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俺はJKの子持ちだったのか!  作者: シマアザラシ
第3章『ミライヘノネガイ』
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お悩み相談室(5)

「坊主と嬢ちゃん! とにかくカウンターに座れよ!」


「ああ。はぁ、坊主はやめろよ。そんな歳じゃねぇよ」


「はん? あははは、わいからすればお前はまだガキじゃい!」


「別にいいけどな……そうだ。こいつ未成年だけど、酒は飲ませないから、座らせていいか?」


「おお、それならかまわん。よし、座って待っとれ! ちょっと一服してくるわ」


 タバコをすう仕草をしながら店の奥の引っ込んでいく不良初老。たくっ、客を店に放置するなよ……俺のこと信用しすぎだろ……年月経ってるんだから。


 まあ、営業前に来た俺らが悪いんだけど、もう俺もおっさんだって言うのに……キャッチマンも変わらねぇな。


 変に面倒見がいいというか……。


「店長、店長、早く座りましょうよ」


 由衣はワクワクした表情で椅子を指さす。こういうところに初めてくるからテンションが上がってるのか……懐かしいな。

 俺も若い時に上司に連れてこられた時ははしゃいでたな……そのあと、1人でウイスキーを1本開けてアル中1歩手前までいったのもいい思い出だ。


 俺はカウンターの端の席に腰かける。由衣はそんな俺の後をついてきて横の席に座った。


「ふふっ、店長って信用されているんですね。私のこともすんなり受け入れてくれましたし」


「信用っていうか……なんていうか」


「私、店長とマスターの話を聞いてみたいです」


「変なことに興味があるんだな……やめとこうぜ。そんな面白い話でもないしな」


「ええー、いいじゃないですか」


「いじけんなって……」


「いじけてません……もう……」


 話をすとなると、こいつが怒りそうなネタもいくつかあるしな……。ソープに乱入した件とか……美奈を泊めた経緯とか……。


 大人とは都合の悪い部分は語らない生き物だ。

 

「なんだ小僧? お前彼女の尻に敷かれてるのか!? あっははは」


 その時、酒瓶を数本持ったキャッチマンが現れた。


「敷かれてねぇよ……」


「わ、私たち付き合ってませんから! そ、その……」


 そ、そんなに必死に否定しなくても……おっさんちょっとショック。


「そうなのか? それならアヤメも安心するってもんだ!!」


「なんでアヤメ……? そりゃ、アヤメは俺の最高に可愛い妹の1人だが……帰りあいつになんか買っていってやるか」


「あ、食いもんなら、間に合ってると思うぞ? わいが死ぬほど送り付けてやったからな!! 10人の力士が食っても足りないぐらいのな!」


 もはや嫌がらせじゃねぇか……?


「はぁぁ、あんた昔からアヤメに甘いよな? ロリコンか?」


「てめぇだけにはいわれたくねえ!!」


「えっ? 店長ロリコンなんですか!? わ、私とかどうですか!?」


 いわれのないロリコンという業を押し付けられ、部下には何故か急にくいつかれた、


「若い女はロリに憧れるのか……でも、お前はロリじゃねぇだろ……真のロリに失礼だわ。女には20歳を過ぎてもロリをステータスとして戦う風俗嬢がいるんだぞ? お前の容姿でロリを名乗ったらそいつらに失礼だわ」


「店長の言ってることは相変わらず意味がわかりませんが……」


 ドン引きされた……。

 お前が言い始めたことだろ……。


「小僧、お前は相変わらずだな……よし、積もる話もあるからな! さて、何を飲む? 最初の一杯はわいが奢ってやる」


「おっ気前がいい。ありがとうな。そうだな……」


「あっ、ありがとうございます。注文ですね……私は……」


 由衣はカウンターに置かれていたメニューのノンアルコール欄に目を通す。そこには名前と材料、味の説明などが書かれているようだ。

 キャッチマン……仕事が細かいな……。


 まあ、俺はそんなキャチマンの努力を見ずに、普通に飲ませてもらおう。


「キャッチマン、バーボンのオールドクロウってあるか?」


「なんだ? 安酒だな。奢ってやるんだからもっといいやつ飲んでもいいだぞ?」


 オールドクロウはケンタッキー州で生産されている低価格帯のストレートバーボン・ウイスキーだ。

 俺はバーに行くといつもこいつを頼む。

 飲み馴れてるし、何より……安いからな……バーって一杯1000円オーバーの酒って山ほどあるからな。クロウは7、800円だし。


「いいんだ。気に入ってるからな。ロックで頼む」


「わかったよ。それならつまみを豪華にしてやる! 嬢ちゃん! 決まったら声をかけてくれ!」


「あ、は、はい……」


 キャッチマンは俺たちから少し離れた位置で、アイスボックスから大きめの氷を取り出し、手慣れた手つきでカリカリとアイスピックで削り始める。


 俺が頼んだロック用のアイスを整形してくれているようだ。


 ……この人本当にマスターになったんだな……。元医者、風俗のキャッチ、すげぇー人生だよな……。まあ、最近は俺も人のこと言えないけど……。


「…………」


 その時、由衣が俺の顔をぼーっと見ていることに気が付いた。


「ん? どうかしたか?」


「えっ……い、いえ、店長メニューを見ないで頼んだので」


「ああ、俺が頼んだやつは置いてある店が多いからな。逆に高級店に置いてないことが多い……」


 いい意味でも悪い意味でも安酒だな……俺的には置いてなかったら、マイナスポイントだ。庶民を舐めるな。


「ふふっ、へぇ……私、お酒飲めるようになったら、それ飲んでみようかな。オールドクロウですね」


 由衣はスマホを操作してメモをする。


「おお、いいんじゃねぇか? 最初の酒としてはかなり相応しくないのが面白い。40度だしな……まっ、その時は俺が奢ってやるよ」


「えっ、本当ですか!? 不穏なことも言っていた気がしますが……店長を信用します。ふふっ楽しみです……」


「…………」


 その時は飲ませ過ぎないように注意しよう。


「それで? お前は何頼むんだ?」


「そうですね……むぅ……これも、美味しそうな感じがする……でもこっちもお洒落な名前だし……」


 再び真剣なメニューとにらめっこする由衣。

 その表情が可愛らしくて、見ていると自然と笑みがこぼれた。

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