集まれー! 集合時間の10時だよ!!
作った鉄を使い、裁断機とナイフを作った。
裁断機を作ったら少し鉄が余ったからね。とりあえず実験って事でナイフも作った訳だけど……これどうなの? ってレベルの品になってしまった。
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裁断機(低品質)
特徴:劣化
物を押しつぶしながら断つ道具だよ。
そう……体重こそパワー! 全ての重さを利用して相手を粉砕するのです!!
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うん。言っている事に間違いは無いけど、これ女の子に説明したらあかんやつだ。絶対セクハラだ! って言われかねない内容だよね。特に体重の事だし。
あの4人なら大丈夫な気もするけど……地雷の可能性もあるからな。ここは口を閉ざすのが正解のはず。
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ナイフ(低品質)
特徴:劣化
( ̄m ̄〃)ぷぷっ! これがナイフ? そんな訳ないでしょう?(゜∀゜)
だってどう見ても刃は立ってないし。てか、これただの鉄の棒じゃない! ナイフの形をしただけの! 刃物として考えるなら石のナイフの方がどう考えてもマシ! あ、でも鈍器として考えるならこっちも有りかも?
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辛辣! ただ、システムの言う通りでこのナイフは切る事も突く事も出来なさそう。
ナイフの刃となる部分を軽く肌に当ててみる。……全く切れる様子なんて無い。なんなら触れた場所がツルツルとしていて心地良いまである。
スリスリとナイフを動かしてみる。見た目だけなら自殺でも試みている様に見える構図でとても危険なんだけどね。
どうやらこの刃の部分。微妙に丸くなっているのか全く肌を傷付ける要素が無い。指で確認すると分かりやすいんだけどね。うん、これはシステムが辛辣になっても仕方ないわってレベル。これはナイフでは無い。
「飾りか鈍器として使うしか用途がないなぁ……これ、研ぐとか無理が有りそうだし」
何時間研磨したらナイフとして使えるようになるのだろうか? なんてレベルだからね。そんな時間があるなら別の事をしたいよ。
てか、何でこんな鈍が出来上がってしまったんだろう? 見た目だけはしっかりとしたナイフだっていうのに。
うーん……と頭を抱えてしまう。これもレベルが足らないって事なのだろうか? でもそれなら鑑定結果にレベルが足らないって出ると思うんだけど。
そんな事を考えながらナイフ(笑)で遊んでみる。
投げてはキャッチを繰り返してみたり、軽く部屋の壁に向かって投げてみたり。気分はサーカスのナイフ投げ。……一本だけだけど。
ただ、ナイフキャッチは刃が立ってないから全く怖くも無いし、投げたナイフは壁に当たると、コーン! と軽快な音を鳴らしてから、地面へポトリと落ちる。どうやら壁すら傷をつける事が出来ないらしい。
「本気で投げていないとはいえ、本当にナイフとしては使えないんだ」
突き刺さるなり、壁に軽く切れ目を入れるなりがあっても良いだろうに。ナイフ(笑)の成果は軽快な音を鳴らしただけ。本当にこれ、パーティーグッズみたいなモノでしかないかなぁ。
うーん……これはもしかして、包丁とかを作るのも無理があるのかな。この状態で作ったとしても、長時間研磨しろって事になるよね。それは流石にどうなんだろう。
「……錬金のレベルを上げて改善されたら良いけど、もしされなかったらどうしよう」
鉄製品が全滅まである。とは言え、やってみない事には検証も出来ない。だからとりあえず、スキルレベルを上げる事を先ずは優先するべきかな。
あぁでも、もう一つ可能性があったっけ。
スキルってワードで思い出したけど、よくよく考えたらこの手のモノを扱うのって鍛冶師だよね。って事は、鍛冶師のジョブか鍛冶スキルが必要になるんじゃないかなぁ。
もしそうなると、錬金術では刃物は扱えないなんて事まである。インゴットは作れるけども、その先の領分が違う……あぁ、コレは大変だぞ。
「あ! でも、鈍器専門ってならありかも」
どんな刃物を作っても鈍になるのなら、もうそういう形の鈍器として考えるのも有りな気がする。うん、刃物の形をした鈍器でタコ殴り。相手を騙すにも良さそうだよね。
鏃も貫通属性じゃなくて衝撃属性のモノになるかも。使う相手次第ではそっちの方が良いのもいるかもしれないし、一定数用意するのは有りかもしれない。
さて、とりあえず作るモノは作ったし、そしたら次の予定の為に準備を開始するとしますか。
