<38> ぺース
人生には人それぞれに歩むぺースというものがある。ゆったりと歩むぺースからマラソン・ランナーのようにハァ~ハァ~と息を切らせながら走るぺースまで、それぞれだ。そのぺースはその人独自のもので自由である。私なんかは走るのが苦手だから歩くタイプだろう。ただ、競歩のようには汗を掻いて疲れるから速度は上げません。^^
とある会社である。手羽崎は今日ものんびりとマイぺースで仕事に精を出していた。
「手羽崎さん、課長がお呼びです…」
同じ課の女子社員、戸坂が手羽崎のデスクに近づいて言った。
「ああ、そう。どうも…」
課長席では課長の丹羽取がご機嫌斜めな顔で待っていた。
「アレ、まだ出来てないのかね、手羽崎君っ! 皆、案はもうとっくに出してるんだがねっ!」
「すみません…。もう少しで完璧なのが出せるんですが…」
「もう少しって、もう待てないよ…。出ている中から選ぶからねっ!」
「はあ…」
ひと月後、手羽崎以外の課員が出した案は、ことごとく失敗したのである。仕方なく丹羽取は手羽崎が出した案を採用した。すると、その案が功を奏し、会社の業績は回復したのだった。
このように、人生はぺースが早いからといって、必ず成功するものとは限らないのです。^^
完




