天乃、子供を語る。
「ん?アンケート??何の?」
天乃は、質問を質問で返していた。
「また、ボーッとしてたの?ちゃんと言ったよ…。」
神木は、慣れた様子でー
「雑誌の特集があってね。子供についてのアンケート集めてるの。だから協力して欲しいなぁって。」
と、子供をあやす様に優しく諭した。
「あたしは、子持ちじゃないぞ??」
「いや。だから…。」
神木は深呼吸しー
「幼い人に対するイメージを知りたいの。」
と続ける。
「あ。なるほろ。」
天乃は、ベッドの上に正座をしてー
「どうぞ。」
と言葉を紡いだ。
「それじゃあ。いくよ。」
「はいな。」
「子供と、聞くとどんなイメージがありますか?」
「二酸化ケイ素の結晶。」
「ん?」
「あ。無色透明のね。」
「う、うん。」
「要するに、透き通った水晶。」
「うん。分かった…。」
「んあ?何だ?その雰囲気は??」
天乃は、神木の瞳を見つめている。
「いや。何で水晶になるのかなぁって…。」
神木は、更に言葉を置いていく。
「昨日、アンケートした新鋭の事業家の人に聞いた答えと余りにも違ったから、面食らっちゃって…。」
「事業家?何の??」
「詳しくはいえないけどね。守秘義務があるから。まぁ。その人の子供に対するイメージは、無知。気紛れ。我が儘。他人任せ。とかだったから…。」
「無知?気紛れ?我が儘?他人任せ?」
天乃はそういうと、アニメでしか見たことのない、眩暈を起こした時の様なリアクションをしー
「おぅ。NO…。」
と言った。
「どうしたの?」
神木はリアクションには、突っ込む事はしなかった。突っ込んだところで更に拍車が掛かるのは目に見えている。こういう時は無視をするに限る、それが天乃と長年、一緒にいて解っている事だった。
「そいつは子供に対して、そんなイメージがあると言ったのか?」
「うん。」
「その人。女性?男性?」
「女性…。」
神木は話がずれてると思っているのだれど、諦める事にした。
むしろ、天乃が何を言い出すのか、興味が湧いてきていたからだ。
「なんてこったい…。マジか…。ひくわぁ…。」
天乃は分かりやすく項垂れー
「子供は純粋なんだぞ。それは曇りのない水晶の様に…。」
と続ける。
「だから水晶になるのか…。」
「水晶は、純粋、無垢を象徴していて、心と魂を浄化してくれるのだよ。まぁ。人が本来持っている力を妨げている要因を取り去ってくれる能力があると云われている。忘れてしまった大切な何かを気付かせてくれるのだ。ちなみにだ。水晶には、直観力、洞察力、【創造力】を高める力がある。まさに、子供の様じゃあないか。見ているだけでも幸せな気持ちになれるぞ。」
とー
天乃は、両の手を天に翳してドヤ顔している。
想像の斜め上の解答を聞いた神木は少し吹き出してしまう。
「まぁ。真面目に言うとな…。」
天乃は少し切ない表情になりー
ー無知ではなく無垢であり。
ー気紛れ、我が儘ではなく心が純粋であるが故の言動。
ー他人任せではなく、心から信頼している証を提示している。
そう思えなかったのかね?その女性は…。お気の毒…。
と言葉を綺麗に置いていった。




