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双子の視る夢、1つになりて
双子で産まれてくる筈だったらしい。
だからか…。
私の内から声が響く事がある。
「お兄ちゃん。大好き。」
勿論、記憶は無いのだからー
この声が妹として産まれる予定だった兄妹だったのかは分かりはしない。
神様がいるとしたのならー
貴方に罰を与えてあげたい。
神様がいたとしたのならー
貴方の罪を知らしめてみたい。
この身体の内側にある。
制御できない程の破壊衝動。
もうそろそろ、抑えが効かなくなるかも知れない。
「お兄ちゃん。お願い。」
私よりも産まれてくるのに相応しかった妹。
自分の生命で私の生命を救ってくれた妹。
「お兄ちゃん。もう人を殺さないでね…。」
私の内から声が響く。
それはー
私の声だ。




