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虚の機繰  作者: 浮海海月
満天の曇り空を彩る星痕
38/40

38.蝉騒

 蒸し暑い夏の朝。

 どこのどいつだ、夏の朝の爽やかな風がウンヌンカンヌンとか抜かしやがったのは。爽やかさのさの字も感じられねーよ、反省してくれよ。

 唯一の救いの日陰がすぐそばのプールが出す冷気を掻き消す水蒸気のせいで湿度が上がって足し引きマイナスに。碌な手入れもされていない体育館裏で無作為に伸び切った背高雑草に虫も湧いてるせいで本当に良いとこがない。

 それでも二人が話すときはここを使う。

 最もらしい理由は「誰も近付こうとしないし、いい感じに草木に隠れられるし、夏場には蝉が鳴いて声まで隠せるよ」とかなんとか。

「で?こんなとこまで来て話したいことって?これで惚気だったら先生怒るからな」

 指差してまで強調して言い放つ猿川の目が鋭い。

 力也のことだから流石にしないだろうと思いながらも実際やりそうだからこその注意。今朝から並んで登校、練習の合間に「暑い〜」とか言いながらくっついたりさっきみたくずっと隣にいたりと見せつけてくる前科があるのでやりそうではある。

「やりませんよ、先生にやったら可哀想じゃないすか」

「お前マジで覚悟しろよ」

 これ以上は本当にこぶしが飛んでくる可能性があるので、頭に出来た拳大のタンコブを撫でつつ本題を切り込むことにする。何も本気でぶたなくても良いじゃないすか、お戯れですやん。


 良い加減本題に入らないと授業が始まるから、と暗に「とっとと話せ」と促されたのでそうするとしよう。

「実は、昨日のことで一つだけ先生にだけ話しておきたいことがあるんですよ。ふざけてるわけじゃなくてどうしても先生にしか話せないやつです」

 そりゃそうだろう。

 S級同士ってこともあって日頃から()()()()()をすることはある。茶飯事ですらある。

 どちらかがここに来いなんて言う時はいつも決まって薄ら暗い話をする時か、泣き言を吐露する時だ。

「…言ってみな」

 壁に寄り掛かり、手持ち無沙汰な両手を組むが人差し指がリズムを刻んでいる。目を閉じ、深い息を吐いてからそう言った猿川の長めのまつ毛を眺めるのがバレるより早く天を仰ぐ。

