野良犬に小さい頃餌をあげたっけ
クソみたいな出来事から一夜が明けた。今日の探索には女子も加わることになった。理由としてはもう教室に残ってもほとんど意味がないということと、俺達の間に奇妙な連帯感が生まれていたからだ。昨日と同じように優、陽太と探索を始める。ヒトは絶望的な状況になると頭のネジが飛ぶのだろうか、ここは一つ佐島を見舞いに行ってやろうという話になった。まあ、持ち場を全員で離れるというのは問題があるから、ジャンケンで負けた優は留守番だが。佐島のいるであろう「牢」についた。
なぜだろう、不自然に静かだ。まさか脱獄したのか?
窓にほど近い、そして壊れていない電柱によじ登り、中を覗き込む。
佐島が、消えていた。
でも、脱獄したわけではなさそうだった。骨、肉、骨、骨。佐島は物言わぬ肉塊と化していた。あまりの光景に、吐き気が湧き出てくる。慌てて電柱から降りる。井部のときは死体の損傷も小さく、何より死にたてホヤホヤで死臭も少なかった。だが、今回は違う。何より―
「佐島は何かに殺された。でも、確実に人ではない。喰われていた。」
そう、「敵」が食らっているのだ。今まさに。
低い唸り声。野犬だろうか。どうやら気づかれたようだ。
「敦志」
陽太の声だ。逃げるぞ、ということらしい。
一拍おいて俺達は全力疾走した。だが空腹ではすぐスタミナが切れ、追いつかれる。
ここまで、だろうか。
ん?「あれ」なら―俺は陽太に作戦を伝え、とある場所に向かい、とある物を探す。
「あった!」
俺が手に持っているのは井部の息の根を止めた銃だ。(ミリヲタ陽太いわくアメリカ製の小銃に酷似しているそうだ。)エイムは全くと言っていいレベルでないので、ギリギリまで引き付けて撃つ。
囮になっていた陽太が隠れたことによって自動的にヘイトは俺に向けられる。
(あと2m,1m,今!)
飛びかかってきた野犬をためらわず撃つ。
「ギャン」
短い悲鳴とともに喉笛から血を流して野犬は生を終える。まあ、最後の一撃とばかりに死体が倒れ込んできたので、転んで頭を打つ羽目になったが。
何やら向こうが騒がしい。死体を埋めてそちらへ向かうことにしよう。




