【STO:9】異世界モノって大抵旅の途中のトイレ関連省くよな
コポコポとそこかしこから音が聞こえ、周囲の毒々しさに溜息をつく。
さっさとこんな場所から脱出したいのだが、何処に向かえばいいのかわからない!わかりにくい!
足場もぬかるんだ地面のせいで自転車に乗る事も出来ない。尤も、ヘラリカが居てはそんな事は出来ない訳だか。
腕時計で時刻を確認する。
昼の刻は過ぎ、夜の刻3時頃になっている。つまりもうかれこれ6時間ほど歩いている。
ロデオさんの話を聞いてからは街の時計塔に時刻を合わせた。36時間、ようは時計の針が2周から3周になっただけなのでコレと言って弊害は無い。ちょっと眠い位。
でもここで寝たら眠るだけじゃ済まされないからね文字通り「ここに眠る」なんてなんて事になりかねないからね。
一番の問題は「このフィールドが何処まで続くのか?」と言う事だと思われがちだが、本当の一番の問題はそんなトコじゃない。
確かにこの毒々しいフィールドで途中で休めない、眠れない事は重要かもしれない。ガスとか口に布をあててるだけでは効果が無いかもしれない。
だがそんな事はどうだっていいんだ、重要な事じゃない。
ーートイレに行きたい。
先程から下腹部からお尻にかけて非常にきりきりと痛む。
俺一人ならいいさ、なりふり構わずそこでするさ。
でも今は女の子と一緒だからね。しかも美少女。
確かに「○ンコしたい」とか言えばやらせてくれるかもしれないよ?
でもその後絶対に気まずくなるから。なんかもう顔とか見れないから。
「しかし中々街に着かないな」
「そうっスね」
会話も心なしか短い返答になってしまう。
この苦しみを野に放てたらどんなに幸せな事だろう。
「ときに貴様」
「・・・なんスか?」
出来れば話したくない、話したら何か出てはイケナイモノが出ちゃいそう。
「用を足したいのだがどうすれば良いのだろうか」
お前もかいぃぃぃぃぃぃ!!
お前もトイレか!?トイレ行きたいのか!?お前も大きい方か!?
「・・・我慢するしか無いっスね」
「そうか、困ったな」
しかし俺が散々悩んでた言葉を恥ずかしがる事もなくさらりと言ったぞこの女・・・流石は幹部。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーあれから更に一時間が経過した。
どんよりと曇っていた灰色の空は真っ暗になり、周囲の景色に闇が降りる。
紫の沼が淡く発光しており、道などはよく見えるのだが、不気味さがより一層強まる。
そんな中俺の歩き方は老人のように腰が曲がり、ヘラリカは時々しきりに自分の下腹部をさする仕草が目立つ。
どっちも同じ悩みなんだからその場でしてしまえばいいんじゃね?とか徐々に考え始めた丁度その時だ。
「あれは・・・屋敷か?」
ふとヘラリカが呟いた。その視線の先にはぼんやりと象牙色の屋敷が見える。
灯し火のような明かりも見えるので、恐らく誰か住んでいる筈だ。
徐々に近付くにつれて、屋敷の全容がハッキリと見えてくる。
黒い鉄柵に囲まれた象牙色の屋敷。
その庭には石造りの十字架が立ち並び、その屋敷の不気味さをより色濃くしている。この屋敷を一言で表現するならそうーー
ーー吸血鬼の屋敷。