 見上げた空では入道雲が人の子の行く末を見下ろしていた。


 滴る汗が葉上に落ちて跳ねる。

 五月蝿いくらい泣いてたアブラゼミの声が消え、プールに溜まった水に落っこちるのを横目に番のトンボが産み落とす卵が塩素に侵され毒殺される。

 床下の鉄格子からこちらを覗くドブネズミが刹那の静寂を破る。

「居ますよ、裏切り者」

 やけに強い風が水面を揺らしてアブラゼミを岸へと運び、散り落とされた木の葉が幾つかまた波紋を模る。

 幾百の静寂。

 鉄柵越しに外に光を見たドブネズミは夢を見る。コンクリートの地面を焼くような強い光の下で臓物を鴉に啄まれ白骨を見せ夢死行く己を蚊帳の外にして。

 世界から色が消えた気がした。

 鮮やかな緑を彩る者共が、塩素消毒の済んで落ち葉が浮かぶプールが、ビビットカラーの蒼が澄んだ空に浮かぶ白い影がモノクロになる。

 そんな、気味の悪い感触がした。

「そうか」

 嫌煙家の猿川が一度二本指を口に当てる仕草は変に様になっていた。すぐにやめてしまったのが惜しいくらいに。

 嘴を赤に濡らした鴉が二人を見つめている。何処が眼か分からぬ姿で獲物から目を逸らしてまで二人を見つめる。

 嫌な考えばかりが頭を過ぎる。

 自分で自分が信じられなくなるような思考ばかりが頭をグルグルグルグル廻っていて目まで回してしまいそうだ。

「それ、他に言ったか?」

 だが事実からは目を逸らさない。例え、目にし難いグロテスクな現実だろうと飲み込み難い難解な現実でも。

 だから、猿川は曲がらずに即断即決で先に進めるのだ。

「言うと思います?」

 まぁ無いだろうな、と心の中で呟く。

 力也もまたする訳ないだろうと主張するように言い捨てるが、何処か力無く見えた。

 ただでさえここ最近は良いことが悉く無い―並べて見るのはここでは控えるが気になるならこれまでの話でも読み返してくれ―と言うのに、重ねて裏切り者と来ればどんな素人もプロも元気なんて消え失せるだろうが、元気がないってだけでペラペラと口を滑らせるような素人でもないのも事実だった。

「分かった」

 その言葉は一体誰に何に向けて?

 了承か、はたまた事実を飲み込むために噛み砕くために呟いたのか。真意は力也に知る由もないが、風に靡いた前髪に隠れた揺れる瞳は紛れもない本物だったとそう思うことにする。

「…分かったよ」

 噛み締めるように、誰に向けてでもなく小さく呟いた言葉は木の葉の喧騒の中に吸い込まれてしまって聴き取れない。

 路上に刻み込まれた真っ赤なタイヤ痕は誰の物。

 臓物をばら撒き漆黒の羽を散らばせる鴉はまだ二人を見つめていた。



 夏の天気は変わりやすい。

 ついさっきまでは仰いだ空の八割は透き通る蒼が占めていたのに今は灰色の雲がかかっていて通り雨に降られそうだ。

 しかし、二人はそんなことをわざわざ気にする素振りもなく、時間が許す限り話を続ける。

「一応確認だけど、本当に居るのか?勘違いだったりしないか?

 念の為、もしかしたらワンチャン万分の一で力也の勘違いってこともあり得ない話ではない。

(力也が言う限りじゃあいつが万有引力だけを知ってたってことくらいしか分からないしな。どっかから漏れたってことも全然あり得る)

 そうであってくれたら面倒ごとも減るし助かるというのに。

「間違いないですね。万有引力だけは確実に知ってるのは確認済みですし、僕の能力をそう思い込んでるのは今はウチのメンバーだけです」

 普段から能力を隠す事を徹底してる力也が言うのだから間違い無いのだろうがこうなると部員全員を調べ上げなきゃならない。無論、証拠はあくまで「力也のついた嘘を敵が信じ込んでいた」ということに限られているので現在残っている十余人だけでなく新人戦後に抜けていった五十人弱、OB含めてその嘘を知る人物を洗いざらいに。

 鼻先に雨粒が落ちてくる。

 木の葉がゆらゆらと揺れてざわついて蝉声とハーモニーを奏でる。

「でも一番はあいつは能力の無効化が出来る術を持っているのにわざわざ斥力だけをどうにかする技まで創ったってとこですかね。あんなの日頃から僕がそういう使い方してるの見てなきゃ創ろうとも思わないでしょ」

 彼の動きは徹底していた。

 彼の計画がどういう目的でどういう動きをするのかは理解し得ないが、恐らくは殆ど止められていない。昨日昨晩のアレが初めての失策なんじゃなかろうか。

 龍田ホールでは新人戦を滅茶苦茶にした上に神具にS級遺物を持ってくし、数々の貴族富豪の家を襲って義賊みたいに動いて世論を味方に付け、警察に話を持ち込み内部に侵入までに至っている。

