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自律神経失調症の話  作者: いとい・ひだまり


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体験談

《かんたん症状紹介》

 過呼吸(ほぼ毎日)

 パニック(過呼吸になった初めの辺りと、偶に)

 眩暈(一定期間。一度だけ)

 嘔吐(数日間。数回)

 口腔内の乾燥(ほぼ日常的に)


 いといが経験したのは、この辺りです。




 2022年の6月、いといは自律神経失調症になりました。

 起きていると過呼吸やら眩暈やら嘔吐やらが酷くて、数ヶ月間は眠っている間だけが幸せでした。眩暈は1度だけ、1週間ほど。嘔吐は数回に分けて数日。過呼吸は殆ど毎日でした。

 パニック発作のようなものも引き起こしていたので半年から1年程は本当にどこにも行けず、その後も恐怖から外食が出来ませんでした。他にも、冷暖房で口腔内が乾いてしまい水を飲むのですがイマイチ潤った感じがしない、など……。


 いといの家系では、両親、そして母方の祖父が自律神経失調症になったことがあり、父は病院で薬を貰っていたもののそれを抜くのに大分苦労したそうです。そのこともあり元々病院嫌いなのもあり、いといは一度も病院に行っていません。

 祖父はあまり遠出したがらない人でしたが、自分が自律神経失調症になってその理由がほんのりと分かった気がしました。祖父がどういった理由で遠出しなかったのかは聞いた訳ではないので分かりませんが。いといは過呼吸などになった時、逃げられる(安心して落ち着ける)場所がないことが不安でした。そもそも過呼吸になって苦しくなるんじゃないかということ自体にも不安を感じていました。それで外食が出来なかったんですね。

 因みに家族に自律神経失調症になった人がいた、というのは自分がなるまで知りませんでした。意外と話さないものですね。祖父も、いといの母がなって初めて話したそうで、それまで家族の誰も知らなかったとか。時代が時代だったので、病院で薬を貰いつつ何とかやっていたようです。


 さて、いといの話に戻ります。

 いといが自律神経失調症になったのは恐らく、昼夜逆転と過呼吸パニックになったことが原因です。

 自律神経失調症になる半年か1年程前から、車のシートベルトの締め付けがやけに気になっていたんです。それから、明け方に寝て正午〜午後に起きるというのが(どれくらい続いたか覚えてないんですが、1ヶ月くらい?)続いていました。

 健康面で特に問題はないように思えていましたが、振り返ってみると体調が万全ではありませんでした。そもそもその数年前から、食後に歩き回ると胃が気持ち悪くなったり、朝起きた時に背中の気持ち悪さ(壁に打ち付けられた直後の内臓の気持ち悪さのよう。鈍痛)があったりもしていました。その頃は割と健康的な生活(22:00〜0:00に就寝、6:00〜9:00に起床)をしていたつもりですが、既に自律神経の調子がおかしかったりストレスがあったりしていたのかもしれません。場面緘黙症(家など安心出来る場所では喋れるが、特定の場所では緊張や不安から上手く喋れなかったり声が出なかったりする)ですし、乳糖不耐症なので元々胃も弱かったりするのかもしれません。


 そんなこんなで2022年5月のある日、その日は着物を着てたんですが、少し苦しいような気がしつつもそのままでいたんですね。

 初めは「大丈夫でしょう」と思っていたのですが、段々「大丈夫じゃないかもしれない」という気持ちが増していき……10分経たない内に気付けば爪は紫色になっているし、体の末端は冬かと思うくらい冷えているのに体の内側は熱くて変な汗は出るしで、気付いたら過呼吸になっていました。

 はたから見たら大したことのないように見えたかもしれませんが、いといは「このまま死んでしまうのか」という恐怖と、初めて過呼吸になった為に対処方法が分からずで半分パニックでした。家族に手を握ってもらいたい気分でしたが、実際には恥ずかしくて出来なかったのでした……。



 色々と症状が出てきたのはその1、2週間後。6月の上旬のことでした。

 嘔吐が酷くて、胃液ではなく胆汁まで戻して血が混ざったりもしてました。流石に血が混ざった時は病院行った方がいいかと思ったんですが、喉が切れたというか、そういう感じで家族も「大丈夫だろう」と言うので行かず。

 『唾液が口内にあふれてきたら吐く』というのが決まっちゃうくらい吐いていました。夜中や朝に目が覚めて我慢出来ずにゲボゲボもしてました。

 数日して吐き気が治まり、結局病院には行かずでしたが特に体に異常はありませんでした。



 時期が夏だったのですが、それで困ることもありました。

 頭だけが熱く(東洋医学でいう気(目には見えないエネルギーのようなもの。全身を巡っている)が上っている状態でした。因みに『病は気から』の気は『気持ち』ではなくこの『気』らしいです)かといって汗も出ないので熱が逃げずで最悪の状態になっていました。いつも半分のぼせているような状態で、クーラーの部屋から出たくありませんでした。しかし足先は冷たくて、どうしようもないのでタオルケットを巻いていた気がします。(翌年はこの年のことがあり怯えていたのですが、大丈夫でした)

