08-a2
「It's a place, it's a sky, it's a wind.hide me,hide person,from the one of the thing which should be here!」
葵の詠唱で結界が展開する
地に堕ちた妖魔が再び動き出した頃には、妖魔は結界の中に捕らわれていた
キャアアアアアァァァァァ!!!!!
妖魔の絶叫が周囲の空間を揺るがし、それと同時にその身体から仄昏い霧の様なモノが滲み出す
その霧の様なモノは、妖魔の周囲に渦を巻くとゆっくりと広がりだした
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茜が大地を駆ける
その先には、地面の上でもがく妖魔の姿があった
やがて妖魔は立ち上がると、突然絶叫を上げた
それと同時に妖魔の周囲を仄昏い霧が覆い始める
しかし茜は速度を落とさず、そのままの勢いで霧の中に突っ込んでいった
妖魔の展開した霧の領域に入った途端、言葉にならない不快感が俺を襲った
茜もそれを感じ取っているのか一瞬顔を歪ませる
茜の周囲でバチバチと火花の様な閃光が光る
しかし、茜はそれを無視して一気に妖魔との距離を詰めてロッドの一撃を妖魔に叩き込む
しかし、その一撃は空を切った
妖魔の身体が陽炎の様に揺らめくと、仄昏い霧の中に溶け込んで行く
「消えた!?」
茜が驚きを口にする
「跳べ、茜!この霧から離れるんだ!」
俺は思わず叫んだ
それは殆ど直感だった
しかし茜は、そんな俺の言葉に瞬時に反応すると大地を蹴って垂直に跳んだ
次の瞬間、今まで茜が立っていた場所の地面が鈍い音を立て抉れる
「何?今の!」
「解らない・・・。だが、あの霧はヤバイ。あの霧から距離を取るんだ!」
「でも・・・」
茜の言いたい事は痛い程判った
今の茜にはロッドで殴る意外の攻撃方法が無い
つまり、あの霧に接近出来ない現状では事実上の手詰まりなのだ
「へべくん・・・」
茜が不安そうな目で俺を見詰める
"判っている、そうだ判っている!何の力も無い俺が、唯の子供にさえ劣る小動物になってしまった俺が、此処に居る理由が此れなのだ!さあ、考えろ!考えろ!!考えろ!!!現状を打破し、状況を切り開く"何か"を見つけ出すんだ!"
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茜が何の躊躇いも無く妖魔の生み出した霧の中へ突っ込む
上空から葵はそれを見て顔を顰めた
「何を考えているの、あの子は?」
思わず考えが口を突く
茜が霧の中に入ると同時に茜の周囲でバチバチと火花が散った
"防御結界が反応している?やはりあの霧は妖魔の攻撃手段の一つみたいね"
葵はその様子を見て自分の予想が正しかったと確信した
茜が無詠唱で防御結界を展開した事については最早突っ込まない
「You be my sword, and subjugate my enemy.Raptor blade!」
詠唱と共に葵の持つワンドの先に光の刃が形成される
それとほぼ同時に、霧の中から茜が飛び出して来た
「It's a gale!It'll be my blade, cut and tear that's person!」
そのタイミングを見計らっていた様に、葵は霧を目掛けて光の刃を打ち込む
光の刃が霧を切り裂いて行く
しかし、切り裂かれた場所は直ぐに周囲の霧によって埋められてしまう
「だったら!」
再び光の刃を形成すると、今度はその刃を散弾の様に広範囲に打ち込む
だが、結果は同じで一時的には霧を払う事は出来るものの直ぐに周囲の霧が埋めてしまう
「やはり駄目みたいね・・・先ずはこの霧を何とかしないと」
葵はそう呟くと再び光の刃を形成した
「You be my sword, and subjugate my enemy.Raptor blade!」
「It's a wind!It'll be one thousand blades of blade,mince my enemy!」
「You be my sword, and subjugate my enemy.Raptor blade!」
「It's a gale!It'll be my blade, cut and tear that's person!」
葵は連続して詠唱を行い次々と光の刃を霧の中へと撃ち込み、その度に霧は光の刃と対消滅し掻き消される
しかし、妖魔の生み出した霧は掻き消された量を上回る勢いで増殖し、周囲を侵食しながらその領域を広げていく
「何なのよ!此れじゃキリが無いじゃない!良いわ、そっちがその気ならとことん付き合ってあげる!」
葵はそう言うと再び詠唱を再開した
一撃毎に詠唱の速度が上がり、それと共に攻撃の手数が増して、光の刃はやがて光の奔流へと姿を変えて仄昏い霧へと降り注いだ
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「綺麗・・・」
葵の放つ光の奔流を見て茜が呟いた
「だが、あんな無茶がいつまでも続く筈が無い」
俺は茜の言葉を繋いだ
実際、霧は消え去る何処かその範囲を広げていた
"このままでは孰れ葵にも限界が来る。そうなる前にあの妖魔を何とかしないと"
焦燥感に駆られるが考えが纏まらない
"とりあえず視点を変えよう、何か気付くかもしれない"
俺はそう考えて茜に声を掛けた
「茜、跳べるか?あの妖魔を上から観たい」
「うん、判った」
そう答えると茜は空へと駆け上がる
"あの妖魔が霧に姿を変えた事にも何か意味がある筈だ。
どんな些細な事でも構わない、其れを見つけ出すんだ!"
俺はフードから身を乗り出すと、不気味に広がり続ける霧を見下ろした