 戦闘も同様に、何より余裕を持っていた。芸がないとかなんとか言うくらいには。

 彼はいつも優位に立っていたし、いつだってゲームの流れを作る側にいた。人体切断マジックだってそれが為した結果の一つに過ぎないのだろう。

 考えることが多すぎる。

 雑多に浮かんでは消える限りなく零に近い可能性の一つ一つは掴もうして手をすり抜ける…なんてことになるより前に泡沫になって消えてしまう。

「そうだな。じゃあこれからどう動くかだけど、先生としては『本職に任せる』が一番だと思うけど…だけど、だ。力也はどうしたい?」

 夏場に降り注ぐ蝉時雨。

 雨音が奏でる喧騒に包まれた死に際の鼠の一泣きは誰の耳にも届かぬままコンクリートに染みていった。

「俺は…」

 授業開始十分前を告げるチャイムがあらゆるノイズを無視して叫んで二人の意識を強制的に連れ戻す。

 学生が授業サボってどっかを彷徨くくらいなら大した問題じゃない、かえって健全まである。

 だが、教師が仕事をバックれる、これが頂けない。ただでさえ色々危なっかしいことに首突っ込んでるのにそんなことまでしたら必死間違いなし。

 雨足も強くなってきたし、良い時間だしで教室に戻ることに。放課にまたここに来ると約束だけを押し付けて。

 折角の早帰りに二人のテンションは上がりきらないまま。一つ損した気分で授業へと向かう。

 事切れた鴉と鼠はまだその様を映していた。




―――――――――――――――――――――――――




 車窓を流れる景色を眺めてた。

 ひとしきり泣いて赤くなるまで腫れた目をこれ以上を見られたくなかったから、ずぅっと何の意味もない誰かの日常の始まりを眺めてるフリをして隠してた。

 父さんの好みはほんとによく分からない。

 少なくとも最近の流行りでも昔に流行ってたなんて聞いたことないエレキギターの主張が激しすぎるロックバンドが流しまくる。

 お陰様で不思議と涙は引っ込んでったけど。

 でもそれは母さんも一緒みたいだった。

 さっきまではむず痒いけど、なんというか『感動の再会』っぽい雰囲気があって母さんもそれっぽい感じになってたのに車内に入った途端「え?いつも通りですけどなにか?」と寒暖差で風邪を引くレベルの身替わりを果たした。

 運転席と助手席で繰り広げられる他愛もないこの夫婦にしか出来ない言い合いもとい夫婦漫才も、小麦粉溢し過ぎて所々が粉が落ちてくれなくて白いままの車内も、理由は知らないけれど若干イーストの香りが漂うシートも、それらに文句垂れながらも大口広げて笑ってる自分も。「日常に帰ってきた」と改めて感じさせてくれる。

 知らず知らずのうちに口角は上がってた。

 BGMにならない乗車してる内の三分の二が知らないロックもサビに入ったところで新葉が紅葉に聞く。

「紅葉、昼何がいい?お寿司とか焼肉は夜にしたいから他なら何だっていいわよ〜」

 鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしている紅葉に「何も食べないってことないでしょ?これから忙しくなるんだから」と急かしてくる。

「いつもの昼ごはんがいいよ。…ほんとにいつものでいいよ?変に気使ってないって。熱もないって。父さんにやけるのやめろ、なんかヤダ」

 紅葉の中にあったセンチメンタルも「そんな父さんのパンが恋しかったのかあ。嬉しいなあ」という天然物のおセンチぶち壊しパンチによって粉々に砕け散った。

 それでも昼ごはんを変えようとは全然思わなかった時点で紅葉もとっくに小麦とイーストに染め上げられていると自覚した。

「じゃ腕によりを掛けて焼かないとね。紅葉が一番好きなクリームメロンパン!あ、お父さん、工房片付けなきゃだから試作品とか片しといてよ」

 紅葉とそっくりの豆鉄砲喰らった顔をよりオーバーにしたリアクションを取る父に「あんな作ってたのにまだ片してないのかよ」と笑う。それを母が「なにそれ、そんな作ってたの?」と言ってまた父の肩を小突いて車が揺れる。



