それは予想外
凍ったゴーレムが居る穴へ、俺は大量の爆破物を投げ入れていった。
「よし、次に土魔法で蓋をして……」
「了解。私に任せて」
ズモモと音を立てながら地面の形が変わって行き、落とし穴があった場所は軽く土が盛られたような形に姿を変えた。
「そしたら後はこの導火線に着火して……」
今回使う爆発物は、以前から作りだめをしていた物をすべて使用。
一つ一つの威力自体は弱いのだけど、同時に大量爆発させつつ密閉した空間であればそこそこの威力になるのでは? と考えたんだよね。
そしてその考えは……ある程度は間違っていなかったみたい。
何時もよりも大きな爆発音と共に、軽く蓋をした部分がボコっと波を打ったように見えた。そして、その蓋には無数の罅が。どうやら内側から結構な威力を受けたのだと思われる。
とは言え、それは蓋の部分だからね。中で氷漬けになっているゴーレムがどうなっているかが問題。
なので、次はその魔法で作った蓋を排除して穴の中をチェック。
「あー……結構ダメージは入ったようね」
「倒しきれては居ないみたいだね……となると、後は手作業かな?」
「……石斧」
「凍らせ過ぎたのかもな。とりあえずエリカ、身体強化よろ」
「はいはーい。それじゃ皆行くよ。〝フィジカルブースト〟」
先ずは落とし穴を秋山さんが隆起させ、俺達と同じ高さへと凍ったゴーレムを移動。
そこからゴーレムを囲むようなポジションを取り、皆で一斉に石斧で氷を殴って行く。
「かったーい……」
「氷を叩いているのだから当然よ……手首を痛めない様にしっかりと両手で斧を使うのよ?」
「……ネズミ」
「ちぅ!」
「……無理じゃない。やってみないと」
「ちぃちぅぅ!!」
冬川さんと精霊のネズミが何やらコントをしている。
これはあれかな? ネズミに齧れとか叩けと言っているのかもしれない。で、ネズミは無理だ! と拒絶しているんだろうなぁ。……サイズ的にネズミにはこの氷をどうにかする術なんて無いと思うけどね。
ただ、冬川さんもしっかりと氷を叩いてはいる。なので特に手を動かせ! なんていう必要な無いかな。
因みにゴーレムの氷だけど、氷には大量の亀裂が入っている。中には凍った石ごと抉れている場所もあり、爆発自体はかなりの威力になった事が確認出来た。
「しかし不思議な感じね。こう、亀裂が入っている場所なのだけど、これどうみても石と石の隙間部分よね」
「だよね。叩いて砕いたら石同士が離れちゃう」
「何でも良いじゃん? 楽なのが一番だよ」
女子達が話している様に、氷に入った亀裂は全てがゴーレムの体を形成している石と石の隙間にある。
ガン! と叩けば、ボロっと石が転がり落ちる。
その落ちた石は凍っている為なのか、それともゴーレムの体から離れた為か、うんともすんとも言わず動く気配もまるでない。
「正直、通知が来ると分かっていなかったら、討伐出来たって思っていたかもなぁ」
「確かにそうかも。どうみてももう動かないように見えるもんね」
「そうなると、ゴーレムの体が粒子化するのを待っていたでしょうね。そして待っている間に氷が解けてゴーレム戦が再開なんて事になっていたわね」
「……面倒」
教訓。ゴーレムと出会ったらしっかりとコアまで叩いておきましょう。と、そう言う事だね。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
かなり時間を掛けて俺達は氷漬けのゴーレムをバラバラにした。そして、今俺達の目の前には……。
「これがゴーレムのコアかぁ」
「丸い宝石って感じだね」
「まさかコアは凍っていないなんてね……周囲はしっかりと凍っていたのに」
「……とりあえず叩く」
皆がゴーレムのコアをみて感想を口にしていると、冬川さんがサモンブックを取り出し殴り始めた。それはもう唐突に、ポコポコと。
ゴーレムのコアは殴られる度に、微妙に点灯している様に見える……あれ? 物理攻撃でダメージが入っているって事なのかな。
良く分からないので念の為にゴーレムのコアに対して鑑定をしてみた。
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ゴーレムのコア
特徴:丸い
ゴーレムの脳であり心臓部分だよ!