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準備を終わらせたら、中央の広場で集合。今回もまた、全員揃って行動になるんだよね。
と言うのも、新天地を行くからと「どうせなら皆で探索しよう」なんて話になったんだ。もちろんそれには効率という理由もある。
もし探索中にジョブ昇進方法を発見したら? 当然だけど皆で一緒に行動していた方がスムーズに進むし、新モンスターの鑑定情報を何度も説明する必要が無い。などなど、色々な事が一度で終わらせる事が出来るからね。
そんな訳で、全員での行動という事になったんだけど……あれ? 女性陣の皆さん忘れてますかね。
何故だろうか。彼女達は誰一人として集合場所へと姿を見せないんだけど……俺、時間を間違えた? うんまぁ、時間が勿体ないから持ち物チェックを今一度やっておくとしよう。
持っていく物は結構多い。なので、アイテムチェストに色々とモノを積んで背負って行く事になる。
新しい場所だからね。一体何があるか分からない。もしかしたら道に迷って戻れなくなったりするかもしれない。そう言った事を考えると、必然的に荷物は多くなって行く。
「えっと、食料と水はオッケー。テントや着替えも準備したし……回復薬関連も充実しているかな」
攻撃用の道具もしっかりと準備をしてある。これなら荷物に関しては問題無いだろう。
そう持ち物チェックを終わらせた頃、女子達が広間へとやって来た。
「あれ? 望月君早すぎ。まだ十五分前だよ」
「……楽しみだった?」
「あ! 興奮して時間を間違えちゃったパターンだ」
……あれ? どうやら俺が時間を間違えていたらしい。んー……でも、錬金術をやって準備をしてだから、時間は正確だと思うんだけど。
「集合時間って9時だよね?」
「え……10時だよ? ほら、リンクでやった通達にも10時って書いてあるよ」
あ、あれ? 本当だ。リンクをチェックしてみると確かに〝10時集合〟って書いてある。
「もしかして錬金術のやりすぎで思考が……」
「七海。そう言う言い方は失礼よ?」
「あー……でも夏目さんの言う通りかも。錬金術をやってたら楽しくなって思考がよく飛ぶから」
だから確認もせず〝9時だったはず!〟と思ってしまい、そういう方針で行動したのは間違ってないんだよね。
「……錬金馬鹿?」
「うぐぅ……そう言われると心に何かが刺さる気がする」
「……もっちーの残念を発見」
「ゆ、雪……それぐらいにしてあげて。望月君をオーバーキルしちゃうよ」
そうだそうだー! これ以上は心へのダメージで……ダメージで? あれ? 別に錬金馬鹿ってそこまで悪口じゃ無いような。
事実ではあるし、実際めっちゃやってる時は楽しいしね。ただ、周囲から見たら少し残念に見えるかもしれないけど、それって何か問題ある? うん無い!
あ、思ったほどダメージじゃないや、これ。
「……ダメージ?」
コテンと冬川さんが首を傾げた。うん、どう見ても今はダメージなんて入っている様に見えないよね。最初こそ何か刺さったと思ったし、そういう事も言ったけど。
「雪、馬鹿って言われて喜ぶ人なんて居ないんだからダメージが入っていてもおかしくは……ってあれ? なんか望月君平然としてる?」
「あはは……別に嬉しいと喜びはしないけどダメージじゃなかったかなぁって。ぶっちゃけ事実だしね」
事実かぁ……それなら仕方ないかなぁ。といった空気が辺り一面に流れる。
そしてなぜかドヤ顔をする冬川さん。あたかも「私の言った事は正しい」と言わんばかりだ。……ただ、何というか、獲物を確保した小動物が褒めて! と言っている様にしか見えないけど。まぁ、俺は顔を見て無いからそういった雰囲気を感じるってだけだけどね。
「とりあえず、皆準備は大丈夫?」
そう聞くと全員が「オッケー」と声を合わせて返事をして来た。
そしたら、新しい場所に新し物を求めて冒険だね!
ブックマークに評価などなど、ありがとうございます(>_<)
ただ一人、9時前からぼけーっとしている景君でした。
時間的にいうなら、6時前に起床。そこから朝の支度をして7時には朝食を開始。そして朝食を取りながら話をしていた為に大体7時半ちょい過ぎごろに朝食を終わらせた感じでしょうか。
そして8時になる前から錬金術を開始。大体30分程で錬金術を終わらせ色々と考えながら荷支度。とは言え、荷物自体はある程度お出かけセットがあるので、ちょこっと弄る程度。
で、9時少し前から広間でぽへ~としていた景君。怒涛の時間を過ごしたというのに、実は時間を間違えていたよ! なんて落ちw
さて、次から新天地って事で! これにて三章終了ですかね。1章に2章と比べてちょっと短いですが……きりが良いのでw