「まささん、二日酔いになる」の巻
(イブのデートをすっきり終えて、代行使って帰宅の途に就くまささんなのでありました)
「(ガスンッとエンスト)すいません、お客さん。何度も何度も……」
「いえ、お気になさらず。プロドライバーでもエンストするクルマですから(心の声:そりゃ、普通のドライバーは強化クラッチのMT車なんて乗らないだろうしな。少々の粗相は仕方ないところでしょ) 気持ち、煽り気味にしてクラッチ繋いでください。あ、そうそう。このクルマ、三百馬力以上あるんで急発進は厳禁です。前のクルマに突っ込みますんで」
「あ……はい。気を付けます」
そんなこんなで自宅に帰ったまささんですが、ワインの飲み過ぎからか、若干足取りが不安定です。
「(心の声:さて、明日からしばらく連休だし、今日のところは早めに寝るか)」
右手に持つのはお土産の類。ケーキの余りと食べられなかった焼き肉のセットです。
本来なら保存の関係上、さっさと平らげてしまうのが筋なんでしょうが、おなかがいっぱいで今宵は食べられそうにありません。やむを得ずまささんは、それらを手早く冷蔵庫に入れ、さっとシャワーを浴びたあと、床に就く選択を優先させたのでありました。
そして翌日──…
「(心の声:う~、頭が痛い。これは二日酔いかァ?)」
あまり、というか普段から飲酒をしないまささんは、二日酔いの経験がほとんどありません。
しかしながら、なってしまったものは仕方なく。
経験則を用いて、コーヒー牛乳をごくごくと飲み始めます。
「ふぅ……寝起きに冷たいコーヒー牛乳は、やはり効く。冷たいミルクセーキがパック売りしてたら、なおいいんだがな。ないものねだりか」
余談ですが、まささんはコーヒー牛乳がなくては生きていけない人種です。その心情を理解してくれるひとも多いはず。コーヒー牛乳こそ、まさに神の飲料と呼べる存在。人類最大の発明です。
「さて、目も覚めたことだし、ねねさんに昨日のお礼をメールしておこう……って、まだ午前中じゃないか。十中八九、というより九割方、というより確実に起きてないわな。昼飯食ってからにするか……にしても頭痛い(グワングワン)」
と、そんなおり、まささんのガラケーからメールの着信音が響きます。
「むッ!? 何奴!?」
インスタントラーメンを作るため鍋を火に掛けたばかりのまささんは、胸ポケットからガラケーを取り出すと手早く内容をチェックします。
メールは、古い友人からのものでした。
『ま~ささん。まだしぶとく生きてますか? よかったら、むかしの連中集めて忘年会でもしませんか?』
まささんに拒む理由はありませんでした。




