覧にいれましょう』
『い、いや、俺は電車で――』
『フレア、丁重に車に乗せなさいな』
『かしこまりました、お嬢様。義孝様申し訳ございませんが……失礼致します』
『な、なっ! フレアさん!? そんな所触らないで! エッチ!!』
『…………フレア、誰かに聞かれるとことだわ。早く車に乗せなさいな』
『きゃあああああああ!!』
◇◇◇
と、言う、一歩間違えば誘拐という行為が行われ、俺は快適なドライブを楽しんでいた。運転席にフレアさん、後部座席に俺と如月で、まあ、乗ってしまえば快適だ。
車は高級車で静かな走行だし、フレアさんの運転は丁寧だし……俺を誘拐する時も丁寧な誘拐だったけど。
何より――。
「ふふふっ、貴方、今日リレーは本当にかっこよかったわ。フレアが追い付けないなんて相当だわ。未来さんも早かった。それにアヤメさんも。なのに貴方は抜かれなかった。これは誇ってもいいことよ。むしろ、誇りなさいな」
自慢げに俺のことを話す如月が可愛らしい。
いつもよりも明るい声、さらにはいつもよりもストレートな好意、うむ、可愛い。これがギャップ萌えというやつか。
まあ、だけど……そろそろ恥ずかしくなってきたな。
「何度も褒めなくてもいいって」
「あら? まだまだ足りないくらいよ? なんなら全校生徒の前で講演会をしたいぐらいだわ」
「間違ってもやめてくれ……」
俺はそう言いながら窓の外を見る。
ん? そろそろ家の近所だな。如月の話を聞いていたら、あっという間だったな。
「あれ?」
フレアさんが運転する車は家を避けるように左折をした。このまま真っ直ぐ行けば家なんだけど……。
そんな俺の視線にバックミラー越しに気が付いたのか、フレアさんが優しく笑う。
「ふふっ、申し訳ございません。道を間違えてしまいました。ですのであと10分ほど会話をお楽しみください」
「…………」
いや、明らかにわざとだろ……。ミスを装って俺と如月の時間を増やしたのだろう。なんというか……主人想いの人だ。
如月もそんな意図がわかっているのか? 楽しそうに笑っている。
「それなら仕方ないわね。ならもっとリレーの話をしましょうか?」
「勘弁してくれ……」
俺は照れてはいるが内心ではその話題は嫌ではない。優越感があるのは間違いなし……それも如月みたいな可愛い子ならなおさらだ。
如月はそんな俺の考えを見抜いてか、話を続けた。
「フレアがバトンを受け取ってしばらくしても貴方のスピードが全然落ちなかったのよ。ふふっ、この時の走りが好きなのよね……。負けたくないという気持ちが前面に出ていて、勇気を貰える走りだったわ」
如月は口を止めずに冗舌に本当に楽しそうに語り続ける。
そんな如月を見ていると、とある疑問が浮かんでくる。
(俺は如月に本当はどう思われてるんだろうか……。いや、嫌われてはいないと思うんだけど……如月自身も好いているとは言われたし。でも大元は政略結婚な訳だし…………はぁ、縁談を断ったくせにこんな考えをしてしまう自分が嫌だな……)
俺はそんな考えを振り払い、時間の許す限り如月の話に耳を傾け続けた。
そして……数か月後の文化祭。
俺は自分の疑問の答えを得ることになり……そして俺は1つの決断をすることになるのであった――。
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4章終了です!!
次の5章は夏休み、如月望編です!!