 喉が渇いて尿が少ない、みたいなこともありました。

 漢方薬も飲みましたが、「美味しい」と思ったものが効いた覚えがあります。体は分かってくれているのかもしれません。シナモン(漢方薬では桂枝ケイシと書いてあります)が入っているやつでした。シナモンは副交感神経(落ち着ける方)を優位にする働きがあるようなので、そういう理由かもしれません。


 度々過呼吸が訪れては、ベッドに横になりリラックス音楽を聴いて心を何とか落ち着けようとしたり、お灸をしたりする日々でした。過呼吸で手先が痺れることは多少ありましたが、あまり足が痺れるということは自分はなかったです。


 元々偏食でたんぱく質が足りていなかったり、運動が足りていなかったり、という状態のいとい。まずは体を元気にする為にプロテインを飲み、ビタミンCやナイアシンも摂取しました。しかしプロテインは、たんぱく質が足りなさすぎて消化できる胃を持っていなかったので、胃もたれや嘔吐があった時は飲みませんでした。

 それから毎日少しだけ9分足パカなどやってみたり……。

 その時は効果はいまいち感じられませんでしたが、思い返してみると運動も栄養も大事でした。少しだけでも歩けば、もちろん寝たきりよりは良いですからね。寝たままできる足の運動動画、本当にありがたかったです。今も面倒な時はそうやって運動してます。


 さて、嘔吐の日々から解放されたと思ったら次に待っていたのは、めまいでした。

 その頃立ちくらみも酷かったですが、めまいはとにかく気持ちが悪かったです。ふわっと体が安定しない感覚があり、運動の為に家の近くを歩いている時なんかは道の横に落ちないか心配しました。

 何より嫌だったのは、回転式のものと、落下感覚のあるもの。部屋が勝手に回っているような感覚を覚え気分が悪くなったり、寝転がり目を閉じるとそのままヒュンッと落ちていく感覚がして安心出来ませんでした。

 時が解決してくれるのを待つしかありませんでしたが、確か落下性は二日程、回転性は四日程、ふらつくめまいは一週間程で終わってくれたので、ありがたかったです。


 他にも背中が異様に痛み、壁に打ち付けられた直後の内臓の気持ち悪さのようなものを覚えることがありました。鈍痛というんでしょうか。

 そんな時はひたすらストレッチポールで背中の筋肉を伸ばそうと頑張りました。効果があったのかなかったのかは……曖昧ですが。


 その後も何度も吐きました。

 発症から半年程経った冬の日、家のお風呂が使えなくなり仕方なく温泉に行った時があったのですが、お尻のお肉がなくなっていて骨で椅子の硬さを感じてしまい驚愕しました。元々痩せ体型なのですが、恐らくあの時が人生で一番痩せていました。


 割と常に呼吸が苦しい日々で、起きた瞬間から動悸がして息苦しかったので、寝ている間だけが本当に幸せでしたね。

 そんな日々が続いていて、いといは「いつか苦しくなくなる日は来るんだろうか。また駆け回れる日は来るんだろうか」とずっと思っていました。自律神経失調症になって初めて、当たり前に生活したり走れていたりしたことをありがたく思いました。朝起きて何もなく生活を始められることが、とてもありがたくて羨ましいと思ったのです。


 昔、尾てい骨にヒビが入ったか折れたかした時がありましたが(一ヶ月程して病院に行ったので真相が分からず……)その時も同じように『当たり前』のありがたさを知りました。

 くしゃみ一つで痛みが走り、痛みのせいで数センチ単位でしかゆっくり歩けなくなった日もありました。寝返りを打つことも出来なくて、どうしても寝返りを打ちたい時、寝転がりたい時はうめき声を出しながらでした。

 「尾てい骨って、こんなにも体を支えていたのか」と、その時初めて知りました。痛みが酷かった時期はずっと湿布と一緒でしたね。貼っていると少しマシになりました。


 話は自律神経失調症の方に戻りますが、病気というのは当たり前がどんなに尊いかを教えてくれる為にあるのかもしれません。

 その後は、体調がすごく悪くなるということは減っていき、ゆっくりと(始まりから半年程)ではありますが友達だった寝床から離れ、歩いたり運動したり出来るようになりました。

 幸い今は朝起きて調子が悪いということも減りまして、結構普通に生活出来ています。過呼吸になることも随分と減りました。ただ一時間を超えるエアコンの風は口内や鼻腔の乾燥を起こし、水を飲んでいても痛くなります。のでエアコン部屋のぎりぎり外辺りにいたり、一時間以上の車移動は控えたりしています。いつも移動の時には水筒を持っているのですが、水を飲んでいても乾燥しちゃうんですよね。恐らく唾液が正常に分泌されていないからですね。

 遠出が出来ず困ることはありますが、今はそういう時期なのでしょう。

 日によって過呼吸が酷い時もありますが、そんな時は「ありがたさを学ばせてもらっている」と思っています。

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