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虚の機繰  作者: 浮海海月
目覚め編
1/12

1.目覚め−壱−

「----あん…た…なんか産む…んじゃ…なかった----」


ピピピッピピピッピピピッーーー

「んん…」

目覚ましがうるさい。

春休みなんだから寝てていいだろ。誰だよ目覚ましかけたの…

なんて考えても思いつくのはいつも…

「モミジー?!あんたまだ寝てんのー?!早く起きなさーい!!」

母だ。全くいつも余計なことをする。

「あんた昨日始業式やったんだから早く準備しなって!母さんヤだよ!息子のあだ名が『遅刻ヤロウ』になるなんて」

ガバッ

「あ…」

そうだ、そうだったわ、今日普通に学校あるわ。

「今何時…ハア?!やべぇ!遅刻する!」


大慌てで部屋を出る。袖を通した制服は着慣れていないからかはたまた寝起きすぐに着たからか、かなり着崩れてしまっている。

「あ、やっと起きた、パン置いてるから走りながら食べな」

「ありがと、じゃ行ってくる!あと母さんごめん!」

「はい、いってらっしゃー…なんで?」



「…でさー、マジやばくね?!」

「何を言ってるんだか」

「いやそこはさちょっとは笑ってくれてもいいんじゃないか?!」

少し小気味のいい足音が聴かれてくる。その音の主が絶賛「廊下を走るなー!!!!」という怒号も連れてきていさえしなければ『少し』じゃなくて『かなり』まで格は上がっただろうに、なんて考えてるうちにその足音はどんどんと近づいてきて−−−

「ギリギリ…セーフ!!あ、ちょミスった、いっでぇ!!」

不快な轟音に変わった。しっかし派手にイッたなぁ

「神河ァ!廊下を走って教室にスライディングで入るなァ!あと、二階堂!机の上に座ってんじゃねぇぞ!」

「えぇ?!俺とばっちりっすか?!」

『天気は快晴、今日もいい日になるでしょう』なんていう朝のお天気占いは二度と信用しないとここに誓おう。



「で、ずいぶんと遅かったな『遅刻未遂ヤロウ』」

「悪かったって俺のせいでとばっちりくらったのは…ジュース奢るから気ぃ直してくれよ、シュン」

「マジ?!じゃあ1番高いの頼んだ!」

こいつ…ここぞとばかりに調子に乗りやがったな

今度なんかあったら盛大にイジり倒してやる

「じゃあケガ治してあげてんだから私にも奢りなさい…よっと」

「最後叩く必要あったか?!しかも結構いてぇんだけど!」

「何よ、幼馴染かつ美少女と名高いこの『相川深雪』に治してもらって文句でもあるわけ?」

俺の勘違いか?俺の知ってる美少女は人の頭をぶっ叩いたりしないぞ

「次からお金取ろっかなー?」

「ワーアイカワサンニナオシテモラッテウレシイナーマジアリガトー」

「次はグーでいってあげようか」

「まあまあ相川さん、神河くんもこう言ってるし…」

「本間ちゃん、だめなのこの男はちょっと痛い目みないと学習しないのよ」

「さっきだいぶ痛そうな目にはあってたよ?!」

本間さんは優しいね。絶対にこの2人みたいに「奢れ」とか言うようにはならないでね、ほんとにお財布がスッカラカンになるから

「目覚ましはちゃんとかけてたのか?お前のことだからかけてて寝てたんだろうが」

「スゴイじゃんトーマ、大正解」

「かけてて寝坊したの?!ヤバすぎっしょ!」

んで、今の2人が『切頭透馬』と『綾小路凛』

トーマ、ミユキとは中学のときからの仲だけど綾小路さんと本間さん、シュンとはつい昨日顔合わせたとこだ。まあ仲良くなったのはコミュ強の2人のお陰様様だけど

「それで、みんなはもうどの部に入るのか決めた?体験入部考えといてって先生言ってたけど」

「俺とトーマは異能部に入るつもりだけど、みんなは?」

「うちは特に入るつもりはないかなぁ、やりたいことあるし」

「俺も今んとこ決まってないなーいいとこあったら教えてー」

意外と入らない多そうだな、本間さんとミユキはなんか濁されたけど多分入らないってことだろうな



『異能部体験入部歓迎中!!!!』

校庭の一角、というか割と結構な広さのとこにやけにガタいのいい男だったり、気の強そうな女がいたり、氷やら炎やらが飛び交う“いかにも”な場所にソレはあった。しれっと注釈のところに『シんじゃわないように気をつけるから安心してね♡』って書いてるのは流石にスルーは仕切れないけど…

「失礼しまーす」

看板に気を取られてる俺を他所目にトーマは何食わぬ顔でそこに入ってく。待てよ、こっちは中学の時は全然剣道部だったんだぞ中学から異能やってたお前とは訳が違うんだっての。かわいいかわいい君のオトモダチはすこーし驚いてるんだぜ

「し、失礼しまーす…」

少し遅れて俺も中に入る。

改めて入って見てみると本当にここが学校かどうかを疑ってしまって少し息を呑む。

もしかして俺今年中には死ぬんじゃね?父さん母さん先に行く我が子をどうかお許しください

とか言ってたら奥からガタイのいい男がこっちにくる。結構怖い顔をしてるし「俺らなんかやったか?!」とトーマと顔を合わせる。がその男からたったの一言だけ

「ようこそ異能部へ」

ああ、わかったぞ。この人ここの部長だな?めちゃくちゃ筋肉ムキムキで“異能”部なのに全部ゴリラ戦法でなんとかしそうだけど確かにそれも戦術だし割とありがちなパターンだろ。うん。

…?どうしたトーマ?そんな怖い顔して?紅葉くんちょっとびっくりしちゃうよ?

ため息混じりにトーマの口が動き出して、

「…俺はお前のそのよく動く口にびっくりだよ」

「悪かったな…ありがちなパターンのゴリラじゃなくって…」

どうやら盛大にやらかしたらしい



「アッハッハッハッ!!!…!!ッハ!!ッ!」

「部長、あんま笑わんでくださいよ…」

「モスキュールくん、それはちょっと難しアッハッハッ!!」

この超笑ってる人がどうやらこの部の部長らしい。モスキュールさん−あとでちゃんと謝っとかないといけない人−と比べると細身で威圧感が感じられない。これで部長をやっているのだから相当強いんだろうな。にしても笑いすぎでしょそろそろ酸欠で倒れますよ。

「あー笑った笑った、で?君がうちのモスキュールに“挨拶”してくれたのは」

前言撤回、急に怖いじゃんこの人

あとトーマさん見てないでちょっとくらい助け舟出してください。しれっと練習混じったりしないで助けてください。

「その節は大変申し訳ありませんでしたぁ!」

もうめっちゃいい勢いで腰おったぞ。ぺんぺん草よろしくお淑やかに丁寧におったぞ。これでダメなら潔く腹を「顔あげていいよ」あっ、ハイ。

「別に気にしてはいないよ。むしろそのくらい根性ある方が鍛え甲斐があるしね。歓迎するよ、異能部へ」


こうして“何事もなく”俺は異能部へ入ったのだった


初めて小説を書いたので超絶不安ですが暖かい目で見といて下さいね。

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