<64> 天気 2
<40> でタイトルにした天気の別話である。
人生は天気の変化によく似ている。曇るときもあれば晴れるときもある…とかなんとか、実しやかによく言われる常套句だが、よく的を得ているように思える。晴れるときもあれば降るときもある・・でもいいようにも思えます。^^
とある夏のとある暑い日である。雲岡は絨毯の上に寝そべりながらテレビを観ていた。クーラーを全開にし、外の暑さを防いでいるのだが、外はすでに41℃の最高気温を更新する記録的な猛暑になっていた。クーラーを全開にした室内でも25℃はあると思われ、雲岡はパタパタと団扇を煽った。まあ、汗が流れるほどでもなかったから、その点だけは助かるように思えたが、次の瞬間、クーラーが突然、停止した。雲岡は、おやっ? と半身を起こした。室内を見回すと、観ていたテレビも消えていた。俄かの停電である。どうも、近くの夕立ち[正確には昼立ち^^]による停電だった。室内魔気温はたちまち、30℃へ跳ね上がった。
「ちきしょ~~ぅ!」
雲岡は無性に腹立たしくなった。そして雲岡は、ふと、思った。この天気は人生に似ている…と。雲岡が勤める会社は順調に業績を伸ばし躍進していた。このままでいけば、業界トップに躍り出ることも夢ではないように思えた。ところが、である。販売品に欠陥が見つかり、俄かに業績は下落したのである。売れないストック商品の山を抱えて会社は低迷、人件費の大幅削減をよぎなくされ、そのお鉢が雲岡にも回り、自宅待機を会社から宣告されたのだった。生活出来る最低賃金は支給されたが、以前の五分の一ほどに減額されていた。なんとか暮らしが確保できる最低額だった。あれほどレジャーで楽しんだ日々が夢のように雲岡には思えた。茹だる室内になろうとしたとき、また突然、クーラーの電源ランプが灯った。雲岡はリモコンを手にし、ふたたび冷房を室内温度20℃に設定すると風量を全開にした。しばらく時が経ち、吹き出ていた汗はいつの間にか消えていた。雲岡は、また人生を思った。人生は、この天気のようなもんだ…と。そのとき夕立ち[正確には昼立ち^^]が激しく降り出した。
緩慢の差こそあれ、確かに人生は天気のように変化しますよね。快適な天気が続くのが一番いいのですが…。^^
完




