6.悪意ある食卓と見える嘘②ずるい男
ジェフ・ラザフォード→年配の男。傲慢。酒好き。
リサ・ラザフォード→ジェフの妻。
メーガン→ジェフの秘書。ジェフの不倫相手。
イブ・ラザフォード→ジェフの娘。
ハリー・ラザフォード→イブの夫。娘婿。
若者二人→ジェフに会社を潰された家の息子。ウーズリー家?
アレックス・ブライト→ブリジットにレストランに誘った。
ブリジットは立ち上がることもできず、ジェフが倒れていくのを見ていた。
ジェフの眉間には汗が吹き出し、酔いで赤かった顔は更に赤くなり苦悶の表情をして倒れた。
ブリジットはジェフの衝撃の場面が頭から離れずただ呆然としていた。現実に起きたことかどうかうまく受け止められず。
そんな状態のブリジットにアレクが静かに立ち上がり、「……大丈夫か」
と、気遣う。
「顔が真っ青だ」
アレクはブリジットの肩にふれる。
「大丈夫ではないかもしれません」
肩の手の温かさに絆され、ブリジットは冗談まじりな声色で本音をもらす。
アレクが優しい眼差しでブリジットをみて、店員に飲み物を注文した。
「一旦元々座っていたテーブルに移動しよう」
アレクが誘導して元いたテーブルに移動した。
テーブルに座ると観葉植物が目隠しになり、ジェフの姿はみえなくなった。
すかさず店員が先ほどの注文した飲み物をテーブルに運んだ。
「ほら、これを飲め」
アレクは運ばれた飲み物を手渡してきた。思わず両手でカップを受け取った。
カップからは湯気がたっている。
「熱いから」
ブリジットは言われるがまま受け取ったカップに慎重に口をつけた。恐る恐るカップの液体を飲んだ。
口に含んだ瞬間、不意な甘みに驚き言葉を漏らす。
「…あまい」
液体は甘いカモミールティだった。
カモミールに上品な蜂蜜の甘みが追加されている。
ブリジットはあたたかいカモミールティのおかげで強張りが解け少しずつ思考が回りだす。
「ブリジット、調子はどうだ」
アレクがブリジットが落ち着いたタイミングで声をかける。
「ありがとう、おかげで少し落ち着いたわ」
「よかった。俺たちはしばらくここにいることになると思う」
「わたしは大丈夫。それより、倒れた際ワインが少し服にかかったから手洗い場でしみ落としてくるわ」
「了解。俺は状況を確認してくる」
ブリジットは席を立ちトイレにむかう。
アレクは周囲を一瞥すると、ジェフの家族の方へ足を向けた。
手洗い所のドアを開けると少しひんやりしていた。
ブリジットは洗面所に立ちため息を吐いた。
ドレスにワインのしみなどない。
少しアレクから離れたかったのだ。
アレクの彫刻のような端正な顔立ち、一眼見たときから華のある姿。ブリジットはアレクに惚れたら大変なことになることはわかっていた。
彼はブリジットのことをなんとも思ってないだろう。いや、老舗であった際、少しの好奇心は芽生えた。だからご飯に誘われた。
だけど、彼の完璧なエスコート、さきほどのさりげない気遣い。
彼のの一挙一足に勘違いしてしまいそうだ。ブリジットのことを本当に大事にしているように。
彼に惚れたらあともどりはできない。
蛇口をひねり、ブリジットは冷たい水で顔を洗った。鏡に自分の顔を映した。
いつもの顔である。
ブリジットはいつもの自分の姿にホッとし息を吐いた。
あれこそ、魔性。魔性の色男だ。
神様、仏様。私は自分の手に余る男は不要です。自分の嘘を見抜く能力だけでも手に余ります。
お願いします。あの魔性の男の魅力にかからいように我が身体を守りたまえ。
ブリジットは勝手に祈りを捧げ、斜め上の考えをし無事元気を取り戻していった。