 大粒の雨が本格的な土砂降りになって「さっきまで天気良かったのにね」とか父が言ってるのを聞きながら道行く人々が駆け足になるのを「かわいそ」と思って眺めてた頃、ふと気になったことを聞いてみる。

「そういえばさ、学校…行かなくていいの?」

 流し目で助手席を見る。

 母はさほど驚いた様子もなく、ケラケラと笑って応えるのだ。

「いいのいいの、どうせ今日終業式なんだから。あ、でもちゃんと先生とか友達とかには連絡しときなさいよ、心配してくれてたんだから」

「行きたいんなら別に行ってもいいのよ?」と付け加えられた言葉に「行かない」と素っ気なく返す。

 学校へはまだ行き辛いと思っていた。

 無実は証明されたとしても一度は追われる身になってしまったことは事実で、一般人からしたらそれを怖い、怪しいと勘繰ってしまうのもまた事実で…

 顔を合わせるまでもうちょっと時間が欲しかった。

 つくづくこの親の下に生まれてよかったと思う。

 強い雨足に鞄を雨除けにして走る人影は減るどころか増えてく一方で、だんだんと小鳥も日陰に入っていく。

 それでも蝉時雨は止みそうにない。

「今日終業式か…」

 じゃあテストとかも受けれてないなとか成績どうなるんだろとか余計なこと考えてるのをどうやってか察知されて「暗い顔してんじゃないよ!笑いな!笑ってりゃうちの子はカワイイ顔してんだから」と叱られる。励まそうとしてるのかどうか判断に困るラインでね。

「お父さん、こりゃ重症だよ」

 締まらない笑顔を浮かべる我が子の顔を見るとすぐに運転席の夫に向かって声を掛ける。

「なら父さんのパンでお腹パンパンにしてあげないとなあ」

 甘い物たっぷりで腹満たされたらたまったもんじゃないので頼むからやめてくれ、と願ってもこの親は止まってくれないだろうと笑って諦める。


 十分もすれば雨も上がり、澄んだ夏の青が覗き出した。




―――――――――――――――――――――――――




 留置所に居るのはどんな人かと訊かれたら九割九分九厘の人々が口を揃えて犯罪者だと答えるだろう。残りの一厘は逆張りの警察とかじゃない?

 まあどちらでもいい。

 どっちを答えていても今この現状においてはそのどちらも正解だから。

 沢山の鍵を束ねた輪っかはジャラジャラと音を立てて初老の痩せぎすの男性に近付く。

 足音が止まれば次に格子越しにしゃがみ込んだ婦警の声帯が音を立てる。

「えーっと、明星醒次さんですよね?外、出たいですか?」

 今ここで婦警がしゃがみ込んだらスカートの中見えるとか考えてた者は反省しなさい。綺麗なまでのパンツスタイルの制服のお陰でしっかりとガードされてる。

(だとしても見なさすぎでしょ…天峯さんと言い、なんでこうも自分に興味ない男しかいないんすかね)

 格子の内だと言うのに偉そうな態度で座り込んでいる醒次は田白に一瞥だけくれてやったらまた目を瞑ってしまった。

「出たいと言えば出してくれるのか?天峯とやらが契約を破ったばかりだと言うのに」

 語気強く放った言葉が籠った留置所に響く。

 他の容疑者たちと比べて醒次の拘束はより強くかかっているせいか、金属音が声と同時に鳴り他の目を引く。

「強がんなくても、言わなくても出られるっすよ。自分は天峯さんの伝言を伝えに来ただけなんで」

 そんな醒次を他所にくるくると鍵を回して遊ぶ田白は上司と同じように煙草の匂いを漂わせながら飄々とした態度のまま対応する。

 取り出したのは一つのボイスレコーダー。

 人差し指で軽く再生ボタンを押せば良いとは言えない音質で声が流れる。

「あ、あーあ。もうこれ始まってんの?あそう。じゃ始めるか。今頃じーさんは約束を破ったとか言ってるだろうけどそんなことは無視して話を続けます。第一に、昨晩の件はちゃんとちゃんと不問にしました。これで契約はチャラです」

