【STO:13】ドラゴンステーキって良くあるけどとどのつまり爬虫類の肉
コロナティアも加わり、俺達三人はカッサルの街を歩いて回る。
しかし、吸血鬼と魔王の娘という明らかな敵対種族が居るわけなんだが、タムルスといいザル過ぎやしませんか?
そんなこんなで特に何を買う訳でもなくブラブラと歩き、そのまま昼の刻へと時刻が変わる。さらにその足でどうみても肉料理を扱った店へと入る。
「・・・おい、修行はどうした?」
「修行はもう既に始まってますわ。わたくし、こんなに長く歩いたのはこの世に生を受けてから初めてですの」
「ほう、初めてこれだけ歩くのなら上出来ではないか」
「そうでしょう?そうでしょうとも!お好きなだけお食べくださいましヘラリカ様♪」
なんかめっちゃ疎外感感じる。やっぱ女子二人男子一人って辛いわ。しかもーー
「グレゴール牛ヒレのジャンボステーキでございます」
でっか!ステーキでっか!?なんだこれ!?10キロとかあるんじゃね!?
超分厚いワリには柔らかいのか、ヘラリカはナイフでスッと綺麗に肉を裂き口へと運ぶ。くっそー、うまそうだな!
一方俺は同じようにオススメを聞き、すき焼きみたいな野菜炒めを口にする。『ブロード牛モモ肉の焼きサラダ』とか言ってたか。
美味いんだけどなー、俺もステーキが良かったなぁ・・・あんなバカでかいのじゃなく。
肉料理に舌鼓を打ち、ヘラリカを除く俺とコロナティアは冷や水を飲みながらくつろぐ。
「それで、これから先どうする?」
唐突な俺の質問。ぶっちゃけ俺達三人は特にコレと言った目的が無い。
厳密には「人類制圧」「修行」とあるのだが、漠然とし過ぎてこのポンコツ二人には何を具体的にどうすればいいのかがわかっていないのだ。
「修行ですわ」
「ふへふぁいふぇいふふ」
「食べ終わったら話そうね」
「ふぁい」
「とりあえずはカッサルの周囲で魔物と戦い、それでレベルを上げていく。って感じでいいかね?」
「それで構いませんわ」
「ふぁふぁっふぁー」
「食べ終わってからね?」
「ふぁい」
この二人が居ればレベル上げは大分楽になるはずだ。何しろ後ろから気銃を撃てば良いだけだからな。ヘラリカが前衛、俺が中衛、コロナティアが後衛という完璧な布陣!
これで背後から敵が来ても大丈夫だろう。
二人に立ち位置や動きを説明するとあっさり承諾してくれた。こういう時、この二人に深く考えるという力が無いのは非常に有難い。
「それじゃあヘラリカ様の食事が終わり次第行動に移るとしますか」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カッサルの街の外も桜と思われる木々が立ち並び、桃色の花びらが風に舞っていた。なんでもコロナティアが言うにはあの桜の木は一年中咲いているらしい。そのせいか歩く道という道に花びらが落ち、銀世界ならぬ桃世界になっている。
「故にカッサルの外に現れる魔物は花に擬態していたり、桃色の保護色だったりする訳ですわ」
レモンイエローの鮮やかな日傘をくるくる回しつつ得意げに話すコロナティア。
ポンコツはポンコツでもかなりの知識人のようだ。
「私を世間知らずのお嬢様だと思っていたのであれば、人は見掛けによらないと言う事を良く覚えておきなさい?」
せやね、人は見掛けによらないよね。黙って歩いてれば美少女なんだが残念だよホント!
暫くそんなコロナティアの雑学に耳を傾けながら森の奥へと進む。カッサルは酒や蜂蜜が主な特産品なんだとか、この桜の木の正式名称は『ヒラサカノミコト』だとか、触れた魔力を吸収して成長するだとかそれはもう色々。
いや待て最後なんつった?
「やれやれ、貴方はちゃんと話を聞く努力をするべきですわよ?」
これだから庶民はみたいな態度で肩を竦めるコロナティア。内心ぶん殴りてぇけど今はそんな事してる場合じゃない。
「触れた魔力を吸収して成長するって言った?」
「ええ、魔法や術を再び魔力へと分解して吸収する素晴らしい花なのですわ」
「つまりお前の魔法役立たずじゃね?」
「・・・」
自分で言ってて気付かなかったらしい。
異世界モノの吸血鬼は肉弾戦も強い事が多いのだが、生まれて初めてあの距離を歩いたとぬかしたコロナティアの体力諸々は俺ほどじゃ無いだろうが正直期待出来ない。
ーーつまり
依頼を除外した異世界初のパーティー結成はいきなり大ピンチを迎えた。
主に俺が。
朝夜「やっぱポンコツじゃねぇか!」




