「まささん、ネギを味わう」の巻
(葉っぱに巻いた肉とネギその他を口元に突き付けられ、一瞬躊躇するまささんなのでありました)
「(心の声:ネギかッ!? よりによってネギなのかッ!? オーマイガッ! ここは正直にネギ嫌いを告白すべきかッ!?)
「まさちゃん、どーしたのです? おなかの調子でも悪いですか?」
「い……いや、そういうわけでは」
「じゃあ、パクといてください! ささ、早く!」
「はい……」
ねねさんの笑顔に対抗出来ず、ネギの嫌いなまささんは、悪魔のブツを思い切って口に入れます。
観念して咀嚼……だがその時、まさに異変は起きたのです。
「う……うまッ!」
「でしょ~。わたしの予想、滅多に外れないね!」
「う……うん! 確かにこれは美味いッ!」
驚くなかれ、まささんは苦手なネギを、なんと美味しく感じてしまったのでした。
濃厚な肉汁とタレ、そして清廉な青菜と火を入れた焼きキムチとの歯ごたえが、味付けネギの香り&食感と混ざり合い、異様な旨味を醸し出していたのです。
これにはさすがのまささんも、驚くほかにありません!
「(心の声:なんということだッ! 食べ方ひとつで、あのネギがこれほど美味いものに変わるとはッ! 目から鱗とはまさにこのことッ! おのれの視野狭窄を恥ずかしく思うほか為す術がないッ!)」
「まささん? そんな難しい顔して、いたいどーしたのですか?」
「あまりの美味しさに言葉を失ってしまいました」
「言葉を失う?」
「感動しちゃったということです」
「おゥ! それはよかたです! まさちゃん連れてきた甲斐があたね!」
「自分でも驚いてます。人間の好き嫌いって、あてにならないもんですねェ」
新たな人生の発見に、マジにじーんときてしまう、そんなまささんなのでありました。