 契約の内容はどんな状況に置かれていてもしっかりと確認しておくんだな、かの大企業の代表取締役さんみたいに()()()()になりたいなら話は別だが。

 天峯が言う通り、不問となったのは「明星醒次がオッドマウスと連絡を取っていて様々な事件に関連していた可能性があること」のみ。

 だが、大本から間違っているのだ。

「大前提、あなたが得たメリットは一つもありませんけどね。オッドマウスに資金提供してた訳でも犯罪指示を出してた訳でもありませんでしたし、犯罪者と連絡取ってるだけで罪に問える程この国の法は腐ってませんし。もっとよく考えてから口を動かした方がいいっすよ、そんなんだから娘さんにも逃げられちゃうんですよ」

 レコーダー越しに聴く天峯の声は無機質の中に笑みを孕んでいて、無性に醒次の腑が煮え繰り返ってくる。

 その全てを見透かしているかのような声はそれら全てを無視してまた言の葉を紡ぐ。

「て事で、あなたがそこにいるのは別件です。ま、明星がやってたグレーゾーンスレスレの黒とかが露呈しちゃったってだけですよ。でもどうせ保釈金支払ってお終いでしょ?だからいっそのことこっちで手綱を繋いでおこうかと思いまして」

 明星の面倒なところは貴族でもないのに貴族よりも資産があるところだ。いくら面子を潰そうが、いくら金を払わせようがてんで効いちゃいないのだ。事業幅が広すぎるせいで変に手を出せば国の損失になるって言うおまけ付きでね。

 だから天峯はここでこいつを罰するよりも首輪を嵌めてリードに繋いでおくことを選んだ。

 こいつの利用価値は高い。高すぎる。どっかの小国の国家予算全部注ぎ込んでも釣り銭が返って来るくらいには。

 明星醒次とは、明星グループとはそういうモノなのだ。

 そういう星の下に生まれ落ちたのだ。

 だから、こんな風になるんだ。

「忘れないように言っておきましょう。我々はいつでもあなたをしょっ引けますし、タネなら掘れば掘るほど出て来ます。仮にあなたが僕らの指示に背くような文字通りクビ切りですから、重々承知のほど」

 その後は今から釈放すっから田白の言う事聞いて言う通りにしておけ的な文言を念押しして「じゃあまた後ほど会いましょう」と一言吐き捨てて再生は終わった。正確に言うとまた最初から流れ出したのを慌てて止めた。

「とか言っちゃってますけど、天峯さんは今頃タスクにリンチにされてる頃なので明星さんに会いに来ることは多分ないっす。なんで、さっさと出てさっさと帰っちゃいましょう」

 聴き終えて尚態度の変わらない仏頂面を他所に鍵穴にハマる鍵を差し込んだらカチリと鳴るまで捻り、戸を引いて釈放。

 留置所を出る前に衣服を着替えてくださいとのお達しが出たのでみすぼらしい格好にサヨナラを告げる。

「預かってた私物です。一応ですけどスマホの中身はこちらで控えてるんで証拠消したって無駄っすよ」

 ビニールに入っていた私物たちを受け取ると同時に忠告まで受け取る。プライバシーとかどこに行ったのか。

「心配せんでもそこまでするつもりはないわ」

 どうせ証拠のほとんどはあの黄髪の刑事に押さえられてるのだろうと心の中だけで愚痴りながら。

 それをちゃんと聴いていたのだろうか、いや聴いてないだろう田白が先導して歩きパトカーの鍵を受け取って外へ出る。

 雨上がりの青空が広がり、湿気った風が吹くと雨に濡れた草木の香りを運んでくる。


 何故だか清々しい気分だった。

 

 オレンジコートの刑事が相乗りしてくるまでは

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