この状態になったゴーレムは攻撃手段を一切持たないし、守りも全て皆無となっている為、どんなダメージでも通るよ! やったね(^_-)-☆
ただ、コアを地面や石に付けちゃダメ。ゴーレムの体が復活するから! メッだぞ♪
因みに、この点滅は「痛いよー!」って言っているだけだから、気にしないで攻撃しちゃってね。
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しぃぃぃすぅぅぅぅてぇぇぇむぅぅぅ!?
まず、特徴の丸いってなんだ! 丸いのはみれば判るよ!! 後「メッ♪」はお姉さんキャラがやるから盛り上がる訳で、システムみたいなのがやってもだれも得しないよ!!
そして最後の一行!! こんなの書かれて「はいそうですか。それじゃぁ攻撃します」なんて言えないって!
くそう……この鑑定結果は女子へと伝えないようにしよう。どの道倒さなくてはいけない存在だから討伐はするんだけど、こんな事を教えられた女子達は果たして攻撃が出来るのだろうか? って話になるよね。
正直、角ウサギを攻撃出来ていない事を考えると難しいんじゃないかなぁ。って思う。なのでこの一文は見なかったこととする! うん、その方が絶対に良い。
なんて思っていたら、ゴーレムのコアが猛烈に発光した後……どういう訳か俺の方へと飛び込んできた。
条件反射で飛び込んできたゴーレムのコアをガシッとキャッチする。すると……。
「あれ? スマホから通知音が……」
全員のスマホからレベルアップやらお知らせやらの通知音が鳴り響いた……あれ? ゴーレムのコアは此処に有るんだけど……どういう事?
とりあえずゴーレムのコアを地面などに触れない様にしつつ、スマホを取り出してチェックしてみる。
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新しいエリアが解放されました。
フィールドボスを倒したことにより、今まで進む事が出来なかった場所が解放されました。(討伐したパーティーのみ)
新しいエリアでは新素材や敵が増えています。勿論それらは今までよりも強力なので、しっかりと準備を行ってから進んでください。
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最初に見えた文章がそれだった。
あれ? フィールドボス討伐についてとかじゃないのか……と思ったけど、よくよく考えたら蜘蛛を討伐した時も特に何かが有った訳じゃ無かったな。
となるとこの新しいエリアと言うのは、蜘蛛の討伐後に進める様になった場所とは全く違う何かって事なのかな。
他の情報はと言うと……。
「あー……俺のレベルは一つしか上がらなかったのか」
「思った以上にゴーレムのレベルって低かったのかな? 結構強かったんだけどなぁ」
「私達は2レベル上がったって感じみたいね。とりあえず、これで全員が20レベルになったわね」
どうやら女子は皆が2レベルずつ上がったようだ。
確か一番低いのが春野さんと冬川さんで18レベルだったんだよね。なるほど……確かに20に皆なった事になるね。
しかし、蜘蛛の時を考えると取得経験値が低い気がする。なんでだろう? って……。
「あー……そうか。今回は全員でパーティーを組んで平等に経験値を分配しているから、その分一人一人の取得経験値は少なくなるか」
「そう言えばそうだったわね……ゴーレムのレベルが高くても単体だったのよね。そう考えると私達が2レベル上がったのは大きかったと考えるべきね」
それに、蜘蛛の時と違って今回はジャイアントキリングの称号が貰えていない。
と言う事は、ゴーレムと俺達の間にあるレベル差は9以内だったと言う事になるかな。そりゃ、蜘蛛の時と比べてレベルの上りも低くなるね。
「それにしても、確認する事がまだまだあるなぁ……どうしようか? 取れるモノだけ取って一旦帰ってからチェックする?」
「そうね……この場が安全とは言い切れないし、一度戻って安全な状態でのチェックが良いかもしれないわ」
「あ、でも取るモノって何を取るの?」
「あそこに赤い物が見えない? あれ、たぶん鉄だと思うんだ。だから少し回収しておきたいなって」
「鉄! それは是非とも回収しておくべきね……あぁ、文明の光がみえるわ……赤い色だけど」
錆びた鉄だろうからね。普通に考えたら微妙な代物なんだけど……と、コレは発見した時にも思ったっけ。
それにしても、このコアどうしよう? てか、なんで飛び込んで来たんだろう。今の所大人しいけどこの後どうなるか分からないし。
とりあえず、拠点に戻ったら色々と判明するまで隔離しておくしかないかな。素材の入っていないアイテムボックスにでも入れておくのが良いかもしれないね。
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何かゴーレムのコアを回収してしまった主人公(*'ω'*)
一体どんな使い道があるのだろうかなんて景は思っているけど、普通に考えたら答えは単純ですよねぇ。




